単独または数頭の群を作る。また、他のヒゲクジラと同様に、定住群を除き、1年の3分の1の期間のみ、極地で餌を捕食して繁殖のために温帯へ回遊している。
北半球ではサンマ・シシャモ・ニシン・イワシ類・サバ類などの魚類を、南半球ではオキアミ類を主に食べる[5]。群れた獲物に突進して海水ごと口内に含み、海水を鯨髭の隙間から排水しつつ鯨髭で獲物を濾し取って食べる[5]。
ナガスクジラの摂食様式は突進採餌[注 7]と呼ばれている。これは海水中を高速で泳ぎ、海水に含まれる小魚やプランクトンを濾し取る濾過摂食の一種である[23]。
ナガスクジラの尿の生成量は一日に974リットル程度と推算されている。これは海水を大量に飲んでいるわけではなく、排出される水分の大部分は餌であるオキアミ等に由来する[24]。
繁殖様式は胎生。主に冬季[注 8]に、交尾を行う[5]。妊娠期間は11か月[5]。授乳期間は6 - 7か月[5]。
「ブリーチング(英語版)」を行う事は稀だが、シロナガスクジラとは対照的に全身を大きく海面から露出したり連続して行う場合が散見される[25]。
厳密な寿命は不明だが、2010年にデンマークに座礁した個体は推定で140歳だとされている[26]。
異種間交配「52ヘルツの鯨」も参照
1999年1月に科学雑誌ネイチャーにハーバード研究チームの論文が掲載され、その論文のなかで「日本でシロナガスクジラの肉が売られている」と報告された。その根拠になったのは、大阪で販売されていた鯨肉から絶滅寸前のシロナガスクジラの遺伝子が検出されたことであった。この報告により、国際学会は騒然となった。この個体は後にナガスクジラとシロナガスクジラとの交雑個体であった事が判明する[注 9][27]。
また、各種の個体数の激減によってナガスクジラとシロナガスクジラの生存数のバランスが崩れたり、互いに本来の同種同士の繁殖相手が(本来の状態よりも)見つかりにくく、両種の交配の増加による両種とくにより数が少ないシロナガスクジラへの圧迫が懸念されている[28][29]。類似した問題はセミクジラとホッキョククジラの間にも存在する[30]。
また、ザトウクジラとの間に求愛行動が発生していた様な観察事例も存在する[31][32]。 古くは遊泳速度が速く死骸が沈むことから、散発的に捕獲されることはあっても、主要な捕獲対象とはされていなかった[5]。また、日本列島でも鯨類と人間の関係には捕鯨だけでなく、クジラを神聖視して捕鯨を禁止する風潮も強かったとされている。 19世紀にポンプランスなどを用いた近代式の捕鯨方法が開発されたことと、セミクジラやホッキョククジラやザトウクジラやコククジラなどの沿岸性の種類が激減したこともあり、ナガスクジラやシロナガスクジラやイワシクジラなどの泳ぎが速い種類も主要な捕鯨の対象とされるようになった[5]。 捕鯨時代の以前には、南極海には約40万頭のナガスクジラが生息していたと推測されている[34]。南極海では1904年から捕鯨が開始された[5]。 他の大型鯨類と同様に、「捕鯨オリンピック」をふくむ20世紀までの世界中における乱獲と(とくに日本とソビエト連邦による)大規模な規約違反と密猟[35][36][37]によって絶滅の危機に陥ったとされており、1976年から北太平洋と南半球にて、1986年から全世界で捕獲が禁止された。
人間との関係捕獲されたナガスクジラ(奥)とイワシクジラ(手前)の若年個体たち(フィンマルク県)中国(黄海)にて日本が設立した捕鯨会社によって捕獲された個体[注 10][33]
捕鯨