ドバイ
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一方、一人当たり実質GDPで比較した場合、日本の2022年の48,813ドル[36]に対し、ドバイは74,917ドル[37]と高く、1.5倍以上の開きがあることが浮き彫りとなる。一人当たり名目GDPもやはり同様で、ドバイの2022年の数値は45,698ドル[38]であり、これは日本の数値39,243ドルを1.16倍以上[39]確実に上回る。GDPにおける石油産業の割合は僅か1%台である[40]
産業多角化

元来の石油埋蔵量の少なさにより石油依存型経済からの脱却を志向せざるを得なかったドバイは、特に1980年代の半ば頃から経済政策として産業の多角化を積極的に進めた。国を挙げて中東における金融流通、および観光の一大拠点となるべくハード、ソフト双方のインフラストラクチャーの充実に力を入れた。

その流れの中で1981年1985年)に開設に至ったジュベル・アリ・フリーゾーン (JAFZ)は、外資の直接投資の自由や外国人労働者の雇用の自由を完全に保障する経済特区で、その性質から外国企業や資本の進出を多大に促進した[10][11]

その結果、日本やアメリカ、イギリスなど世界各国の大企業がドバイに進出している。市内や一大リゾートエリアとして開発されたジュメイラ・ビーチ周辺には超高層ビルや高級ホテル、別荘などが立ち並んでいる他、多くのショッピングモールテーマパークが建設されているが、2007年後半に起きたアメリカのサブプライムローン問題に端を発した世界経済の低迷により、外国企業からの投資引き上げや地元企業の資金繰り悪化と、それに伴う多数の建築工事や計画の変更、見直しが行われた。

その後の世界経済の回復に伴い、ドバイも中東経済のハブとしての開発を再加速した。2010年代以降は観光客や商業、金融だけでなく、ベンチャーを含むハイテク分野の企業・人材の誘致に力を入れている。空を飛ぶドローンタクシー3Dプリンターによる大型建築など新しい技術導入の実証実験や規制緩和に積極的である。付加価値税が2018年に導入されたものの、法人税所得税、現地住民の雇用義務がなく、外資が進出しやすくしている[41]

商業や観光、金融といった第三次産業の発展により、GDPに占める第一次産業の占める割合は減り続けた。石油の割合も2%以下となっている。しかし現在も漁業が盛んに行われている他、砂漠地帯ではアラビアンデザートダイアモンドが採取できる。
中東の金融センター

また、政府の政策が功を奏し、1980年代には早くも中東における一大流通拠点としての地位を獲得した上に、その後も世界の主だった金融機関が進出してきたことから、ドバイは名実ともに中東の金融センターとしての位置を占めることに成功した。このため「中東のシンガポール」と呼ばれることもある。イギリスのシンクタンク2017年3月に発表した調査によると、世界25位の金融センターと評価されており、中東の都市では首位である[42]。ドバイの証券取引所であるドバイ金融市場時価総額の合計は、2015年11月時点で870億ドルであり、日本取引所グループの2%未満の規模である[43]
ドバイショック詳細は「ドバイ・ショック」を参照

リーマン・ショック後、これまで急激な勢いで伸び続けてきたドバイの経済成長にも陰りが生じた。上記のように2009年11月には、政府が欧米系の金融機関に対して、政府系不動産開発会社のナキール社とその持株会社のドバイ・ワールド社の債務約590億ドルについて支払い猶予を求めると発表したため、政府系とみられていたドバイ・ワールド社の債務を国が肩代わりしなかった事で欧米系の金融機関に政府に対する信用不安の広がりがアジアに波及し、円高を引き起こした。

2010年10月時点、少なくともパームアイランド、ドバイワールドなどの大型事業を含め、多数の計画が需要予測の変動に応じて見直しとなっている。 ドバイのパノラマ写真・中央がブルジュ・ハリファ
観光ドバイの夜景ザ・ワールド

世界有数の観光都市に成長しており、2012年マスターカードが公表した統計によると、世界で8番目に外国人旅行者が多く訪れる都市であり、中東では随一である[44]。現在は観光を軸とした一貫した政策のもとで、ジュメイラビーチの人工島に建設された世界最高級の高層ホテルである「ブルジュ・アル・アラブ」などの高級リゾートホテルや中東地域最大のショッピングセンターの建設、人工衛星から見える唯一の人工島群である「パーム・アイランド」や「ザ・ワールド」「ジュメイラ・アイランズ」「ドバイウォーターフロント」「ジュメイラ・レイク・タワーズ」「ドバイ・マリタイム・シティ」「ドバイ・メディア・シティ」「レゴランド・ドバイ・リゾート」「ドバイマリーナ」、砂漠の人工スキー場「スキー・ドバイ」など各種観光資源の開発に力を注いでいる[45]。2018年に完成したドバイフレームも、「額縁の形をした世界最大の建造物」としてドバイの新しい顔となっている。ドバイ発祥の地であるドバイ・クリーク両岸の旧市街も、インドパキスタン等からの商人が集う交易の中心地であると共に、多くの観光客を集める地域である。ドバイ・クリークの北東岸のディラ地区にはスパイス・スークゴールド・スークが、南西岸のバール・ドバイ地区にはテキスタイル・スークアル・バスタキヤ歴史地区[46]がある。ドバイ・クリークには多数の木造貨物船ダウ船が停泊し、両岸を結ぶ木造の渡船アブラが頻繁に行き交っており、観光名所ともなっている。

上記のように国際的な交易や金融、観光拠点としての発展を目指す戦略の一環として、ドバイ国際空港を中東やその周辺地域を結ぶハブ空港とすべく航空インフラの充実に力を入れてきた。エミレーツ航空が世界の全大陸(南極大陸を除く)との間を就航しているほか、世界各国から多くの航空会社が乗り入れている(「交通」を参照)。

その甲斐もあり、近年は中東諸国からだけではなく世界中から観光客が訪れている。野心的なプロジェクトも進めており、2010年には世界一高い高層ビル「ブルジュ・ハリーファ」が完成している。

また、競馬国際GIドバイワールドカップ」がメイダン競馬場1996年 - 2009年まではナド・アルシバ競馬場)にて開催されている他、モータースポーツゴルフマリンスポーツの世界的な大会の誘致を積極的に行っている。

2007年10月時点、ドバイには46のショッピングモールがある[47]。2008年10月31日には世界最大規模のショッピングモール「ドバイ・モール」が正式オープン[48]。現在、世界最大のテーマパークである「ドバイランド」が2015年から2018年の開業に向けて建設中である。


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