ナイフ
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鞘は伝統的には製や製で、金属製の場合には刃を保護するために木製などの入れ子が設けられる場合がある。近年では[いつ?]合成皮革製や樹脂製もある。キッチンナイフも固定刃だが、欧米ではキッチンの調理台の上にナイフスタンドを置き、そこに数本のキッチンナイフを刺しておくのが一般的。工作用などでも固定刃は多いが、持ち歩かず家の中で特に頻繁に使用する場合は、鞘にいちいち入れるとやや不便なので、ペン立てに刃を下にして立てたり、場合によっては引き出しにそのまま入れたりする人もいる。欧州ではペーパーナイフはデスク上の優雅なデザインの「文具皿」にむき出しで置いておく、というのがひとつのスタイルである。世界のボーイスカウトや相当する団体が使用しているナイフと鞘。革製の鞘にはベルトを通す切れ込み穴があいていて、腰あたりに付けておくことができる。鞘から不意に抜けたりしないように、スナップつきのストッパーもついている。固定刃を持つシースナイフと分類されうる。

2011年9月にドネツィクで開催された鍛冶職人フェスティバルにて、陳列された多様な刃物類。流通しているナイフを無作為に並べると固定刃が圧倒的に多くなる。

フィンランドプーッコ

アラブのナイフ。固定刃。

ハンティングナイフ(ハンターナイフ)。固定刃。

ハンターナイフ。固定刃。

ダガー。固定刃。

キッチンナイフ。固定刃。

陳列されたフィリピンのボロ。山刀として使えるよう大型の固定刃を持つ。

ペーパーナイフ。固定刃。

「シースナイフ : sheath knife」は、固定刃のナイフの中でも特に保管時に刃をシース()に収めるものをそう呼ぶ。鞘にベルト等を通す穴が空いているものも多く、腰につけておけば、必要時には素早く出せる。

「ブーツナイフ」は、ブーツに鞘を取り付けて使用するもの。特殊な装着位置のものには、実用的な機能の他、秘匿を目的とする、後述するファイティングナイフやダガーの類がある。ボウイナイフ。

ボウイナイフは、1836年のアラモ砦の戦いに守備側で参加したジェームズ・ボウイ大佐が使用したナイフを原型とする、やや大ぶりで片刃のナイフである。武器であると同時に日用品としても利用でき、一般にいうところの登山ナイフサバイバルナイフの原型となっている。
フォールディングナイフフォールディングナイフ
オピネルNo.10。ネイルマークを備える。ロック付フォールディングナイフの構造。
上からバックロック、ボルトロック、ライナーロック。Emerson Knives社のフォールディングナイフ群。
右側・下から2番目のナイフはサムホールとウェーブを備え、それ以外のナイフはサムプレートやウェーブを備える。ソムリエナイフ
コルクスクリューとコルク抜きてこを開いた様子。ブレードはグリップの背に折りたたまれている。

フォールディングナイフは、携帯に便利なように何らかの機構で柄に刃を格納できる構造のナイフをいうが、刃を折り畳んで収納するので日本では「折り畳みナイフ」と呼ばれる構造のものが大多数であり、パラシュートナイフ、バタフライナイフ飛び出しナイフなどその他の形式は特殊なものとされる[誰によって?]。柄よりも刃の部分が短くないと刃先端(切っ先)が収納できないため、比較的小型の物が多い。

フォールディングナイフは携帯に便利な反面、可動部があるために破損・故障しやすく、汚れや水気が入り込みそこから問題が発生する可能性もある。

なお折りたたまれた刃をばねで固定するものでは、その刃を柄の溝からつまみ出すためにブレード部分にネイルマークと呼ばれる爪をかけるための細い半月形の刻みが入っているものや、片手で開閉できるものでは、突起(サムスタッドやサムプレート)を使用するもの、さらにはブレードを貫通する形で穴(サムホール)が設けられているもの、ポケットのふちなどに引っ掛けて開けることができる波状のもの(ウェーブ)もあり、折り畳み機構の構造もあいまって様々な形状の製品が製造・販売されている。

折りたたみナイフは、携帯時に不用意に開くことも使用時に不用意に閉じることも危険な事故につながるため、柄の背に板ばねを内蔵して、ある程度の角度を境にそれぞれ刃が開く方向と閉じる方向に力を加える構造(スリップジョイント)を持つのが一般的であり、さらに開いた刃が閉じないような機械的ロック機構を持つものも多く、バックロックやライナーロック、ボルトアクション等様々な固定方式が存在する。

