ドラえもん_のび太のねじ巻き都市冒険記
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その他大長編では『のび太と雲の王国』とリンクしている場面もある。また、漫画では(大長編のお約束へのツッコミであるかのように)のび太のママたちが「勉強すると言って集合したけど、本当は危険な冒険に出かけたんじゃ…」と心配するシーンがある[注 2]
映画

映画の監督を務めた芝山努は、この映画だけは9月の打ち合せの時点で藤本から話の大筋をある程度伝えられていたと後に語っている。また、種まく者がのび太に対し「きみならこの星をまかせていける」と語るシーンがある事から、種まく者は藤子・F本人ではとも語っている[4]

映画は、基本的なコンセプトは漫画と同じだが、登場人物や鬼五郎の設定などに違いが見られる。予告映像にて存在していた動物の村などは本編には登場しない。
また、予告映像では小便小僧が森を鎮火し「まさかこれで終わりってことは…」とのび太が言った後、結末を飾る場面で種まく者が出現する。しかし本編では大幅に変更され、結局最後はのび太が皮肉を言った小便小僧の鎮火の後、鬼五郎が改心して締めくくった。
大長編に登場する「マックドナルド」は映画には登場しない。なお映画予告編では、一部にフランス語と英語が用いられていた。

映画はドラえもん (1979年のテレビアニメ)のスタッフにより制作された。4:3サイズで製作された最後の作品である。

本作で菊池俊輔が劇場長編作品の音楽担当を降板し、以後『帰ってきたドラえもん』などの劇場短編作品とテレビシリーズを引き続き担当している。
漫画(単行本)

1997年9月に単行本(てんとう虫コミックス)が発売された。その際に、藤子プロのスタッフ(萩原伸一)により2頁の加筆(154頁と155頁)が行われた。

以下に、てんとう虫コミックスの単行本を例に、藤本の作業箇所等を示す。
表紙カバー、4頁から6頁まで
藤本が通常通りにペン入れを行って完成させた部分。
3頁、および7頁から57頁まで(連載第1回、第2回に相当)
藤本の下描きを、藤子プロのスタッフがペン入れを行って仕上げた部分。通常はドラえもんの全身と登場人物の顔のペン入れは藤本が行うが、体調不良のため行えなかった。57頁目が藤本が完成した姿を確認した最後の頁となった。
58頁から79頁まで(連載第3回に相当)
藤本が遺した全頁分の下描き(ただしスタッフに渡す直前の段階のものではなくラフな部分も残ったもの)をもとに、藤子プロのスタッフがペン入れを行って仕上げた部分。
80頁から176頁(連載第4回?第6回に相当)
藤本が遺したネーム、原案、メモ等をもとに、藤子プロのスタッフが下描きから作業を行って完成させた部分。結末までの展開を藤本から聞いていた芝山努監督や、編集者との話し合いも重ねられながら執筆が行われた。
あらすじ

ある日の夜、のび太は空き地でドラえもんのひみつ道具「生命のねじ(いのちのねじ)」を使い、命を得たウマのぬいぐるみパカポコと一緒に走る練習をしていた。しかし空き地は手狭であり、またのび太はジャイアンやスネ夫に「牧場を持っている」と嘘をついてしまったため、何とかならないかと考えていると、ドラえもんが22世紀から福引の小惑星引換券を持ってくる。そこに牧場や町を作ろうと思ったのび太は早速、どこでもドアを使って小惑星を調べることに。そのことごとくが小さな岩塊ばかりの「ハズレ券」だったが、最後に残った星の番号をドアに告げると、ドアの先は大自然の広がる美しい星に繋がっていた。

のび太たちはこの星に各自が持つおもちゃを持ち込み、それらにパカポコ同様「生命のねじ」で命を吹き込んで開拓を始め、おもちゃの町「ねじ巻き都市(ねじまきシティー)」を作り上げる。更には効率的に人口を増加させるため、タマゴコピーミラーによるおもちゃの複製施設エッグハウスも建造される。その傍ら、この星の秘密を探るべく調査も始めるが、衛星写真によると森の向こうにある湖が黄金に輝いており、大金塊が沈んでいるのではないかと一行は考える。早速、調査に出発するも、不思議なことにどこからともなく「出ていけ」というささやき声が聞こえるようになり、さらには原因不明の雷雨にまで見舞われてしまい、引き返さざるを得なくなる。

