そしてタレブは、2007年からの世界金融危機の間に数百万ドルの利益を上げ、統計学者に一矢を報いた。[10][11]。また、タレブがアドバイザーを務めるUniversa Investmentsも、2008年10月に65%から115%の利益を生み出した。[12]。この成功により、タレブは世界中にその名を轟かすことになった。また、2009年のダボス会議では、銀行家に厳しい言葉を浴びせ、一種のスターとして扱われた[13][14]。 タレブは著書『ブラック・スワン』の中で既にパンデミックに対する警告を発しており、次のように書いていた。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0} 私はグローバリゼーションを止めろ、旅行を禁止しろなんて言ってない。副作用やトレードオフにも注意しないといけないと言っているだけだ。でも、そういうことさえ気を配る人はほとんどいない。とても奇怪で強烈なウイルスがこの惑星全体に蔓延する、そんなリスクを私は感じる[15]。 悪い黒い白鳥が生まれることが多い一方、よい黒い白鳥は生まれない環境(負の歪度を持つ環境と呼ぶ)では、確率の小さい事象が起こす問題はいっそうひどくなる。なぜか?明らかに、破滅的な事象は必然的にデータから欠落している。変数が生き延びて続いているということ自体が、これまでそういう事象が起きていないことを示している。だからそういう分布を観察していると、安定性を過大評価し、ありうるボラティリティやリスクを過小評価しがちになる。この点??物事一般にはバイアスがかかっていて、過去を振り返れば安定していてリスクは低いように見え、おかげで私たちはいつかびっくりすることになる??は、医療の分野ではとくに肝に銘じておくべきだ。疫病の歴史はあまり研究されていないが、この星を揺るがすような大流行が起こるリスクを示唆する要素は見られない[15]。 中国で新型コロナウイルスが感染拡大し欧米でも感染者が出始める中、2020年1月26日、タレブはニューイングランド複雑系研究所の研究員であるジョゼフ・ノーマン、同研究所のプレジデントであるヤニア・バーヤムとともに、この感染拡大に対し各国が取るべきいくつかの原則に関する論文[16]を発表した。 また、2020年4月9日、ブルームバーグは、タレブが助言するヘッジファンドUniversa Investments
パンデミックに対する警告、2020年の新型コロナウイルスの拡散開始時期における提言と成功
著作
書籍
『Dynamic Hedging: Managing Vanilla and Exotic Options』(未邦訳)、1997年(初版発行)
『まぐれ:投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか 』望月衛訳、ダイヤモンド社、2001年(初版発行)
『ブラック・スワン:不確実性とリスクの本質』望月衛訳、ダイヤモンド社、2007年(初版発行)
同書の2010年の第二版に追加されたエッセイは、次のタイトルで別に訳され刊行されている。
『強さと脆さ:ブラック・スワンにどう備えるか』望月衛訳、ダイヤモンド社、2010年
『ブラック・スワンの箴言:合理的思考の罠を嗤う392の言葉』望月衛訳、ダイヤモンド社、2010年(初版発行)
『反脆弱性:不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』望月衛訳、ダイヤモンド社、2012年(初版発行)