ナガスクジラ
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最大全長はオスが25メートル、メスが27メートル[5]であり、現生ではシロナガスクジラに次ぐ体長とピグミーシロナガスクジラセミクジラ科に次ぐ体重を持つ。

溝(畝)は臍まで達し、数は50 - 60本[5]。背面や側面は黒褐色で、腹面は畝も含めて白い[5]

体はスマートで細長く、吻端から噴気孔にかけて隆起線が走るが、ごく僅かであるがニタリクジラの様に更に二本の副隆起線を持つものも存在する。背中にも背びれから尾びれにかけて隆起部が存在する。上顎は細長く、先端が尖る[5]クジラヒゲは髭板も剛毛も青黒色だが、右側の髭の前面だけは乳白色[5]。背鰭は高く三日月形だが、胴体の後方に位置する[5]。背びれの形態は小さく鎌状。一般には先端が尖るが変異も多く、丸い個体も存在する。

体色と背面は濃いグレー、あるいは茶系の黒で腹部は白色。腹部から続く白色の模様が顎の右側まで回り込んでおり、色分けは左右非対称である。また、鯨髭も右側前方のみ白色部がある。

概して、小・中型の個体は同じナガスクジラ科に属するイワシクジラニタリクジラカツオクジラ、ライスクジラ(英語版)、ツノシマクジラ等と誤認しやすい。とくにツノシマクジラは、体表の模様に類似性があり、頭部に副隆起線を基本的に持たないなど、ナガスクジラとの外見上の類似性が比較的に強い。

左右非対称の体色

ブローアゾレス諸島

背びれ(セントローレンス川

痩せて弱った個体(イスラエルカイサリア・マリティマ

生態採餌の光景採餌の光景

主に亜熱帯から寒帯にかけての外洋に生息する[5]。夏季は、採食のために高緯度地方へ回遊する[5]

単独または数頭の群を作る。また、他のヒゲクジラと同様に、定住群を除き、1年の3分の1の期間のみ、極地で餌を捕食して繁殖のために温帯へ回遊している。

北半球ではサンマ・シシャモ・ニシン・イワシ類・サバ類などの魚類を、南半球ではオキアミ類を主に食べる[5]。群れた獲物に突進して海水ごと口内に含み、海水を鯨髭の隙間から排水しつつ鯨髭で獲物を濾し取って食べる[5]

ナガスクジラの摂食様式は突進採餌[注 7]と呼ばれている。これは海水中を高速で泳ぎ、海水に含まれる小魚やプランクトンを濾し取る濾過摂食の一種である[23]

ナガスクジラの尿の生成量は一日に974リットル程度と推算されている。これは海水を大量に飲んでいるわけではなく、排出される水分の大部分は餌であるオキアミ等に由来する[24]

繁殖様式は胎生。主に冬季[注 8]に、交尾を行う[5]。妊娠期間は11か月[5]。授乳期間は6 - 7か月[5]

「ブリーチング(英語版)」を行う事は稀だが、シロナガスクジラとは対照的に全身を大きく海面から露出したり連続して行う場合が散見される[25]

厳密な寿命は不明だが、2010年デンマーク座礁した個体は推定で140歳だとされている[26]
異種間交配「52ヘルツの鯨」も参照

1999年1月に科学雑誌ネイチャーにハーバード研究チームの論文が掲載され、その論文のなかで「日本でシロナガスクジラの肉が売られている」と報告された。その根拠になったのは、大阪で販売されていた鯨肉から絶滅寸前のシロナガスクジラ遺伝子が検出されたことであった。この報告により、国際学会は騒然となった。この個体は後にナガスクジラとシロナガスクジラとの交雑個体であった事が判明する[注 9][27]

また、各種の個体数の激減によってナガスクジラとシロナガスクジラの生存数のバランスが崩れたり、互いに本来の同種同士の繁殖相手が(本来の状態よりも)見つかりにくく、両種の交配の増加による両種とくにより数が少ないシロナガスクジラへの圧迫が懸念されている[28][29]。類似した問題はセミクジラホッキョククジラの間にも存在する[30]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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