ドレッシング材
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

ガーゼなど従来の創傷被覆材は、傷口にくっつき剥がす時に痛み、また湿潤環境をつくることができない[6]。これら古典的な被覆材は湿潤環境を維持できないため、滲出液の少ない軽傷の場合、あるいは上から覆うなど二次的な包帯として用いられ、近代的な創傷被覆材に置き換えられている[6]

ガーゼと外用剤の組み合わせでは傷に固着するため、交換時にこれを剥がす時に、痛みや皮膚の損傷を伴うことも多いが、新しいドレッシング材は疼痛を大きく緩和したものがあり、とりわけ交換時の痛みを軽減するシリコン粘着剤を使ったものも増えてきた[7]。創傷からの滲出液の量などによって素材が選択される[8]

半透過性のフィルムは、空気や水蒸気を透過する透明なポリウレタンで浅い傷の上皮化に推奨される[6]。当初はポリエチレン様のナイロン誘導体から製造されたが、滲出液の多い場合には周囲の組織に軟化を引き起こした[6]

ハイドロコロイドは、広く用いられており、水蒸気は透過するが細菌は通さず、創傷や熱傷の軽度から中等度の滲出液に向く[6]。また、痛みがないため小児に推奨される[6]。二次的な包帯としても用いられる[6]

ハイドロゲル(ハイドロジェル)は、水分を含みやすいため、湿った環境に適しまた容易に除去できるが乾燥した場合にも向く[6]。感染、重度な滲出には向かない[6]

アルギン酸塩(アルギネート)は、海藻由来のアルギン酸のナトリウム塩やカルシウム塩の形で製造されており、滲出液・血液を吸収し保護膜を形成するが、その特性は創傷部位の脱水ともなる[6]。中等度から重度の滲出液に向き、乾燥した創傷やIII度熱傷への効果は不明である[6]

ハチミツは無毒で非アレルギー性で、傷にくっつくことはなく、痛みを与えず、心を落ち着かせ、殺菌スペクトルは広域で、抗生物質の耐性菌にも有効であり、かつ耐性菌を生まない[9][10]。元となる花の種類は効果に差を生じさせないようである[9]。ハチミツは流水後、火傷に直接つけるか、ガーゼに浸潤させたり、また閉塞性のドレッシング材にて覆ってもいい[9]。交換頻度は、滲出液によってハチミツが薄まる速度に応じて行う[9]
食品用ラップ

食品用ラップは、プラスモイスト(あるいはズイコウパッド)が登場するまで、傷や火傷の湿潤療法の普及者である夏井睦や、同じく褥瘡に対する鳥谷部俊一が用いてきたものである。

きわめて安価であるが、火傷ではラップの欠点は、吸収力がなく、ずれやすく、破れやすく、とびひをつくりやすいため特に暑い時期には1日数回、洗浄・交換が必要となる[11]。滲出液の多い場合は、上からオムツで覆った[11]

鳥谷部俊一によれば、ラップは閉鎖しないため滲出液を閉じ込めることはなく、傷を閉鎖することはない[12]。2005年には、水切り袋とオムツを組み合わせて、かぶれることが減るなど改良され、その後、メーカーとで試作しモイスキンパッドが誕生した[13]
補となる素材

セラミド(保湿)含有のドレッシング剤は、皮膚バリア機能を損なった人にセラミドの皮膚への移行を増加させ、水分保持を増加せるため褥瘡を予防する可能性がある[14]

テープなど貼り付け剤はあまり研究されていないが、皮膚の保湿性を損なうことがあり鎮痛薬ではケトプロフェン貼り付け剤のものに見られた(詳細は要旨に書かれていない)[15]。貼り付けから1日後にアクリル系粘着剤を使ったポリエチレン、合成ゴム粘着剤の塩化ビニルでは皮膚水分量が増加し、剥がすと蒸発量が上昇し、アクリル系粘着剤を使った不織布では水分量の増加・蒸発量の増加の変動が少なかった[16]。試験中アクリル系ジェル粘着剤ポリエチレンが剥がれた回数は31回、アクリル系粘着剤不織布は7回、ほかは1-2回であった[16]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:60 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef