ドレッシング材
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精油は、耐性菌の出現にほとんど影響しないが、反復的な使用や濃度(おそらく濃い場合)によって創傷に対して悪影響となる場合がある[17]ティーツリーセント・ジョーンズ・ワートラベンダーオレガノの研究がある[17]
有効性

英国国立医療技術評価機構 (NICE) による2018年2月までの証拠の調査では、ガーゼは、もはや日常的に使用することは推奨されていないが、新しい創傷治療のためのドレッシング材については堅牢な証拠が欠けているため、どれがいいかといった判断までは下せていない[18]。そのため、その傷への適性によって選択する[18]。抗菌作用のあるヨードや銀を含有する抗菌性のドレッシング材については、感染の兆候や症状がある場合の使用に限る[18]

2014年までのシステマティックレビュー5件では、スルファジアジン銀 (以下SSD) 含有ドレッシングのほうが治癒期間が長かったというものも含まれる[8]。それは以下を含む。2013年のコクランレビューは、SSDは、生合成ドレッシング材、銀コートまたはシリコンコートのドレッシング材より不利な治療結果となっていることと、ハイドロジェルによる熱傷の治癒期間が早いことを発見した[19]。2010年のコクランレビューは26のランダム化比較試験 (RCT) を発見し、SSD含有ドレッシング材やクリームが、治癒を促進したり、創傷による感染を予防するかについての証拠は不十分とした[20]。2012年のシステマティックレビューは、14のRCTを発見し、火傷の治癒を促進したり、感染を予防するというよりはその逆だと結論し、内訳は、SSDクリームとガーゼ12(半閉塞性Xeroformが1)、SSD含浸ガーゼ2、銀ナノ結晶ドレッシング材(Acticoatが1)[21]。2014年のランダム化比較試験は、軍事による創傷に対して治癒および感染について、銀ナノ結晶ドレッシング材(Acticoat)と無菌ガーゼを比較して差がなかった[22]。別の2014年のシステマティック・レビューは、小児の部分層熱傷に対して7つのRCTを発見し、SSDを用いない治療と比較して、銀を用いない方が治癒期間を短縮し、感染率や皮膚移植率には差がなかった[23]

2017年のシステマティック・レビューは9つのRCTを発見し、ハチミツ・ドレッシングはスルファジアジン銀ドレッシングより良好とした(銀クリーム6、銀含浸ガーゼ3)[24]
歴史蜂蜜は最古の創傷被覆材のひとつであり[10]、創傷に有効性を示した研究は少なくなく[25]システマティック・レビューは、熱傷に対して近代的なスルファジアジン銀よりも良好な治癒効果を見いだしている[24]

ハチミツは傷口を治療するため、古代ギリシャ文明のペダニウス・ディオスコリデスの De Materia Medica にも記載され、シュメール文明、エジプト文明、アーユルヴェーダ、漢方薬、聖書にも薬として記載され、現代医学が再発見している[10]。様々な地域で民俗的に使われており、例えば中国では傷跡が残るのを予防し、変色やそばかすを除去するとされてきたし、特別な創傷被覆材で創傷や熱傷以外にも白癬、脂漏、ふけ、おむつかぶれ、乾癬、痔にも使われてきた[26]

救急絆創膏は、1920年、ジョンソン・エンド・ジョンソンの社員ディックソンが、自分が家に居ないときの妻のためにテープの真ん中にガーゼをくっつけた「バンドエイド」を考案したのがはじまりである[27]

アルギネート(アルギン酸塩)は、1881年に海藻から発見され、創傷に当てると凝固してフィルム状になる[28]。その海藻自体はもともと海兵に被覆材として用いられていたもので、この海藻のアルギン酸カルシウムを繊維状に加工したものである[29]。1950年代に創傷や止血に使われたが経済性のため1970年代に製造規模が縮小し、新しい創傷治癒理論が再評価されると、1983年に復活し「ソーブサン」として販売された(日本でも同名で医療用品である)[28]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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