この項目では、植物について説明しています。その他の用法については「ナシ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
「梨」はこの項目へ転送されています。その他の「梨」については「ナシ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
ナシ
Pyrus pyrifolia
ナシの木(品種は豊水)
分類(APG III)
ナシ(梨)は、バラ科ナシ属の植物、もしくは果物として食用にされるその果実のこと。
主なものとして、和なし(日本なし、Pyrus pyrifolia var. culta )、中国なし (P. bretschneideri ) 、洋なし(西洋なし、P. communis )の3つがあり、食用として世界中で栽培される。日本語で単に「梨」と言うと通常はこのうちの和なしを指し、本項でもこれについて説明する。他のナシ属はそれぞれの項目を参照のこと。 ナシ(和なし、日本なし)は、日本の本州、四国、九州に生育する野生種ヤマナシ(ニホンヤマナシ、P. pyrifolia var. pyrifolia )を原種とし、改良・作出された栽培品種群のことである[4]。果物としてなじみがあり、よく知られるものに、二十世紀、長十郎、幸水、豊水、新高、あきづきなどの品種がある。 高さ15メートル (m) ほどの落葉高木であるが、栽培では棚状にして低木に仕立てられる[5]。樹皮は灰褐色で縦に裂ける[5]。一年枝は緑褐色で有毛ときに無毛で、短枝も多い[5]。冬芽は鱗芽で、長卵形や円錐形で暗赤褐色をしており、7 - 10枚つく芽鱗の先が尖る[5]。枝先には頂芽がつき側芽が枝に互生し、頂芽は側芽よりも大きい[5]。葉は長さ12センチメートル (cm) 程の卵形で、縁に芒状の鋸歯がある。葉痕は三角形やV形で、維管束痕が3個つく[5]。 花期は4月ごろで、葉の展開とともに5枚の白い花弁からなる花を付ける。8月下旬から11月ごろにかけて、黄褐色または黄緑色でリンゴに似た直径10 - 18 cm程度の球形の果実がなり、食用とされる。果肉は白色で、甘く果汁が多い。リンゴやカキと同様、尻の方が甘みが強く、一方で芯の部分は酸味が強いためあまり美味しくない。水気が多くてシャリシャリ、サクサクとした独特の食感がナシの特徴だが[4]、これは石細胞と呼ばれるものによる[6]。石細胞とは、ペントサン
概要
野生のもの(ヤマナシ)は直径が概ね2 - 3 cm程度と小さく、果肉が硬く味も酸っぱいため、あまり食用には向かない。ヤマナシは人里付近にしか自生しておらず、後述のように本来日本になかった種が、栽培されていたものが広まったと考えられている。なお、日本に原生するナシ属にはヤマナシの他にもミチノクナシ(イワテヤマナシ) (Pyrus ussuriensis var. ussuriensis) 、アオナシ(Pyrus ussuriensis var. hondoensis、和なしのうち二十世紀など果皮が黄緑色のものを総称する青梨とは異なることに注意)、マメナシ (Pyrus calleryana) がある。 ナシの語源には諸説ある。
ナシの花
落花後の果実
木についた状態。この後は日焼け防止の袋を被せられる
名前
江戸時代の学者新井白石は、中心部ほど酸味が強いことから「中酸(なす)」が転じたものと述べている。
果肉が白いことから「中白(なかしろ)」あるいは「色なし」
風があると実らないため「風なし」
「甘し(あまし)」
「性白実(ねしろみ)」