ドレッシング材
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ハチミツは無毒で非アレルギー性で、傷にくっつくことはなく、痛みを与えず、心を落ち着かせ、殺菌スペクトルは広域で、抗生物質の耐性菌にも有効であり、かつ耐性菌を生まない[9][10]。元となる花の種類は効果に差を生じさせないようである[9]。ハチミツは流水後、火傷に直接つけるか、ガーゼに浸潤させたり、また閉塞性のドレッシング材にて覆ってもいい[9]。交換頻度は、滲出液によってハチミツが薄まる速度に応じて行う[9]
食品用ラップ

食品用ラップは、プラスモイスト(あるいはズイコウパッド)が登場するまで、傷や火傷の湿潤療法の普及者である夏井睦や、同じく褥瘡に対する鳥谷部俊一が用いてきたものである。

きわめて安価であるが、火傷ではラップの欠点は、吸収力がなく、ずれやすく、破れやすく、とびひをつくりやすいため特に暑い時期には1日数回、洗浄・交換が必要となる[11]。滲出液の多い場合は、上からオムツで覆った[11]

鳥谷部俊一によれば、ラップは閉鎖しないため滲出液を閉じ込めることはなく、傷を閉鎖することはない[12]。2005年には、水切り袋とオムツを組み合わせて、かぶれることが減るなど改良され、その後、メーカーとで試作しモイスキンパッドが誕生した[13]
補となる素材

セラミド(保湿)含有のドレッシング剤は、皮膚バリア機能を損なった人にセラミドの皮膚への移行を増加させ、水分保持を増加せるため褥瘡を予防する可能性がある[14]

テープなど貼り付け剤はあまり研究されていないが、皮膚の保湿性を損なうことがあり鎮痛薬ではケトプロフェン貼り付け剤のものに見られた(詳細は要旨に書かれていない)[15]。貼り付けから1日後にアクリル系粘着剤を使ったポリエチレン、合成ゴム粘着剤の塩化ビニルでは皮膚水分量が増加し、剥がすと蒸発量が上昇し、アクリル系粘着剤を使った不織布では水分量の増加・蒸発量の増加の変動が少なかった[16]。試験中アクリル系ジェル粘着剤ポリエチレンが剥がれた回数は31回、アクリル系粘着剤不織布は7回、ほかは1-2回であった[16]
抗菌性

多くの種類の抗生物質が使われ、創傷被覆材にも組み込まれたりしたが、21世紀初頭には新たな抗生物質の開発は停滞してきており、耐性菌の問題も抗生物質の過剰な使用や誤った使用によって急増している[17]。そのため、耐性菌に対応するための精油、ハチミツ、銀や金など金属のナノ粒子を使ったものが研究され創傷被覆材に組み込まれるようになった[17]。銀イオンを放出することにより抗菌効果を謳った製品があるが、これらは例外なく正常細胞への毒性をもち創傷治療を遅らせることが判明している。[1] [2]

精油は、耐性菌の出現にほとんど影響しないが、反復的な使用や濃度(おそらく濃い場合)によって創傷に対して悪影響となる場合がある[17]ティーツリーセント・ジョーンズ・ワートラベンダーオレガノの研究がある[17]
有効性

英国国立医療技術評価機構 (NICE) による2018年2月までの証拠の調査では、ガーゼは、もはや日常的に使用することは推奨されていないが、新しい創傷治療のためのドレッシング材については堅牢な証拠が欠けているため、どれがいいかといった判断までは下せていない[18]。そのため、その傷への適性によって選択する[18]。抗菌作用のあるヨードや銀を含有する抗菌性のドレッシング材については、感染の兆候や症状がある場合の使用に限る[18]

2014年までのシステマティックレビュー5件では、スルファジアジン銀 (以下SSD) 含有ドレッシングのほうが治癒期間が長かったというものも含まれる[8]。それは以下を含む。2013年のコクランレビューは、SSDは、生合成ドレッシング材、銀コートまたはシリコンコートのドレッシング材より不利な治療結果となっていることと、ハイドロジェルによる熱傷の治癒期間が早いことを発見した[19]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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