“レリック”とは、マスターズ・オブ・ミスティック・アーツに属する魔術師たちが魔術と共に駆使する、強力な魔力を秘めた道具の総称である。
スリング・リング
使用する魔術師が望む行き先へのゲートウェイ(出入り口)や、この次元と“ミラー次元”の往来を行うための水晶のような入り口を瞬時に展開するための指輪。魔術師の基本的なレリックの一つである。ストレンジは単に移動手段として利用するだけでなく、展開したゲートウェイやミラー次元への入り口で敵からの飛び道具攻撃を他の場所へ飛ばして無効化したり、ゲートウェイをスライドさせて他者も瞬時に他の場所へ送る、ミラー次元への入り口を防壁として使い、すかさずスライドさせてミラー次元に閉じ込めようとするなどの応用も披露する。
浮遊マント(Cloak of Levitation)
サンクタム・サンクトラム(ニューヨーク)内の陳列室のガラスケースに収められていた赤いマント。その本体は日本製のウールを重ねたもので[11]、端には刺繍が、内側のライニングにはチェッカー模様のプリントがそれぞれ施されており、襟の前にはルビーがはめ込まれた金の装飾留め金があてがわれている[11]。レリックの一つであるものの、意思を持っており、カール・モルドとエンシェント・ワンによれば、気まぐれな性格で他人にはなかなか懐かないというが、気に入られるとマント自身が魔術師へと取り付くように身に付けられる。このマントを身につけると、空中を自在に浮遊飛行できるようになり、ストレンジがマントを身に付けた後に魔術の威力が増した描写があることから、魔力を増幅する力もある様子。また、戦闘中にマント単体が敵に巻きついて攻撃したり、助言するような行動を示したり、危険を探知してストレンジを窮地から遠ざけるなど、独自に支援する場合も多い[注釈 15]。カエシリウスに苦戦していたストレンジに突如として加勢し、以後彼の愛用品となった。
アガモットの目
至高の魔術師の初代であったアガモットの名を冠した首飾り。時間そのものを自在に操ることができ、使用時にはペンダント本体部分が駆動して内部の緑色の石が露出・発光し、独特の緑色の魔法円が展開する。これによって時間逆行や未来予知など、驚異的な魔術を発動させることができるが、並の魔術師には扱えない。内部に収められている緑色の石は“インフィニティ・ストーン”の一つである、時間を操る力を持つ“タイム・ストーン”である。カマー・タージ内のサンクタム・サンクトラムへ繋がる扉の間のアンティチェンバーに置かれていたが、ゼロッツとの戦いの直前からストレンジが持ち出し、後に正式な保有・守護者として首に下げる。時間逆行の他にも、視えない対象物を具現化したり、封じられた扉を開かせたり等、タイム・ストーンが無い状態でも別の魔術を行使出来る。“アース21818”では、ノーウェアにあるコレクションルームにおいて、タニリーア・ティヴァン/コレクターがコレクションするアイテムの一つとしてワンシーンのみ登場する。
このほかにもカエシリウスとの戦いではレリックの“ボムガリアスの火鉢”や“サイトラックのクリムゾン・バンド”も投擲に使用した。
その他のアイテム
ジャガー・ルクルト
マスター・ウルトラスリム・パーペチュアル[12]
ストレンジがクリスティーン・パーマーから貰った高級腕時計で、本体の裏には『Time will tell you how much I love you, Christine.』というメッセージが彫られている。事故後のストレンジは、両手の手術費用のために保有していたさまざまな高級品を売り払ったが、唯一この腕時計だけは売らなかった。しかし、カトマンズの路地裏で暴漢にこれを狙われた挙句、ストレンジが袋叩きにされたことで文字盤は割れてしまい、動かなくなってしまった。それでもストレンジはこの腕時計を持ち続け、“ドルマムゥ”の撃退後、修理することなく左手に巻く。まさにストレンジのクリスティーンに対する想いが込められた腕時計である。
グランド・レベルソ・ウルトラスリム 1931 ルージュ[12]
ストレンジがかつてニューヨークの自宅アパートの引き出しのケース内に仕込んだウォッチワインダーに収納していた高級腕時計コレクションの一つ。