撮影は地中海やメキシコなど世界各地で行われた。史実とは異なり広大な海岸の砂丘の先に都市国家トロイの巨大な外壁が存在するという設定であるが、これはメキシコのサンルーカス岬にセットが組み立てられた。トロイの街は地中海のマルタ島のメリア
に再現された[4][5]。監督を務めたウォルフガング・ペーターゼンは、ホメロスの『イリアス』からインスピレーションを受けた、としている。しかし、この作品は、トロイア戦争の伝承と様々な点で異なる事が指摘されることが多く、批判の対象となった。映画自体が完全なフィクションでありながら、元ネタがあまりに有名であるがゆえに、神話でも歴史でもないというこの映画のスタンスは、後述のような批判が後を絶たなかった。
しかしながら、トロイア戦争も『イリアス』もただのモチーフに過ぎないので、映画の内容と神話上の設定ならびに『イリアス』との違いを論じて批判するのは的外れであるという意見や、登場人物の役回りと設定の変更は、オリジナル映画としては当然であるという肯定的な意見も少なくなかった。このため、作品内容の評価が賛否両論を呼んだにもかかわらず、豪華スター共演で興行的には大成功するという結果となった。 作品のストーリー展開が伝承と違う事について、『文藝春秋』[6]誌上で塩野七生がこの映画を酷評する評論を書いている。指摘の内容は、以下の3点である。
神話との相違点
不義を嫌っているはずのアキレスがオデュッセウスの策謀に協力しトロイの木馬に乗ってトロイを攻め落とした事。
アキレスが弱点のかかと以外にも矢を受けて死ぬ事。(かかと以外の矢を自力で抜いた後で絶命し、遺体はかかとを射られて死んだように見える)
脚色について。