ナイフ
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ナイフは実用以外の用途として、美術品宗教悪魔払いなどの儀式道具にも用いられ、象徴(記号)としても重要な意味を持っている[4]

なお、ナイフはプレゼントすると「友情が切れる」とする文化圏や、運気が下がる、とする文化圏があるので、贈り物には適しているかどうか相手の文化を確認したり、贈る場合に工夫をする必要がある場合もある。→#ナイフの贈答を巡る迷信
歴史

石から作られた物は約250万年前、銅製の物は約1万年前、青銅製のナイフは近東の職人によって約5千年前に製造されたものとされている[4][5]

旧石器時代以降、石でできていて、時には木や骨などの硬い材料でできている鋭い刃を使用してきた。最初のナイフは、250万年前に、ホモ・ハビリスが最初の原始的な打撃、切断、および削り出しの道具を適当な石から作ったものとされている[6]

青銅器時代には、強度が高く加工が容易なため、石材の代わりに青銅が使用されるようになった。そして、青銅器時代の終わりに鉄製のナイフが登場し、青銅製のナイフはすぐに置き換えられた。このようにして確立された鉄を加工したナイフは17世紀頃まで続いた。

その後16世紀の初めから18世紀にかけて、広範なテーブルマナーが発達し、シルバーのハンドルと豊富な装飾が施されたナイフは、重要なステータスシンボルになった。

そして、1912年頃にステンレス鋼が開発された。クロムの含有量が増加し (13?15%)、ブレードの光沢が増し、炭素鋼よりも湿気や弱酸などの環境の影響に対して耐性があるため現在も広く使われている。

石器時代の、石でできたナイフ

ベルギーで出土した石のナイフ。

銅器時代のナイフ

新石器時代のナイフ

6世紀の折りたたみナイフ

中世のテーブルナイフのレプリカ

分類

ナイフには幾つもの分類法がある。ひとつは構造によって分類する方法がある。また用途によって分類する方法もある。

以下、構造や機能によって基本的なナイフの分類を示す。
基本構造による分類

ナイフには、基本形である固定式の刃のものと、刃を折り畳んでしまえるものがある。
固定刃

固定刃(: fixed blade (knife))あるいは「固定ナイフ : fixed knife」はナイフの基本形である。もともと最古のナイフは固定刃であったし、古代でも中世でも現代でも、固定刃はナイフの主流である。製作しやすく、また可動部が無い分堅牢である。特に、刃渡りの長さが必要とされる用途ではこれに限られる。

携帯する場合には刃を鞘に納める。鞘は伝統的には製や製で、金属製の場合には刃を保護するために木製などの入れ子が設けられる場合がある。近年では[いつ?]合成皮革製や樹脂製もある。キッチンナイフも固定刃だが、欧米ではキッチンの調理台の上にナイフスタンドを置き、そこに数本のキッチンナイフを刺しておくのが一般的。工作用などでも固定刃は多いが、持ち歩かず家の中で特に頻繁に使用する場合は、鞘にいちいち入れるとやや不便なので、ペン立てに刃を下にして立てたり、場合によっては引き出しにそのまま入れたりする人もいる。欧州ではペーパーナイフはデスク上の優雅なデザインの「文具皿」にむき出しで置いておく、というのがひとつのスタイルである。世界のボーイスカウトや相当する団体が使用しているナイフと鞘。革製の鞘にはベルトを通す切れ込み穴があいていて、腰あたりに付けておくことができる。鞘から不意に抜けたりしないように、スナップつきのストッパーもついている。固定刃を持つシースナイフと分類されうる。

2011年9月にドネツィクで開催された鍛冶職人フェスティバルにて、陳列された多様な刃物類。流通しているナイフを無作為に並べると固定刃が圧倒的に多くなる。

フィンランドプーッコ

アラブのナイフ。固定刃。

ハンティングナイフ(ハンターナイフ)。固定刃。

ハンターナイフ。固定刃。

ダガー。固定刃。

キッチンナイフ。固定刃。

陳列されたフィリピンのボロ。山刀として使えるよう大型の固定刃を持つ。

ペーパーナイフ。固定刃。

「シースナイフ : sheath knife」は、固定刃のナイフの中でも特に保管時に刃をシース()に収めるものをそう呼ぶ。鞘にベルト等を通す穴が空いているものも多く、腰につけておけば、必要時には素早く出せる。

