トーリンは、トロルの洞穴の中で、かつてゴンドリンのエルフがオークとの戦いのために作った名剣、オルクリストを手に入れる。闇の森のエルフ王に囚われた時に取り上げられてしまうが、死後彼のもとに返され、墓の上に置かれた(アーケン石はトーリンの胸にのせられ、彼とともに葬られた)。オルクリストの刃は、敵が近づけば闇に輝き、ドワーフの砦は敵の不意打ちに遭うことはなかったという。トーリンの跡はダインが継ぎ、山の下の王として即位した。 『王の帰還』の追補編AのIIIでドゥリンの一族の歴史が概説されており、トーリンの経歴についてもより詳しく述べられている。 トーリンは 第三紀2746年に生まれた。2770年にはドラゴンのスマウグにより、はなれ山(エレボール)の故郷を追われ、流離の身となる。2799年のアザヌルビザールの戦いの時、トーリンはまだドワーフとしては若年の53歳であったが、ドワーフ軍に参加しモリア 『終わらざりし物語』(Unfinished Tales)の下巻に収められている「エレボールへの遠征」[1]では、追補編に収められなかったトーリンに関するエピソードが語られている。ガンダルフがトーリンと出会った経緯、またビルボを採用することをめぐってのガンダルフとトーリンの議論は、ビルボの視点から書かれた『ホビットの冒険』とは全く異なった視座を読者に供するものである。 1977年の映画
指輪物語
終わらざりし物語
翻案
ピーター・ジャクソン監督の『ロード・オブ・ザ・リング』のスペシャル・エクステンデッド・エディションにおいて、ガンダルフはビルボ にミスリルの胴着を贈ったのはトーリンであったと語っている。
ピーター・ジャクソン監督による映画作品『ホビット』三部作において、トーリン役は英国人俳優リチャード・アーミティッジによって演じられている。 トールキンはトーリンの名前を古ノルド語 の『古エッダ』の冒頭の『巫女の予言』からとっている[4]。「トーリン」("Thorin"/Torinn)という名前は、ドワーフの名前として第12スタンザに登場し、「オーケンシールド」("Oakenshield"/Eikinskjaldi)という名前は第13スタンザに登場する[5]。これらの名前は スノッリ・ストゥルルソンの 散文エッダ にも登場する[6]。 トーリンはエレボールの正統なる世継ぎであり、「山の下の王」の称号を持つ。 この称号は、彼の死後ダインに引き継がれた。
名前・称号
脚注^ J. R.R. トールキン『終わらざりし物語』(下), クリストファー・トールキン編, 山下なるや訳, 河出書房新社, 2003年, pp. 73?95.