中部・南部方言は、「第二次子音推移」ないし「高地ドイツ語子音推移」と呼ばれる子音変化が起こったが、北部方言では起こらなかったので、子音に規則的な違いが見られる[5]。中・南部方言はさらに中部ドイツ語(Mitteldeutsch)と上部(南部)ドイツ語(Oberdeutsch)に分けられる。
高地ドイツ語(Hochdeutsch)
中部ドイツ語(Mitteldeutsch)
西中部ドイツ語(Westmitteldeutsch)
中部フランケン諸語(Mittelfrankisch) - 中部フランク方言、「フランケン語」(フランク語)に分類される。
モーゼル・フランケン語(Moselfrankisch) - モーゼルフランク方言
ルクセンブルク語(Letzebuergesch)
リプアーリ語
ケルン語(Kolsch)
ジーベンビュルガー・ザクセン語(Siebenburgersachsisch) - ルーマニア・トランシルヴァニアでトランシルヴァニア・ザクセン人によって話される。「ザクセン」の名があるが、実際には中部フランケン語の系統である。
ラインフランケン語(Rheinfrankisch) - ラインフランク方言
ヘッセン語(Hessisch)
ロートリンゲンフランケン語(Lothringisch) - ロートリンゲンフランク方言
プファルツ方言(Pfalzisch)
東中部ドイツ語(Ostmitteldeutsch)
テューリンゲン方言(Thuringisch) - 「上ザクセン語(Obersachsisch)」とも呼ばれ、書き言葉の標準ドイツ語のベースとなった。
ベルリン方言(Berlin-Brandenburgisch) - ベルリンで話される。
ラウジッツ方言(Lausitzische) - ブランデンブルク州南部で話される。
高地プロシア方言(Ermlandisch) - フランクフルト・アン・デア・オーダーで話される。
低シレジア方言(Schlasch) - ポーランドシレジア地方、チェコボヘミア地方、ブランデンブルク州の一部で話される。
ヴィラモヴィアン語(Wilmesaurisch) - ポーランド南西部のビェルスコ=ビャワ近郊の町ヴィラモヴィツェで話される。
上部ドイツ語(Oberdeutsch)
上部フランケン諸語(Oberfrankisch) - 上部フランク方言、「フランケン語」に分類される。
東フランケン語(Ostfrankisch) - 主にケムニッツ地方、バイエルン州北部にあるウンターフランケン、ミッテルフランケン、オーバーフランケンといった現在のフランケン地方で話される。
フォクトラント方言(Vogtlandisch)
エルツ方言(Erzgebirgisch)
南フランケン語(Sudfrankisch) - 「南ライン・フランケン語」とも呼ばれ、主にプファルツ地方(ライン地方)南東部、バーデン=ヴュルテンベルク州北部にあるハイルブロンフランケン地方、カールスルーエ地方、ラインネッカー地方などで話される。
ヴュルテンベルク方言(Wurttembergisch) - ヴュルテンベルク地方を中心に話される。
バイエルン諸方言(Bairisch)- ミュンヘン - オーストリアドイツ語圏とチロル地方と相互に影響していると指摘される。「バイエルン・オーストリア語」という独立言語として扱うこともある。
北バイエルン方言(Nordbairisch) - レーゲンスブルクなど、バイエルン州中部で話される。
中央バイエルン方言(Mittelbairisch) - ミュンヒェン、ザルツブルク、ヴィーンなど、バイエルン州南部とオーストリア北部で話される。
南バイエルン方言(Sudbairisch) - インスブルックとリエンツおよびグラーツなど、オーストリア南部で話される。
ゴットシェー語(Gottscheerisch) - スロベニア中部のカルニオラ地方と南部のコチェーヴィエ地方で話される。
モケーニ語(Mochenische) - イタリア北部のトレント自治県で話される。
アレマン諸方言(Alemanisch) - シュトゥットガルト - スイスドイツ語圏とアルザス地方と相互に影響していると指摘され、オーストリア西部・フォアアールベルク州などで話される。
シュヴァーベン方言(Schwabisch) - シュヴァーベン地方で話される。
スイス諸方言(Schwyzerdutsch)
ヴァリス方言(Walliserdeutsch)
アルザス方言(Elsasserdeutsch)
ペンシルベニア・アレマン語(Pennsilfaanialemanisch) - アメリカ合衆国のペンシルベニア州、中西部で話される。
イディッシュ語 - アシュケナジム(ユダヤ系のディアスポラ)の言語。
北部方言(低地ドイツ語 Niederdeutsch)1910年の時点でのドイツ語・オランダ語の方言分布図。1945年以降のドイツ人追放より前のドイツ領や周辺諸国領を含む
低地ドイツ語は中部ドイツ語・上部ドイツ語と方言連続体を形成しており、かつては同じ言語と見なされていた。だが今日は第二次子音推移を経ていないことなどを始めとする大きな相違点から、明確に他言語であると考える傾向が強い。また、低地フランク語は他の低地ドイツ語(低ザクセン語、東低地ドイツ語)と比べアングロ・フリジア語群との共通点が少ないことから、低地フランク語を低地ドイツ語に含めず別の言語グループとする場合がある。
低地ドイツ語(Niederdeutsch)
低ザクセン語(Niedersachsisch) - 「西低地ドイツ語」(Westniederdeutsch)とも呼ぶ。EUから地域言語の地位を得ている。