トロイ_(映画)
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その見事な戦いはギリシア軍の士気を取り戻し、ついにはトロイ軍もヘクトルが出撃して迎え撃つ。パトロクロスはヘクトルへと挑むが敵わずに討たれ、ヘクトル、トロイ軍、ギリシア軍は、アキレスと思っていた人物の正体がパトロクロスであったことに衝撃を受け、戦いを止める。

パトロクロスが殺されたことを知ったアキレスは激怒し、たった一人でトロイ城門の前まで戦車を走らせる。幾度も自分を呼ばわる声を聞いたヘクトルは死を覚悟し、父と妻、弟に別れを告げて決闘に挑む。激戦の末にヘクトルを討ったアキレスだが、怒りが収まらぬ余りヘクトルの死体を戦車で引きずり回して自軍へと持ち去ってしまう。

その夜、危険を冒して単身でギリシア軍の陣地までプリアモス王が訪ねてくる。息子の遺体を返して欲しいという彼の涙ながらの懇願に心を打たれたアキレスはヘクトルの遺体と共にブリセイスをトロイへと送り返す。ヘクトルの遺体は荼毘に付され、両軍は彼を弔うため一時の休戦を約束する。

度重なる敗戦にギリシア軍は勝算なしと見て撤退の準備を進めていた。しかしオデュッセウスは兵士が子供の土産にと作っていた木彫りの馬を見て、起死回生の作戦を思いつく。トロイへの供物として巨大な木馬を造って撤退したと見せかけ、木馬がトロイに運び込まれたら中に隠れた兵士が門を開け、待機していた軍勢で攻め込もうというのだ。アキレスはミュルミドンたちを帰還させ、ブリセイスを助けるため木馬の中に乗り込む。木馬

木馬の策略に騙されたトロイは、瞬く間に炎上する。パリスはアイネイアスにトロイの宝剣とブリセイス、ヘレンを託して脱出させる。ギリシア兵による一方的な破壊と略奪が市民を襲う中、アガメムノンはプリアモス王を殺し、ブリセイスを捕えるが逆に刺殺される。ブリセイスを探し求めるアキレスはとうとう彼女を助け出すが、そこに兄ヘクトルの復讐に燃えるパリスが現れ、アキレスに矢を放つ。踵を射抜かれて崩れ落ちるアキレスはさらに胸に矢を受け、ブリセイスに逃げるよう伝えて息絶える。

生き延びたオデュッセウスは、やがてこの戦いは伝説となり、男たちの名が英雄として語り継がれていくだろうことを確信する。
キャスト

ブラッド・ピット

エリック・バナ

オーランド・ブルーム

ダイアン・クルーガー

ブレンダン・グリーソン

役名俳優日本語吹替
劇場公開版テレビ朝日
アキレスブラッド・ピット咲野俊介山寺宏一
ヘクトルエリック・バナ寺杣昌紀内田直哉
パリスオーランド・ブルーム平川大輔
ヘレンダイアン・クルーガー田中敦子岡寛恵
オデュッセウスショーン・ビーン大塚芳忠磯部勉
アガメムノンブライアン・コックス内海賢二石田太郎
プリアモスピーター・オトゥール大木民夫羽佐間道夫
メネラオスブレンダン・グリーソン稲葉実石田圭祐
テティスジュリー・クリスティ北浜晴子-[3]
ブリセイスローズ・バーン小林さやか弓場沙織
アンドロマケサフロン・バロウズ野沢由香里八十川真由野
トリオパス(英語版)ジュリアン・グローヴァー坂口芳貞青野武
ネストルジョン・シュラプネル(英語版)内田稔
パトロクロスギャレット・ヘドランド加瀬康之竹若拓磨
グラウコスジェームズ・コスモ村松康雄藤本譲
エウドロスヴィンセント・リーガン内田直哉牛山茂
アイアスタイラー・メイン石住昭彦斎藤志郎
その他N/A長嶝高士
仲野裕
辻親八
石井隆夫
桐本琢也
岩田安生
原田晃
本田貴子
里見圭一郎
魚建
園部好徳
近藤広務
田中一永
藤本たかひろ
藤井啓輔
市川まゆ美
村上あかね中博史
青山穣
木村雅史
白熊寛嗣
津々見沙月
奈良徹
北沢力
ナレーション屋良有作

演出羽田野千賀子伊達康将
翻訳佐藤恵子


劇場公開版:VHS・通常版DVD収録
後発されたディレクターズ・カット版DVDとBlu-ray Discには収録されていない。

テレビ朝日版:初回放送2007年4月29日『日曜洋画劇場』21:00-23:24
『日曜洋画劇場』の「40周年特別企画」として放送された。
ロケ地

撮影は地中海メキシコなど世界各地で行われた。史実とは異なり広大な海岸の砂丘の先に都市国家トロイの巨大な外壁が存在するという設定であるが、これはメキシコサンルーカス岬にセットが組み立てられた。トロイの街は地中海のマルタ島のメリアに再現された[4][5]
評価

監督を務めたウォルフガング・ペーターゼンは、ホメロスの『イリアス』からインスピレーションを受けた、としている。しかし、この作品は、トロイア戦争の伝承と様々な点で異なる事が指摘されることが多く、批判の対象となった。映画自体が完全なフィクションでありながら、元ネタがあまりに有名であるがゆえに、神話でも歴史でもないというこの映画のスタンスは、後述のような批判が後を絶たなかった。

しかしながら、トロイア戦争も『イリアス』もただのモチーフに過ぎないので、映画の内容と神話上の設定ならびに『イリアス』との違いを論じて批判するのは的外れであるという意見や、登場人物の役回りと設定の変更は、オリジナル映画としては当然であるという肯定的な意見も少なくなかった。このため、作品内容の評価が賛否両論を呼んだにもかかわらず、豪華スター共演で興行的には大成功するという結果となった。
神話との相違点

作品のストーリー展開が伝承と違う事について、『文藝春秋[6]誌上で塩野七生がこの映画を酷評する評論を書いている。指摘の内容は、以下の3点である。

不義を嫌っているはずのアキレスがオデュッセウスの策謀に協力しトロイの木馬に乗ってトロイを攻め落とした事。

アキレスが弱点のかかと以外にも矢を受けて死ぬ事。(かかと以外の矢を自力で抜いた後で絶命し、遺体はかかとを射られて死んだように見える)

脚色について。

また、『イリアス』は、ヘクトルの死で終わっているので、その後の「トロイの木馬」などの陥落のエピソードはその他のトロイ戦争の伝承によっている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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