「ブーツナイフ」は、ブーツに鞘を取り付けて使用するもの。特殊な装着位置のものには、実用的な機能の他、秘匿を目的とする、後述するファイティングナイフやダガーの類がある。ボウイナイフ。

ボウイナイフは、1836年のアラモ砦の戦いに守備側で参加したジェームズ・ボウイ大佐が使用したナイフを原型とする、やや大ぶりで片刃のナイフである。武器であると同時に日用品としても利用でき、一般にいうところの登山ナイフサバイバルナイフの原型となっている。
フォールディングナイフフォールディングナイフ
オピネルNo.10。ネイルマークを備える。ロック付フォールディングナイフの構造。
上からバックロック、ボルトロック、ライナーロック。Emerson Knives社のフォールディングナイフ群。
右側・下から2番目のナイフはサムホールとウェーブを備え、それ以外のナイフはサムプレートやウェーブを備える。ソムリエナイフ
コルクスクリューとコルク抜きてこを開いた様子。ブレードはグリップの背に折りたたまれている。

フォールディングナイフは、携帯に便利なように何らかの機構で柄に刃を格納できる構造のナイフをいうが、刃を折り畳んで収納するので日本では「折り畳みナイフ」と呼ばれる構造のものが大多数であり、パラシュートナイフ、バタフライナイフ飛び出しナイフなどその他の形式は特殊なものとされる[誰によって?]。柄よりも刃の部分が短くないと刃先端(切っ先)が収納できないため、比較的小型の物が多い。

フォールディングナイフは携帯に便利な反面、可動部があるために破損・故障しやすく、汚れや水気が入り込みそこから問題が発生する可能性もある。

なお折りたたまれた刃をばねで固定するものでは、その刃を柄の溝からつまみ出すためにブレード部分にネイルマークと呼ばれる爪をかけるための細い半月形の刻みが入っているものや、片手で開閉できるものでは、突起(サムスタッドやサムプレート)を使用するもの、さらにはブレードを貫通する形で穴(サムホール)が設けられているもの、ポケットのふちなどに引っ掛けて開けることができる波状のもの(ウェーブ)もあり、折り畳み機構の構造もあいまって様々な形状の製品が製造・販売されている。

折りたたみナイフは、携帯時に不用意に開くことも使用時に不用意に閉じることも危険な事故につながるため、柄の背に板ばねを内蔵して、ある程度の角度を境にそれぞれ刃が開く方向と閉じる方向に力を加える構造(スリップジョイント)を持つのが一般的であり、さらに開いた刃が閉じないような機械的ロック機構を持つものも多く、バックロックやライナーロック、ボルトアクション等様々な固定方式が存在する。

小型の折り畳みナイフをポケットナイフ、あるいはジャックナイフという[7][注 2]
オートマチックナイフ(飛び出しナイフ)

フォールディングナイフのうち、主にばねにより自動で開刃し、場合によっては折りたたみも行うナイフ。日本では閉じた状態から自動で45°以上開刃するものが銃刀法で所持が規制され、諸外国でも様々な規制がある。主に、通常の折りたたみナイフのように刃が回転し、自動で開刃するタイプと、カッターナイフのように刃が鞘と平行に開刃するタイプ(Out-The-Front、OTFと呼ばれる)に分けられ、OTFナイフではさらに、開刃だけを自動で行い、閉じるのは手動となるシングルアクションと、開閉ともに自動で行うダブルアクションに分けられる
ツールナイフ

ツールナイフとは、刃以外にドライバー缶切りなど他の機能を担うツール(ツールブレード)を持っているもののことである。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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