ドレッシング材
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歴史蜂蜜は最古の創傷被覆材のひとつであり[10]、創傷に有効性を示した研究は少なくなく[25]システマティック・レビューは、熱傷に対して近代的なスルファジアジン銀よりも良好な治癒効果を見いだしている[24]

ハチミツは傷口を治療するため、古代ギリシャ文明のペダニウス・ディオスコリデスの De Materia Medica にも記載され、シュメール文明、エジプト文明、アーユルヴェーダ、漢方薬、聖書にも薬として記載され、現代医学が再発見している[10]。様々な地域で民俗的に使われており、例えば中国では傷跡が残るのを予防し、変色やそばかすを除去するとされてきたし、特別な創傷被覆材で創傷や熱傷以外にも白癬、脂漏、ふけ、おむつかぶれ、乾癬、痔にも使われてきた[26]

救急絆創膏は、1920年、ジョンソン・エンド・ジョンソンの社員ディックソンが、自分が家に居ないときの妻のためにテープの真ん中にガーゼをくっつけた「バンドエイド」を考案したのがはじまりである[27]

アルギネート(アルギン酸塩)は、1881年に海藻から発見され、創傷に当てると凝固してフィルム状になる[28]。その海藻自体はもともと海兵に被覆材として用いられていたもので、この海藻のアルギン酸カルシウムを繊維状に加工したものである[29]。1950年代に創傷や止血に使われたが経済性のため1970年代に製造規模が縮小し、新しい創傷治癒理論が再評価されると、1983年に復活し「ソーブサン」として販売された(日本でも同名で医療用品である)[28]。ハイドロコロイドは他の治療に用いられていたが、1973年に有効性が確認された[29]

1982年に、ハイドロコロイドのデュオダーム、イギリスでプラスチック・ドレッシングのシンタダーム、1983年にアルギネートが再評価されソーブサンが発売され、1987年にウレタンフォームのハイドロサイト、1993年にハイドロゲルのイントラサイトジェル、これらのプラスチック製の創傷ドレッシングが近代的ドレッシングと呼ばれる[30]

ジョンソン・エンド・ジョンソンは2004年に、ハイドロコロイド製の「バンドエイド キズパワーパッド」を発売[31]。自由に切って使えるシート状の「プラスモイスト」(瑞光)や「ハイドロウェット」(森下仁丹)といった商品も販売されている[31]。ほかにも「ケアリーブ」(ニチバン)など様々な製品が登場している。
伝統医療 - 現代の医学素材

卵殻膜 - 卵の薄皮とも呼ばれ、民間療法で用いられる。

ワセリン - 現代の医療では絆創膏がない場合は傷に対してワセリンを塗ってラップやくっつかないガーゼなどで保護して湿潤療法とするのが勧められる[32]

ガマの油 - 含有成分にワセリンが含まれる。


ゼオライト - 血液と反応し血液を凝固させるが、副次的に熱を発生し熱傷を負うことがある。粉末や止血帯の形で使用する。

カオリナイト- 止血効果を持ち軍用の止血剤として利用されている。

珪藻土 - 創傷被覆材として利用される。

マツ花粉 - 中国で止血に用いられた。

マツの皮 - 中国で傷口を覆うのに使用された[33]

松の脂分- 傷ついた兵士の止血薬として用いられた[34]

共感の粉 - 硫酸鉄(II)からなると言われている。重金属による殺菌効果(オリゴダイナミクス効果(英語版))によって傷が悪化しないようにした。

真珠粉(英語版) - 傷や肌に良いとされ中国・ヨーロッパで使用されたが、有害であるという批判もあった。

クモの網 - 古代ギリシアの時代から傷口に塗り込む形で使用され、未洗浄の糸でも傷口を閉じれ拒絶反応もなく、あとから取り除く必要もない[35][36]

出典^ a b 穴沢貞夫、倉本秋 2005.


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