トール
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北欧神話が日本に紹介された初期の書籍でこの表記が用いられていたことから広まった[注釈 1]

英語などで一般的な、t を th に置き換えた形 Thor の英語読みに由来するソー、ソアの表記も見られる。例えばトールを主人公としたアメリカン・コミックスマイティ・ソー (The Mighty Thor) 』など。またドイルのホームズシリーズ『ソア橋 (The Problem of Thor Bridge) 』には「トール橋」の日本語題もある。

トールは北欧神話のみならずゲルマン人の信仰に広く見られる神であり、古英語の文献に見られる Tunor や古高ドイツ語での Donar もトールを指すとみなされている。時代を下ったドイツの民話ではドンナー (Donner) の名で現れ、19世紀の作曲家ワーグナーの歌劇でもこの名称が使用されている。これらの語はいずれもゲルマン祖語の *tunraz まで遡ることができると考えられており、その意味は「」と推定されている。

同じく北欧神話に登場する神テュール (Tyr) やソール (Sol) とはそれぞれ別の神である。
概要

アース神族の一柱。雷の神にして北欧神話最強の戦神。農民階級に信仰された神であり、元来はオーディンと同格以上の地位があった。スウェーデンにかつて存在していたウプサラの神殿には、トール、オーディンフレイの3神の像があり、トールの神像は最も大きく、真ん中に置かれていたとされている[2]。やがて戦士階級の台頭によってオーディンの息子の地位に甘んじた。北欧だけではなくゲルマン全域で信仰され、地名や男性名に多く痕跡を残す。また、木曜日を意味する英語 Thursday やドイツ語 Donnerstag などはトールと同一語源である[3]

雷神であることからギリシア神話ゼウスローマ神話ユーピテルと同一視される。

外見は燃えるような目と赤髪を持つ[4]、赤髭の大男[5]

砥石(他の文献では火打石の欠けら)が頭に入っているため、性格は豪胆あるいは乱暴。武勇を重んじる好漢であるが、その反面少々単純で激しやすく、何かにつけてミョルニルを使いながら脅しに出る性向がある。しかし怯える弱者に対して怒りを長く持続させることはない。途方もない大食漢。

武器は稲妻を象徴するミョルニルといわれる柄の短い槌[6]

雷、天候、農耕などを司り、力はアースガルズの他の全ての神々を合わせたものより強いとされる。フルングニルスリュムゲイルロズといった霜の巨人たちを打ち殺し、神々と人間を巨人から守る要となっており、エッダにも彼の武勇は数多く語られている。
家族

父にオーディン。母にヨルズ。妻にシヴヤールンサクサ。息子にモージとマグニ、娘にスルーズ、シヴの連れ子のウル
財産
タングリスニとタングニョースト
トールの戦車を牽く二頭のヤギ。トールが空腹になると彼らは食べられるが、骨と皮さえ無傷であればその2つから再び戦車を牽かせるために再生される。なおこの戦車が走る際に立てる轟音が雷鳴とされている[5]
シャールヴィレスクヴァ
二人の従者。
ミョルニル
「打ち砕くもの」という意味をもつ鎚。トールハンマー、ムジョルニアとも呼ばれる。敵を倒す以外に、物や人を清める作用があり、しばしばトールは結婚式や葬式で、この槌を使用している。本来はその重い槌部分に見合う長い柄が付くはずであったが、ロキの妨害のせいで柄は短いままであり、少々バランスの悪いものとなっている。
メギンギョルズ


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