落雷が落ちたエッグハウスからは、高度な知性を備えた状態で生まれたおもちゃ・ピーブが生まれる。これを皮切りに、次々と知性を持ったおもちゃが生まれていき、ねじ巻き都市は自我のあるおもちゃが独自の社会を形成するようになっていった。そんなある日、脱獄囚・熊虎鬼五郎が偶然にものび太の部屋にあったどこでもドアを通り、ねじ巻き都市に入り込んだ。そして全く意図しない偶然により「タマゴコピーミラー」で自身のコピーを大量に生み出してしまったのだ。そのうちのホクロがあるコピーだけは何故かオリジナルに似ず気弱でお人好しだった。

ドラえもん一行は都市で楽しく過ごしつつ、新たな都市開発を進めていた。件の湖の調査についても、誰かに横取りされる訳でもないからと先送りにしていたが、それを知った鬼五郎は自身のコピー達を従えて金塊を先に手に入れるべく湖を目指す。しかし湖に沈んでいたのは金塊などではなく黄金の巨人だった。鬼五郎一家はなんとか巨人から逃げ切り、今度はドラえもん一行を直接脅すことを画策する。

一方、ピーブら都市のおもちゃ達は優れた知能によって自然に寄り添った開発を実現していき、排気ガスを出す車を売るスネ夫と森を切り倒す都市開発を進めるジャイアンを批難する。スネ夫はクリーンエネルギーへの切り替えを了承したもののジャイアンは熱中していた開発を止められて落ち込み、ドラえもん一行はジャイアンを慰めるべく、彼の大事にしていたおもちゃのゴジちゃん(ティラちゃん)の捜索も兼ねてロケットで宇宙からこの星を調べる計画を立てる。ジャイアンのおもちゃはすぐに見つかったものの、ロケットに乗り込もうとした矢先、鬼五郎一家が現れて一行を捕まえようとする。なんとかその場は逃れたが、崖を越える際にしずかを助けようとしたのび太が谷底に転落してしまった。しかし悲しむ間も無く、黄金の巨人が再び現れる。ラジコンでの抵抗も通じず、やむなく一行と鬼五郎一家はロケットで飛び立ち、スネ夫の宇宙ステーションのプラモに退避する。

谷底ではのび太が不思議な少年と対面していた。彼は種まく者。あの黄金の巨人の正体であり、かつて地球に「生命の種」である有機物質を撒いた創造主であった。彼はこの星にも生命の種を撒き、植物の楽園としようとしていたのだが、のび太がハズレ券の番号を読み間違えて偶然この星に来てしまった事により、当初は雷雨によって彼らを追い出そうとしていた。しかしその後の彼らの姿を見て考えを改め、自然との共生を考えるのび太やピーブたちにこの星を任せる事を決めたのだった。事実、今こうしてのび太が生きているのも植物が自ら助けたからだった。そして鬼五郎の件は彼らが自力で乗り越えるべき試練だとして、次の星に種を撒くべく宇宙へと去って行った。

巨人が星を去る姿を目撃した鬼五郎一家は、もう恐れるものは無くなったと言わんばかりにステーションを爆破し、その勢いで星に戻ることを画策する。更には邪魔なドラえもん達をステーションごと始末しようとしたのだ。絶体絶命の中、ホクロが密かにしずかのロープを緩めていたことで間一髪脱出に成功。スペアポケットを通じて追って来たのび太とも合流する。

ドラえもん一行が星に戻ると、既にねじ巻き都市は鬼五郎一家によって乗っ取られていた。ホクロを除く鬼五郎一家は森を切り倒してカジノやホテルを建てようと計画していたが、ドラえもん一行は捕らわれのピーブを救出し、鬼五郎一家を追い出すことに成功する。また攻めてくるであろう鬼五郎一家からこの星を守るべく、ピーブやおもちゃ達は戦う事を宣言。のび太も種まく者の言葉を思い出し、決意を新たにする。

翌日、一行とおもちゃ達は協力して戦い、オリジナルの鬼五郎を除くコピー達を拘束する。元より戦意の無いホクロも戦いを放棄する。鬼五郎は森に火を放つという暴挙に及ぶも、命を吹き込まれた小便小僧の活躍で鎮火。森の奥に逃げた鬼五郎を捕まえるべく、のび太はドリーマーズランドの記念品であるフワフワ銃を手にし、パカポコに乗って森を駆ける。


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