小型の折り畳みナイフをポケットナイフ、あるいはジャックナイフという[7][注 2]
オートマチックナイフ(飛び出しナイフ)

フォールディングナイフのうち、主にばねにより自動で開刃し、場合によっては折りたたみも行うナイフ。日本では閉じた状態から自動で45°以上開刃するものが銃刀法で所持が規制され、諸外国でも様々な規制がある。主に、通常の折りたたみナイフのように刃が回転し、自動で開刃するタイプと、カッターナイフのように刃が鞘と平行に開刃するタイプ(Out-The-Front、OTFと呼ばれる)に分けられ、OTFナイフではさらに、開刃だけを自動で行い、閉じるのは手動となるシングルアクションと、開閉ともに自動で行うダブルアクションに分けられる
ツールナイフ

ツールナイフとは、刃以外にドライバー缶切りなど他の機能を担うツール(ツールブレード)を持っているもののことである。機能の数によって「n徳ナイフ」(nは整数)などと呼ばれる。このタイプで代表的なものは、歩兵の基本装備にもなっている、メインブレード以外に缶切り・ドライバー・栓抜きのツールブレードが(計3枚)付いているアーミーナイフであり、しばしば一本のブレードが複数の機能を持ち4-7程度の機能を持っている(つまり「4徳」から「7徳」)。例えばビクトリノックスの製品では、缶切り・栓抜きブレードとマイナスドライバー大小やワイヤーストリッパーが複合されている。スイスアーミーナイフ。
ビクトリノックスマウンテニア。

その他、ペンチワイヤーカッター等の工具類がついているプライヤーツール、コルク抜きや釣り針外し等を持つキャンプやレジャーに便利なものなど様々なブレードがある。赤いハンドルの「スイス・アーミーナイフ」の通称で有名なビクトリノックス社、ウェンガー社の製品には、30以上にもおよぶ機能を内蔵したものもある[注 3]

写真はソムリエ(ワイン鑑定士)がワインの開封、抜栓に用いるソムリエナイフないしウエイターズナイフと呼ばれるもので、小ブレード、コルクスクリュー、コルク抜き梃子を持つ3徳ナイフであり、てこという特殊な利用法のために板ばねを内蔵しないフリーブレード構造になっている。
用途による分類

世界には多種多様なナイフが存在している。中には特定の用途だけに特化したナイフもあり、こうしたナイフはその用途に使うには非常に便利である。ただしその用途以外には使いづらいことが多い。本節ではこれら多種多様なナイフのうち代表的なものを一部紹介する。
テーブルナイフ(食卓用ナイフ)中央が食卓用ナイフ。

欧米型の食習慣がある地域では、食卓で食事をする場合はテーブルナイフが用いられる。スプーンやフォークなどとともにカトラリーを構成し、カトラリー類のセットでは統一的なデザインとなっていて、しかも優雅なデザインのものが多い。古くは調理された肉を切り取るためによく切れる刃がついていたが、今日ではやや切れ味を下げ細かい鋸刃を持つものが一般的である。ナイフ類は右手で持つのがマナー(左手にフォークを持ち、右手のナイフで肉が口に入る大きさに小さく切り、左手でそれを口に運ぶ)。バタージャムなどペースト状の食品をとったりパンに塗ったりするための「バターナイフ(バタースプレダー)」は刃付けされていない。

欧州の畏まった席での食事は「コース料理」(フルコースとも)であり、つまり料理が提供される順が「オードブル」→「スープ」→「魚料理」→「肉料理」→「デザート(およびコーヒーなど)」と(まるで法律や厳格なルールのように)決まっており、それに対応するカトラリー類(そしてそこに含まれるナイフ類)の使う順番も決まってくるわけで、テーブル上の配置も決まっている。あらかじめ給仕(=ギャルソンウェイター)によってテーブルセッティングが行われ、位置皿(ディナープレート)の右側に、外側からオードブル用ナイフ、魚用ナイフ、肉用ナイフが配置される(なお、さらに外側にスープスプーンが配置される)。そして食べる人は、ナイフ類はディナープレートから遠い側(つまり外側)から順に使ってゆくことになる(なお左側のフォーク類も同様に外側から使ってゆく)。また、位置皿の上側にデザートナイフが配置され、これは最後に使うことになる。なお(一般的にはコース途中でパンも提供されるので)パン皿も食卓上に配置され、付近にバターナイフも配置される。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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