ドップラー効果
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そもそもドップラー効果の原因は、波源や観測者が波の媒質に対して速度を持つために波の山の間隔が変わる所にあるが、光は波源や観測者の速度によらず常に光速 c {\displaystyle c} で伝播するように観測されるので、山の間隔の変わり方が通常の波の場合とは異なってくる。また、光の場合は波源が運動していると、特殊相対論的な効果によって波源上での時間の進み方が遅れて観測される。これにより、波源から出る光の振動数が小さく観測される効果が付け加わる。

以上の効果によって、光源Sが観測者Oから見て角度 θ {\displaystyle \theta } の方向に速さ V {\displaystyle V} で運動している場合、Oでの光の振動数 ν ′ {\displaystyle \nu '} は、 ν ′ = ν × 1 − ( V / c ) 2 1 − ( V / c ) cos ⁡ θ {\displaystyle \nu '=\nu \times {{\sqrt {1-(V/c)^{2}}} \over 1-(V/c)\cos \theta }}

となる。ここで、 ν {\displaystyle \nu } : 光源の出す光の振動数、 V {\displaystyle V} : 観測者から見た光源の速さ、 c {\displaystyle c} : 光速、 θ {\displaystyle \theta } : 観測者から見た光源の動く方向( θ {\displaystyle \theta } =0 :観測者に向かってくる場合)

重要なのは、光の場合には光源が観測者の視線方向に対して垂直に運動しており、視線方向の速度を持っていない場合( θ {\displaystyle \theta } =90°)でも光の振動数が変化して見えることである。これを横ドップラー効果という。

光のドップラー効果は星虹(スターボウ)として観測が可能であるという説がある。
実用

実際の活用法としては、恒星などの天体の可視光スペクトルに見られる吸収線(フラウンホーファー線)の波長の理論値とのズレ(ドップラー・シフト)から、地球とその天体との相対速度を算出できる。また、同じ電磁波におけるドップラー効果を利用したものとしてドップラー・レーダーがある。
原子炉のドップラー効果

原子炉の安定性にもドップラー効果は関係する。中性子の核反応スペクトルにも熱運動によるドップラー幅がある。温度が上がるとドップラー幅は広がり、その結果中性子の吸収が起きやすくなる。これは温度が上がるにつれて系内の中性子が少なくなることを意味し、そのため核分裂連鎖反応は収束する方向となる。すなわち、核分裂連鎖反応は温度に対して一定の自己制御性をもっている。原子炉においては、このことを指してドップラー効果と呼び、温度上昇に対する反応度の低下の割合をドップラー係数という。
ドップラー効果を応用した装置

ロータリースピーカー - 上記効果など応用して音色を変化させるスピーカー。演奏時に使用される。

ドップラー・レーダー

近接信管

レーザドップラー流速計

スピード測定器

医療用超音波検査装置

ドップラー・ライダー

方向探知

測位衛星

脚注[脚注の使い方]^ 日本超音波医学会では、Dopplerの英語発音: [?d?pl?] に近い「ドプラ」と表記・発音する。

参考文献

Doppler, Christian Andreas、1842年『Uber das farbige Licht der Doppelsterne und einiger anderer Gestirne des Himmels』(Studnicka, Frantisek Josef 1903年 Konigl. Bohm.科学出版社再版)、ウィキソース:de:Uber das farbige Licht der Doppelsterne und einiger anderer Gestirne des Himmels
インターネットアーカイブ: ueberdasfarbigel00doppuoft.

関連項目ウィキメディア・コモンズには、ドップラー効果に関連するメディアおよびカテゴリがあります。

物理学 - 波動論

フェージング

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