ナイン・インチ・ネイルズ
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男が拷問されてチェーンソーで切り刻まれ、レイプされ、ナイフで滅多刺しにされた挙句加害者に臓物をむさぼられるという、「ハピネス・イン・スレイヴァリー」と並ぶ残虐な内容である。

『ブロークン』がリリースされた2ヶ月後に、唯一のフォローアップ作品となる『フィックスト』がリリースされた。ダニー・ハイド、J.G.サーウェル、ブッチ・ヴィグ(現ガービッジ)らをリミキサーとして起用し、ブロークンに収録されたいくつかの曲をリミックスした。
1994年 - 1995年'94~'95年頃撮影

1994年にはセカンド・アルバムとなる『ザ・ダウンワード・スパイラル』をリリースした。このアルバムはビルボード誌のチャートで初登場2位を記録し、NINの評価を決定的にする作品となった。2003年ローリングストーン誌が企画した「500 greatest albums of all time」の200位にランクインし、2005年のスピン誌が企画した「100 Greatest Albums, 1985?2005」の25位にランクインを果たした。

NINはこのアルバムのフォロー・アップツアーとして「セルフ・ディストラクションツアー」と冠されたツアーを行った。このツアーの中で「ウッドストック 1994」に参加した。「ウッドストック 1994」は土砂降りの雨中でライブが行われた。泥まみれの観客が待つ中、バンドメンバーも泥まみれの姿でステージに登場したNINのパフォーマンスはNINのキャリアの中で最も有名なエピソードの一つとなった。

「ライブの直前はいつも吐きそうな気分だった、それは本当にナーバスな日だった。ステージに向かう途中で俺がDannyを押したら、奴は顔から泥に突っ込んだんだ。で、奴が俺にタックルしてきて、それは男だけの泥レスリングみたいなのに変わった。それをやった後、不安はすっかり消えたんだ。」とトレントは言っている。

さらに、トレントはオリバー・ストーン監督の『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のサウンドトラックをプロデュースした。NINはこのサウンドトラックに「サムシング・アイ・キャン・ネヴァー・ハヴ」、「ア・ウォーム・プレイス」、そして当時未発表曲の「バーン」を提供している。

1995年にはセカンド・アルバムのリミックス作品となる『ザ・ファーザー・ダウン・ザ・スパイラル』(Further Down the Spiral) をリリースした。この作品はUS盤とUK盤の2種類が発売されており、それぞれ収録曲が異なっている。本作ではエイフェックス・ツイン、有名プロデューサーリック・ルービンらがリミックスを手がけている。なお、リック・ルービンのリミックスにはジェーンズ・アディクションギタリストであるデイヴ・ナヴァロがギターで参加している。

同年、デヴィッド・ボウイのシングル「The Hearts Filthy Lesson」のリミックスを手掛け、ボウイと共に「ディソナンス・ツアー」と冠されたツアーを行った。これはまず前座のNINが演奏し、その後ステージにデヴィッド・ボウイが登場してそれぞれ互いの曲を共演、そしてNINがステージを降りデヴィッド・ボウイの演奏に移行するというものであった。ボウイはトレントと共に「レプタイル」や「ハート」を歌った。

トレントの愛犬、ゴールデン・レトリバーのMaiseが3階から落下して死亡。
1996年 - 1997年

1996年にはPCゲームQuakeのサウンドトラックをリリースした。ただしこのサウンドトラックはトレント・レズナーの個人名義で作成されている。

1997年にはデイヴィッド・リンチ監督の『ロスト・ハイウェイ』のサウンドトラックのプロデュースを行った。これはリンチ自らがトレントにオファーを申し込んで実現したが、このときリンチはトレントに「『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のようなサウンドトラックを作ってくれ」と頼んだという。このサウンドトラックには「ザ・パーフェクト・ドラッグ」が収録された。この曲は後にミート・ビート・マニフェストやジ・オーブらのリミックス5曲を収録したシングルとなってリリースされた。

また、再びデヴィッド・ボウイのシングル「I'm Afraid of Americans」のリミックスを務めた。この楽曲のビデオ・クリップにはボウイのストーカーとしてトレントが出演している。

同年11月には初の公式な映像作品となる『クロージャー』がリリースされた。この作品はVHS二本組となっており、「Tape 1」と銘打たれた方には1994年から1995年にかけて行われた「セルフ・ディストラクト・ツアー」の模様を、「Tape 2」と銘打たれた方にはデビュー当時から1997年の間に製作されたプロモーション・ビデオが収録された。

この『クロージャー』のDVD化の話が出ていたが、前マネージャージョン・マルムとの金銭問題(NINの売上20%を不正に搾取していた)などでジョン・マルムが『クロージャー』の映像著作権の一部を保有してるためリリースできず、2006年にトレント本人が(自分のPCに不正アクセスがあり、データがリークされてしまったため)意図的にネットのP2PにDVDデータを流出させている。このデータはBittorrentなどでダウンロードできる。
1999年 - 2002年

1999年の9月に2枚組アルバム『ザ・フラジャイル』がリリースされた。この5年ぶりのサード・アルバムはリリースされた最初の週にビルボードチャートで一位を獲得したが、翌週にはビルボードのトップ10から脱落した。そのために予定していたアルバムリリース後のツアーに必要な経費は、トレント・レズナーのポケットマネーから捻出することとなった。

このアルバムからの先行シングル「ザ・デイ・ザ・ワールド・ウェント・アウェイ」のカップリング曲として収録されていた「スターファッカーズ・インク」の歌詞が当時の音楽シーンに対する痛烈な批判と言われ大きな話題となった。“スターファッカーズ・インク”の内容にはマリリン・マンソンに対する批判も含まれていた。マリリン・マンソンは『ザ・フラジャイル』がリリースされた際に批判的なコメントを出しており、トレント・レズナーとマリリン・マンソンの不仲は続いているものと思われていた。しかし“スターファッカーズ・インク”のビデオ・クリップにマリリン・マンソンが出演したことで和解が表明された。

バンドは1999年より「Fragility」と銘打たれたツアーに出る。このツアーはまずはヨーロッパと日本で行われた。そのツアーが一旦終了した後に『ザ・フラジャイル』のリミックス・アルバムとなる『シングス・フォーリング・アパート』がリリースされた。これにはエイドリアン・シャーウッドやデイヴ・オギルヴィ、チャーリー・クロウザーのリミックスのほか、ゲイリー・ニューマンのカヴァーである「メタル」が収録されている。

その後バンドはアメリカツアーを行い、そのツアーの様子を収めた『アンド・オール・ザット・クッド・ハヴ・ビーン』が2002年にリリースされた。『アンド・オール・ザット・クッド・ハヴ・ビーン』はVHS、DVD、CDの形態でリリースされた。CD盤には初回生産限定盤に『Still』が附属された。これは既発曲や新曲をピアノを主体としたアレンジで収録したもので、NINの持つ“静”の要素を全面に押し出した作品となっている。なお、『Still』は後に単体でリリースされたが、日本盤はリリースされていない。
2004年 - 2006年2006年2月

2004年、トレント・レズナーがミュージック・コンサルタントを務め、テーマ曲に起用された『ザ・フラジャイル』収録の「ザ・マーク・ハズ・ビーン・メイド」など6曲を提供したトニー・スコット監督の映画『マイ・ボディガード』 (Man On Fire) が公開された。

2005年3月、シングル「ザ・ハンド・ザット・フィーズ」が発売。続いて5月に約6年ぶりとなるアルバム『ウィズ・ティース』が発売される。この作品にはデイヴ・グロール(現フー・ファイターズ、元ニルヴァーナ)やゲム・アーチャー(元オアシス)などが参加している。従来までの神経質かつ細部まで作りこまれたサウンドを廃し、ラフなバンドサウンドを主体としたこのアルバムは全米1位を記録した。またトレントの精神性にも大きな変化が見られ、自らの心の闇よりも社会に対する怒りを表現するようになったと言われる。同年のMTVムービーアワードでは「ザ・ハンド・ザット・フィーズ」をジョージ・W・ブッシュ大統領を批判する映像をバックに演奏しようとするが、MTV側が難色を示したため出演を辞退している。

2005年から2006年にかけて「ウィズ・ティース・ツアー」を行う。このツアーの様子を収めた映像作品「ビサイド・ユー・イン・タイム」が翌年の2月にリリースされる。
2007年 - 2008年トレント・レズナー (2008年)

2007年にはアルバム『イヤー・ゼロ?零原点…』をリリース。前作から2年という短いインターバルで発表された。

トレントは本作がオーストラリアで法外な値段で売られていることに憤慨し[2]、固定ファンから搾取しようとするレコード会社のやり方を痛烈に批判。これをきっかけに作品のリリース形態に新しい試みを取り入れていく。

まずはトレントが制作に携わったソウル・ウィリアムズのアルバム『The Inevitable Rise And Liberation Of Niggy Tardust』を購入者が値段を$0か$5かを選べる方法でダウンロード・リリース[3]。しかしこの試みはトレントの思惑通りにはいかなかったようで、有料ダウンロードが全体の僅か18.3%であったことにトレントは落胆した[4]

しかしトレントはこれにめげず、今度は自身の新作『ゴースツ I-IV』を発表する。前2作がロック寄りの比較的シンプルなアプローチだったのに対し、インスト中心でアンビエント色を強めた本作は全36曲中9曲は無料、残り27曲は$5でダウンロードでき、さらに2枚組のCD ($10)、DVD付きのデラックス・エディション ($75)、レズナーのサイン入りのウルトラ・デラックス・ヴァージョン ($300)というように様々なリリース形態が用意された[5]。続く『ザ・スリップ』に至っては全曲を無料で配布した[6]

『ザ・フラジャイル』収録の「ジャスト・ライク・ユー・イマジンド(Just Like You Imagined)」がザック・スナイダー監督の映画「300 〈スリーハンドレッド〉」の予告編テーマソングに使用された。


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