雷神であることからギリシア神話のゼウスやローマ神話のユーピテルと同一視される。
砥石(他の文献では火打石の欠けら)が頭に入っているため、性格は豪胆あるいは乱暴。武勇を重んじる好漢であるが、その反面少々単純で激しやすく、何かにつけてミョルニルを使いながら脅しに出る性向がある。しかし怯える弱者に対して怒りを長く持続させることはない。途方もない大食漢。
雷、天候、農耕などを司り、力はアースガルズの他の全ての神々を合わせたものより強いとされる。フルングニル、スリュム、ゲイルロズといった霜の巨人たちを打ち殺し、神々と人間を巨人から守る要となっており、エッダにも彼の武勇は数多く語られている。 父にオーディン。母にヨルズ。妻にシヴ、ヤールンサクサ。息子にモージとマグニ、娘にスルーズ、シヴの連れ子のウル。 『古エッダ』の『巫女の予言』においては、おそらくはヴァン神族との戦争で破壊されたアースガルズの城壁をアース神族が巨人の鍛冶屋(工匠)に修理させた後、巨人への報酬にフレイヤを渡すことに怒ったトールが、誓いを破って巨人を殺すエピソードが語られる[7]。『巫女の予言』では、ヴァン神族がアース神族の城壁を破壊する節と神々がフレイヤの譲渡を協議する節との間に欠落が見られる。シーグルズル・ノルダルは『巫女の予言 エッダ詩校訂本』(日本語訳176-178頁)にて、本来あった1-2の詩節が失われた、あるいは、詩の聞き手がここで語られるべき内容を知識として持っているから省かれた可能性を挙げ、前者を欠落の理由に挙げている。そして本来語られるべきだった内容が、『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』第42章での巨人による砦の建設と神々による報酬の誓いの破棄であるとする。
家族
財産
タングリスニとタングニョースト
トールの戦車を牽く二頭のヤギ。トールが空腹になると彼らは食べられるが、骨と皮さえ無傷であればその2つから再び戦車を牽かせるために再生される。なおこの戦車が走る際に立てる轟音が雷鳴とされている[5]。
シャールヴィとレスクヴァ
二人の従者。
ミョルニル
「打ち砕くもの」という意味をもつ鎚。トールハンマー、ムジョルニアとも呼ばれる。敵を倒す以外に、物や人を清める作用があり、しばしばトールは結婚式や葬式で、この槌を使用している。本来はその重い槌部分に見合う長い柄が付くはずであったが、ロキの妨害のせいで柄は短いままであり、少々バランスの悪いものとなっている。
メギンギョルズ
力を倍加させる力帯。ミョルニルを振るうために必要。その名前は「力の帯」を意味する。
ヤールングレイプル
ミョルニルを握るための鉄製の籠手。その名前は「鉄の手袋」を意味する。
ビルスキルニル
トールの宮殿。スルーズヴァンガルに所在する。
エピソード
古エッダフェロー諸島で2004年に発行された切手に描かれた、トールがヨルムンガンドを釣り上げる場面(左半分)。