トール
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また、ミョルニルで火葬用の薪を清めていたところに小人リト(en)が飛び出してくると、トールは彼を火の中に蹴って入れてしまった[17]
詩語法

ロキにとって神々で最も仲が良かったのがトールと推定される。しかし、激情家であるトールはロキの悪戯に対して真っ先に怒りを見せることも多く、『スノッリのエッダ』第二部『詩語法』の伝えるところでは、トールの妻のシヴの自慢の金髪をロキに切られて丸坊主にされた時、トールは怒りのままに彼を追い回した。シヴのものと全く同じ金髪を小人に作らせることをロキに約束させてトールは怒りを収めたが、これが小人の鍛冶勝負に発展し、神々は大切な宝具を手に入れることとなった。それがすなわちミョルニル、ドラウプニル金のたてがみの猪であり、グングニルスキーズブラズニルである[18]。また、ウートガルズへのトール遠征時にロキが同行を申し出た際、その理由を聞かれ「トールは頭が鈍いから、(頭の切れる)自分がいたほうが安全」という旨を言っているがトールは怒りを見せず、寝床に使える場所が見つからず野宿になるのかと不安がるロキに対してトールは「フェンリルの親なのにオオカミが怖いのか」と笑う等、堂々と皮肉を言い合えるほどの仲だったという描写も確かに存在している[19]

『詩語法』では、巨人の中で最強のフルングニルを倒すエピソードも語られている。フルングニルは、トールと共に決闘場所に来たシャールヴィの嘘を真に受けて無防備な状態となった。トールはミョルニルを、フルングニルは武器の砥石を投げつけたが、ミョルニルは砥石を2つに割り、さらに飛んでフルングニルの頭蓋骨を粉砕した。破壊された砥石の一方がトールの頭に刺さり彼は転倒した。そこへ死亡したフルングニルの巨体が倒れて下敷きとなった。動けなくなったトールを助けたのが生後3日目の息子マグニで、トールはフルングニルの駿馬をマグニに与えたという[20](詳細は「フルングニル」の記事を参照)。

『詩語法』は続いてゲイルロズとその一族をトールが滅ぼした経過を語る。ロキの奸計にはまり、ミョルニルもメギンギョルズも持たずにゲイルロズの館に向かったトールは、途中で女巨人グリーズから、力帯、鉄製の手袋、「グリーズの棒」と呼ばれる杖を借りた。途中、ゲイルロズの娘ギャールプの尿で増水していた川を渡った際、岸に上がるときにナナカマドを掴んだことが、慣用句の「ナナカマドはトールの救い」の由来となったという。ゲイルロズの家に着くと、トールはまずグリーズの杖を利用してギャールプとグレイプ背骨を折った。さらにゲイルロズが投げつけてきた熱せられた鉄の塊を、鉄の手袋で受け止めて投げ返し、柱の陰に隠れたゲイルロズを倒した[21]。なお、後述の詩『トール讃歌』ではトールはゲイルロズの元にシャールヴィを同行させているが、『詩語法』では連れの存在に言及されるもののそれがシャールヴィかははっきりしていない(詳細は「ゲイルロズ」の記事を参照)。

なお、前述のフルングニルとの戦いの際に頭に食い込んだ砥石の欠片がトールにむず痒さ、痛みを与え、苦痛により彼が叫ぶのが雷光となる。トールは嫌でたまらなくなり、巫女グローアを呼び出した。彼女が魔法の歌を歌うと、砥石が抜け落ち始めた。痛みは完全に無くなり、もうすぐ石がなくなるだろうと思っていたトールは、お礼に彼女を喜ばしてやりたくなった。「お前の夫アウルヴァンディル(英語版)は、生きているんだ。お前は死んでいると思い込んでいるけどね。俺が夫を助け出したのだ。しかも夫はヨトゥンヘイムにいたよ、あそこは危険極まりないからな。まぁそれはいいとして、もうすぐ夫が帰ってくるよ」これを聞いたグローアは喜びのあまり狂喜乱舞し、魔法の歌を忘れてしまった。したがってトールの頭の中には砥石が入ったままになっている[22]
ユングリング家のサガ

ユングリング家のサガ』にもトールの名が見られる。第5章においてトールは、ログ湖(現在のスウェーデンメーラレン湖)のほとりの古シグトゥーナ(英語版)にあるスルーズヴァンダオーディンから与えられた[23]。また第7章においては、人々がオーディンやトールをはじめとする首長らを神として崇め、トール(ソール)にあやかった「ソーリル」「ソーラリン」「ステインソール」「ハヴソール」という名前ができたと語られている[24]
トール讃歌詳細は「ソール頌歌」を参照

詩人エイリーフル・ゴズルーナルソン(英語版)によるスカルド詩『トール讃歌(ソール頌歌)』においては、トールはシャールヴィと共にゲイルロズの館に行き、一族を倒している。
デンマーク人の事績

サクソ・グラマティクスが記した歴史書『デンマーク人の事績』では邪神として登場する。ホテルス(ヘズ)と対決したトールはミョルニルで応戦するが、彼の持つ魔剣の前にミョルニルを柄から真っ二つにされる。


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