ドイツの国歌
[Wikipedia|▼Menu]
なお、同じメロディーはオーストリア帝国、続くオーストリア=ハンガリー帝国でも国歌として使用したが、こちらの方がハプスブルク家の皇帝ともども元の『神よ、皇帝フランツを守り給え』を引き継いでいる。

この歌詞は、黒・赤・金の旗(現在のドイツの国旗)とともに、権威主義的な諸邦を倒して君主制下での自由主義的な統一ドイツをもたらそうとした1848年のドイツ3月革命のシンボルとなった。ドイツ帝国崩壊後のヴァイマル共和国時代に正式に国歌として採用された。

第二次世界大戦敗戦による連合軍のドイツ占領を経て、1949年西ドイツに西側諸国の承認を得て設立されたドイツ連邦共和国では3番のみを公式なものとし、1990年11月にドイツ民主共和国統合した際、3番のみを公式とすることを確定した[1][2][3]

ただし、現在でもドイツでは国歌に関する正規な法律は制定されていない[1]

なお、ドイツ国歌はハイドンのオリジナル版やそれに続くオーストリア=ハンガリー帝国のバージョンと比べ、曲を若干修正し、ト長調から変ホ長調に変えたバージョンを採用している。
歌詞

Deutschlandlied(ドイツの歌)
ドイツ語日本語訳
1番

Deutschland, Deutschland uber alles,
Uber alles in der Welt,
Wenn es stets zu Schutz und Trutze
Bruderlich zusammenhalt.
Von der Maas bis an die Memel,
Von der Etsch bis an den Belt.
Deutschland, Deutschland uber alles,
Uber alles in der Welt!

ドイツよ、ドイツよ、すべてのものの上にあれ
世界のすべてのものの上にあれ
護るにあたりて
兄弟のような団結があるならば
マース川からメーメル川まで
エチュ川からベルト海峡まで
ドイツよ、ドイツよ、すべてのものの上にあれ
この世のすべてのものの上にあれ

2番

Deutsche Frauen, deutsche Treue,
Deutscher Wein und deutscher Sang
Sollen in der Welt behalten
Ihren alten schonen Klang,
Uns zu edler Tat begeistern
Unser ganzes Leben lang.
Deutsche Frauen, deutsche Treue,
Deutscher Wein und deutscher Sang!

ドイツの女性、ドイツの忠誠
ドイツのワイン、ドイツの歌は
古からの美しき響きを
この世に保って
我々を一生の間
高貴な行いへと奮い立たせねばならぬ
ドイツの女性よ、ドイツの忠誠よ、
ドイツのワインよ、ドイツの歌よ
3番
(第二次世界大戦後に成立したドイツ連邦共和国では3番のみが公式なものとなっている)

Einigkeit und Recht und Freiheit
Fur das deutsche Vaterland!
Danach lasst uns alle streben
Bruderlich mit Herz und Hand!
Einigkeit und Recht und Freiheit
Sind des Gluckes Unterpfand.
Bluh' im Glanze dieses Gluckes,
Bluhe, deutsches Vaterland!

統一と正義と自由を
父なる祖国ドイツの為に
それを求めて我らは皆で兄弟の如く
心と手を携えて努力しようではないか
統一と正義と自由は
幸福の証である
その幸福の輝きの中で栄えよ
栄えよ、父なる祖国ドイツ

歴史


ホフマン・フォン・ファラースレーベン(左)とF.ハイドン(右)

経緯

1815年以降、主にドイツ語が話されていた地域は39の国家(帝国1、王国5、選帝侯国1、大公国7、公国10、侯国11、自由都市4)から成り、ウィーン会議ではこれらの諸国家が結集してドイツ連邦を結成することが決まった。だが当のドイツ連邦にはその全てを束ねる国家元首も、全体を統括する役所や法律もなく、共通の経済、関税制度、軍隊も保持していなかった。そのため、批判的知識人はこうした小邦乱立と領邦君主権の撤廃とドイツ民族の統一国家建国を公然と主張していた[1]

当時、作詞者ホフマン・フォン・ファラースレーベンは反体制的な詩集を発行したということで、教鞭をとっていた大学から追放されて各地を放浪していた。その頃まだ英国領だったヘルゴラント島へ向かう船に、偶然フランス英国の軍楽隊が同乗し、英国国歌『女王陛下万歳』(God Save the Queen)とフランス国歌『ラ・マルセイエーズ』(La Marseillaise)を演奏していた。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:68 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef