ドクトル・マブゼ
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フォン・ハルボウ=ラングの脚本・監督チームはマブゼの活躍を通して、ドイツの第一次世界大戦敗戦後のインフレーションにあえぐドイツの世相を美化せず描くことをめざし、悪事で大金をつかんだ人々が罪を問われないままこの世の春を謳歌するといった皮肉な設定が随所に盛り込まれている[4]

賭博の場面が多いことをもって経済的な無秩序の強調であるとか、マブゼが催眠術をさかんに用いるのは、敗戦後の自主性を失った不安定な精神状態を反映したものであるといった批評は、戦間期ドイツの芸術についてしばしば行われるが、近年では、その後のドイツの破滅を前提とした見方として退けられることが多い[5]。監督のラングは、世相批判ではなく、あくまでドイツの観客を熱狂させる娯楽大作をめざしていたことも最近の研究で裏づけられている[6]

経済協定書を奪う序章で駆使されるテンポの速い編集は、その後ハリウッドでスリラー映画に受け継がれる映像技法の先駆として、近年高く評価されるようになった[7]

ドイツ国内はもちろん、1923年にほとんどオリジナル版のままロンドンパリで公開され、公開されたときも大当たりだった。日本では同じ年に全15巻に短縮されたものが公開され、大きな反響を呼んだが、アメリカではようやく1927年になって、わずか90分に短縮されたものが公開され、よくわからないところが多いと不評をこうむった[要出典]。

脚注[脚注の使い方]^ Hans Helmut. Prinzler. Sirens & sinners : a visual history of Weimar film, 1919-1933, New York, NY : Thames & Hudson 2013
^ Adams, Michael, and Adams. "Lang, Fritz." Movies in American History: An Encyclopedia, edited by Philip C. DiMare, ABC-CLIO, 1st edition, 2011.
^ "German Expressionism." Routledge Companions: The Routledge Companion to Film History, edited by William Guynn, Routledge, 1st edition, 2010.
^ Eisner, Lotte. Fritz Lang. Oxford University Press New York, 1977.
^ Gunning, Tom. The Films of Fritz Lang: Allegories of Vision and Modernism. British Film Institute London, 2000.
^ Noah William Isenberg. Weimar cinema : an essential guide to classic films of the era, New York : Columbia University Press c2009
^ Humphries, Reynold. Fritz Lang: Genre and Representation in His American Films. Baltimore and Johns Hopkins University Press London, 1989.

外部リンク

ドクトル・マブゼ
- allcinema

ドクトル・マブゼ - KINENOTE

Dr. Mabuse, der Spieler - Ein Bild der Zeit - オールムービー(英語)

Dr. Mabuse, der Spieler - Ein Bild der Zeit - IMDb(英語)










フリッツ・ラング監督作品
ドイツ時代前期
1919 - 1933年

ハルプブルート(ドイツ語版) (1919)

デア・ヘル・デア・リーベ(ドイツ語版) (1919)

蜘蛛(ドイツ語版) (1919)

ハラキリ (1919)

支離滅裂なイメージ(ドイツ語版) (1920)

死滅の谷 (1921)

ドクトル・マブゼ (1922)

ニーベルンゲン(ドイツ語版) (1924)

メトロポリス (1927)

スピオーネ (1928)

月世界の女 (1929)

M (1931)

怪人マブゼ博士 (1933年) (1933)

亡命(フランス・アメリカ)時代
1934 - 1956年

リリオム(英語版) (1934)

激怒 (1936)

暗黒街の弾痕 (1937)

真人間 (1938)

地獄への逆襲 (1940)

西部魂 (1941)

マン・ハント(英語版) (1941)

死刑執行人もまた死す (1943)

恐怖省 (1944)

飾窓の女 (1944)

スカーレット・ストリート (1945)

外套と短剣(英語版) (1946)

扉の陰の秘密 (1947)

ハウス・バイ・ ザ・リバー(英語版) (1950)

アメリカン・ゲリラ・イン・フィリピン(英語版) (1950)

無頼の谷 (1952)

熱い夜の疼き(英語版) (1952)

青いガーディニア(英語版) (1953)

復讐は俺に任せろ (1953)

仕組まれた罠(英語版) (1954)

ムーンフリート(英語版) (1955)

口紅殺人事件 (1956)

条理ある疑いの彼方に (1956)

ドイツ時代後期
1957年以降

大いなる神秘 情炎の砂漠(ドイツ語版) (1958)

大いなる神秘 王城の掟(ドイツ語版) (1958)

怪人マブゼ博士 (1960年)(ドイツ語版) (1960)

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