ナイアーラトテップ
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私は彼らに加わって、偉大で、曖昧模糊とした、形容できないナイアーラトテップを一目見ることを恐れながら熱望していた[8]

ウィル・マリー(英語版)は、この夢のナイアーラトテップの像は、発明家のニコラ・テスラから発想を得ている可能性があると推測している。その講演には、電気装置を用いた印象的な実験が含まれており、一部の者にとって不吉なもののように見えていた[9]

ロバート・M・プライスは、ナイアーラトテップ(Nyarlathotep)という名前は、HPLが愛好した作家であるロード・ダンセイニの作品の二つの名前から影響を受けている可能性があると指摘している。ダンセイニの『ペガーナの神々』には、偽預言者であるアルヒレス=ホテップ(Alhireth-Hotep)が登場し、『探索の悲哀』には、「怒れる」神マイナルティテップ(Mynarthitep)が登場する[10]
異名と化身暗黒の男(サバトの悪魔)闇をさまようもの(燃える三眼)夜に吠えるもの(盲目にして無貌のもの)

ナイアーラトテップは変幻自在に姿を変え、千の化身と表現される。化身ごとに異名が(ときには複数)あり、ナイアーラトテップ自体を指す異名もあるので、非常に複雑なことになっている。世界中の神話の神々の何柱もが、ナイアーラトテップの別名にすぎないという側面すらある。また正体不明の神性が二次資料でナイアーラトテップの化身体とされることもある。
異名
這い寄る混沌
ナイアーラトテップの代名詞。
HPLによる短編のタイトルを流用した異名。
強壮なる使者
神々の使者であることに着目した呼称。使者を強調した異名は他にも幾つもある。登場作品:闇に囁くもの(HPL)、暗黒のファラオの神殿(ブロック)、幻夢の時計(ラムレイ)クトゥルフ神話の発展と共に、ナイアーラトテップの使者としての位置づけは、蕃神たちの使者(HPL時代)→旧支配者たちの使者(ダーレスによる大系化後)→外なる神々たちの使者(TRPG登場後)と変遷している[注 1]。人間体のときを「強壮なる使者」、怪物体のときを「這い寄る混沌」と呼び分けることもあるが厳密でもない。
化身
人の姿「暗黒の
ファラオ
二重冠を戴く、長身痩躯の人物。ドリームランドにおける姿。アザトース蕃神たちの使者として活動し、カダスの城に住まう大地の神々を庇護する。レン人やムーンビースト、ガグなど複数の人外種族から崇拝され、シャンタク鳥を使役する。登場作品:未知なるカダスを夢に求めて(HPL)、幻夢の時計(ラムレイ)
「暗黒の男」
シルエットこそ人型であるが、身体も服も全てが闇のように黒い。魔女のサバトや夢に現れ、まさしく伝承の悪魔のように振舞う。アザトースとも関わりがある。登場作品:魔女の家の夢(HPL)、ピーバディ家の遺産(ダーレス)
その他の人間体
終末の煽動者ナイアーラトテップ(ナイアーラトテップ)、物理学者デクスター(尖塔の影:ブロック)、ナイ神父(アーカム計画:ブロック)、ランドール・フラッグ(ザ・スタンドスティーヴン・キング)など。黒い肌の人物である場合が多い。
闇をさまようもの
燃える三眼と黒翼を備えた、異形の姿。アーティファクト「輝くトラペゾヘドロン」から召喚され、19世紀プロヴィデンスの新宗教〈星の智慧派〉で崇拝された。光を嫌う。登場作品:闇をさまようもの(HPL)
無貌の神
顔のない、黒いスフィンクス。三重冠をかぶり、ハゲタカの翼、ハイエナの胴体、鉤爪を備える。古代のエジプトで暗黒神として崇拝された。生贄と引換に、黒魔術の力を与える。登場作品:無貌の神(ブロック)後に別の神性〈無貌のもの〉バイアグーナと結び付けられ、作品『アボルミスのスフィンクス』に登場する。
夜に吠えるもの / 闇に棲みつくもの
異名「盲目にして無貌のもの」。北米ンガイの森における化身体。円錐形の顔のない頭部に、触手と手を備える流動性の肉体を持つ。2体のフルート吹きを従える。登場作品:闇に棲みつくもの(ダーレス)、壁のなかの鼠(HPL)
忌まわしき狩人 / 狩り立てる恐普B/ Hunting Horrors
「巨大な翼あるマムシ」と形容される。ナイアーラトテップの化身説と眷属説がある。登場作品:暗黒の儀式(HPL&ダーレス・化身説)、クトゥルフ神話TRPG(眷属説)[11]
TRPGの化身(仮面)

TRPG第7版では化身体が6個挙げられており、内訳は「暗黒のファラオ」「血塗られた舌」「闇をさまようもの」「膨らんだ女」「野獣」「黒い男」である[12][注 3][13][14]。また、データ資料の『エンサイクロペディア・クトゥルフ』は33個[15]、『マレウス・モンストロルム』は42個[16]掲載している。
暗黒のファラオ
先述。使い魔である「狩り立てる恐怖」を使役する。カルト「暗黒のファラオ団」があり、カイロに本部を置き、ロンドンに強力な支部がある。暗黒のファラオ団は、暗黒のファラオと野獣の2神を崇める。
血塗られた舌
「闇に棲みつくもの」のアレンジ版。顔がなく、代わりに舌を連想させる赤い触手が伸びている。異名「月に吠えるもの」。ケニアニューヨークにカルトがある。
闇をさまようもの / 光へ飛ぶもの / すべてのコウモリの父
「闇をさまようもの」の設定追加版。〈星の智慧派〉に加えて、オーストラリアに「砂コウモリ教団」という人間のカルトがある。異界の種族ではミ=ゴなどが崇める。
野獣
スフィンクス姿の化身で、顔は多数の星で満たされている。「野獣の結社」という世界規模のカルトがある。
膨らんだ女
TRPG『ニャルラトテップの仮面』が初出の化身体。服を着た、肥満体の雌の怪物。顔には2つの目と5つの口を備え、鼻の部分からは太い触手が伸びる。両腕は触手になっており、体のあちこちから無数の触手が生えている。腰帯に、扇と6つの鎌を差している。東洋、特に1920年代の上海に強力なカルトがある。メンバーは身体に「大胖女人」の四文字を刺青として刻んでおり、東シナ海深きものどもとの混血者も多い。現代中国語表記は「腫脹之女」となる[17]
関係性

ナイアーラトテップは、アザトースをはじめとする蕃神[注 1]たちに使役される。作品によってはクトゥルフの使者として活動する[18][19]

HPLはアザトースの三柱の御子の1体をナイアーラトテップとした。ほか、配偶者がイホウンデー(スミス)、子がイブ=ツトゥル(カーター[注 4])とされる。知名度は下がるが、マイノグーラという邪神は従姉妹とされる[20]

ドリームランドではノーデンスと対立しつつカダスの大いなるものどもを庇護する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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