スライドではなく、3個以上のバルブを備えたものである。ピストン式が多いが、ロータリー式のものも存在する。スライド式の楽器と同様に色々な音域のものがある。19世紀前半の金管楽器のバルブ機構の発明に合わせて誕生したため、19世紀から20世紀初頭にかけてはイタリアやフランス、中欧地域を中心に広く(一時はスライド式以上に)用いられた。ロッシーニの楽曲等にその名残を見出すことが出来る。
その後、スライド式が楽器や演奏技術の向上によって復権を果たすと廃れていったが、一方ではジャズなどポピュラー音楽の世界で使われるようになり(ファン・ティゾール、ボブ・ブルックマイヤーなどが著名な奏者としてあげられ)、クラシックの分野でも20世紀終盤以降はピリオド奏法の一環として、また現代曲で再び使用が試みられるようになった。 ドイツ管とも呼ばれる、やや大きめのベルを持つ楽器で、均一化が進んだ他の地域のトロンボーンとは一線を画している。やや細目のボアと響きを抑える為のクランツと呼ばれる金属片が縁についた比較的大きなベルを持ち、弱音時の円錐管に近い柔らかい響きと、強音時の鋭く割れた響きが特徴的である。現代ではほとんど使われないが、稀にクラシック音楽でドイツ系の楽曲を演奏する際に使われることがある。
ドイツ式トロンボーン
特殊なトロンボーンF管チンバッソ
チンバッソ (cimbasso)
詳細は「チンバッソ」を参照「チンバッソ」という語は19世紀のイタリアにおいて低音の金管楽器全般を指すのに用いられており、楽譜にチンバッソと書かれていたからといって必ずしも特定の種類の楽器を指したわけではない。ヴェルディはテナーより1オクターブ低いB♭管のバルブ式トロンボーンを特注し、これを晩年の『オテロ』と『ファルスタッフ』で使用した。またプッチーニもこの楽器を使用した。現代においてこれらの作品を演奏するために「チンバッソ」と呼ばれる楽器が使われることがあるが、これはF管で4-5個のバルブがあるトロンボーンであり、ヴェルディが使ったものとは異なっている[2][3]。
スーパーボーン
ピストンとスライドの両方を備えたトロンボーン。通常左手でピストン、右手でスライドを操作する。トランペット奏者のメイナード・ファーガソンが考案した。ホルトン社の登録商標となっている。
マーチング・トロンボーン
外見はトロンボーンというよりは大型のコルネット、あるいは前方に構えるユーフォニアムのようである。スライドではなくバルブを備え、屋外のパレードなどで使用される。
プラスチックトロンボーン
プラスチック製のトロンボーン。pboneとtigerが有名。
歴史上のトロンボーン
サックバット (sackbut)
トロンボーンの祖となった古楽器である。現代のトロンボーンと酷似しているが、全体にベルが小さく、ベルの開き方も比較的ゆるやかである。現代のトロンボーンよりずっと軽量で、大きな音は望めないが柔らかな音色を持ち、小編成の合奏・オーケストラや声楽とのアンサンブルに向く。アルト・テナー・バス・コントラバスの各サイズの楽器がある。エッガー社製が有名。
ビュサン (buccin
ベル自体が龍の頭をかたどった形をしている。19世紀に考案され、フランスやベルギーで使われた。
アドルフ・サックスのトロンボーン
サックスは、劇場のピットや軍隊で使うための、3?6本のバルブ式を備えたテナーやアルトのトロンボーンを色々製作した。普通にイメージするスライド式のトロンボーンとは形が異なる。馬に乗りながら演奏出来るようにした形状のものや、ベルを7つ持つタイプなどがある。
サックバット(sackbut)
ビュサン(buccin)
6ピストン
7ベル
トロンボーンが活躍する楽曲
トロンボーン協奏曲「トロンボーン協奏曲」を参照
管弦楽曲
モーツァルト:『レクイエム』 - 第4曲 Tuba mirum
ベートーベン:交響曲第5番、第9番
ベルリオーズ:『葬送と勝利の大交響曲』 - 第2楽章
シューマン:交響曲第3番
ワーグナー:『ワルキューレの騎行』(歌劇『ニーベルングの指環』より)
ブルックナー:交響曲第7番,第8番
ブラームス:交響曲第2番
チャイコフスキー:交響曲第3番 - 第4楽章
リムスキー=コルサコフ:交響組曲《シェヘラザード》
マーラー:交響曲第1番、第2番,第3番