トレンティーノ=アルト・アディジェ州
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1943年、イタリア王国政府が連合国との休戦協定に署名すると、この地域はドイツ軍に占領されてアルペンフォーラント作戦地域 (de:Operationszone Alpenvorland) として編成され、大管区指導者フランツ・ホーファーの管理下に置かれた。この地域は(ベッルーノ県域とともに)事実上ドイツに併合された。1945年のナチスドイツの敗北により、イタリア王国による支配が回復される。
第二次世界大戦後
グルーバー=デ・ガスペリ協定

1946年、イタリアのアルチーデ・デ・ガスペリ首相とオーストリアのカール・グルーバー(英語版)外相の間でグルーバー=デ・ガスペリ協定 (Gruber?De Gasperi Agreement) が結ばれた(なお、デ・ガスペリは現在のトレント自治県出身、グルーバーはインスブルック出身であった)。この協定はイタリア共和国の憲法が制定された1947年に発効した。協定ではこの地域に相当の自治を認めること、ドイツ語とイタリア語を共に公用語とすること、ドイツ語教育を保障することが盛り込まれていた。1947年から1974年まで、この地域は Trentino-Alto Adige/Tiroler Etschland と呼ばれた。

しかしながら、実施された政策は、当地のドイツ語系住民もオーストリア政府も満足するものとはならなかった。問題は二国間の摩擦となり、1960年には国際連合で取り上げられた。1961年には新しい交渉が始まったが、民衆の不満や、南チロル解放委員会 (South Tyrolean Liberation Committee) をはじめとする急進的な自治主義者・分離主義者の爆弾テロやサボタージュなどもあり、不成功に終わった。
自治の拡大

1971年、オーストリアとイタリアの間の新たな条約が調印・批准された。南チロルをめぐる紛争についてはハーグ国際司法裁判所に仲裁を求めること、南チロルはイタリア国内において大幅な自治を認められること、オーストリアは南チロルの内政に干渉しないことを規定したものであった。新しい条約は当事者の多くを満足させ、分離独立問題による緊張を終息に向かわせた。1995年、オーストリアが欧州連合 (EU) に加盟することによって、国境を越えた協力関係はより盛んになった[4]

2006年5月、イタリアの終身上院議員フランチェスコ・コッシガ(元大統領)は、この地域のイタリア国内への残留・完全な独立・オーストリアへの編入のいずれかを決める住民投票を可能にする法案を提出した。しかしながら、分離主義者も含むすべての党派は、民族間の緊張を復活させるものとしてこれを否決した。
行政区画トレンティーノ=アルト・アディジェ州と各県

トレンティーノ=アルト・アディジェ州は、以下の2県からなる。

左端の数字はISTATコード、アルファベット2文字は県名略記号を示す。人口は2011年1月1日現在[1]面積の単位はkm2。

県名綴り県都面積人口
021BZボルツァーノ自治県Bolzanoボルツァーノ7,400507,657
022TNトレント自治県Trentoトレント6,212477,017

文化
言語トレンティーノ=アルト・アディジェ州の言語状況。コムーネの多数派言語で色分けされ、その比率で濃淡が付けられている。.mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  ドイツ語(モケーニ語・チンブロ語を含む)   ラディン語   イタリア語トレント自治県の少数言語の分布(2011年国勢調査)。コムーネの人口に占める比率で濃淡が付けられている。  ラディン語   ドイツ語系言語(モケーニ語チンブロ語を含む)「トレンティーノ=アルト・アディジェ州#言語」も参照

州で用いられる2大言語はイタリア語ドイツ語である。この他に少数言語としてラディン語モケーニ語チンブロ語が話されている。モケーニ語とチンブロ語はドイツ語系(バイエルン語)の方言である。

2006年の国立統計研究所(ISTAT)の統計によれば、6歳以上の住民の家庭内での会話における言語状況は以下の通り[8]。イタリア語(Italiano)、地方言語 (Dialetto)、他の言語 (Altra lingua) についてのデータで、左列が全国平均、右列がトレンティーノ=アルト・アディジェ州の数値である。

家庭内の会話における使用言語全国州
イタリア語のみ、あるいは主にイタリア語45.5%27.8%
地方言語のみ、あるいは主に地方言語16.0%20.4%
イタリア語と地方言語の双方32.5%15.1%
他の言語5.1%34.6%

州全体でもイタリア語を使用しない住民(ドイツ語ラディン語などの話者)が約1/3を占める。ボルツァーノ自治県では住民の約2/3がイタリア語を用いない(ボルツァーノ自治県#言語・民族参照)。
イタリア語
トレント自治県ではイタリア語話者が多数派を占めるが、ボルツァーノ自治県では少数派である。ボルツァーノ自治県でイタリア語話者が多数を占める自治体は、イタリア国内の他地域からの移住者が多い県都ボルツァーノなどに限られる。このほかメラーノブレッサノーネなどの都市部でもイタリア語話者の比率が高い。
ドイツ語
ボルツァーノ自治県で多数派を占める言語となっており、イタリア語とともに県の公用語となっている。
ラディン語
レト・ロマンス語群の言語で、トレンティーノ=アルト・アディジェ州からベッルーノ県(ヴェネト州)にかけての山間部に話者がいる。州内ではトレント自治県のヴァル・ディ・ファッサ(イタリア語版)や、ボルツァーノ自治県のヴァル・バディア(イタリア語版)およびにラディン語話者が多数を占めるコミュニティがある。これらの地域では、コムーネの公用語としての地位を得ている。トレント自治県北部のヴァル・ディ・ノン(イタリア語版)にも小規模なコミュニティ(人口比3.5%)があるが、公用語としての位置づけはされていない。
モケーニ語
上部ドイツ語に属するバイエルン語の方言とされる。トレント自治県中部のヴァッレ・デイ・モケーニ(イタリア語版)にモケーニ語話者のコミュニティがあり、3つのコムーネ(パルー・デル・フェルシーナフィエロッツォフラッシロンゴ)では住民のほとんどを占める。
チンブロ語
モケーニ語同様、バイエルン語の方言とされる言語で、北東イタリアにいくつかの言語島を作っている(トレント自治県に隣接するヴィチェンツァ県セッテ・コムーニが著名である)。州内では、トレント自治県南部のルゼルナにチンブロ語話者のコミュニティがある。
世界遺産

ドロミーティ(一部)

アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群(一部)

モリーナ・ディ・レードロ(トレント県レードロ)、 フィアヴェ・ラーゴ・カレーラ(トレント県フィアヴェ


スポーツ
サッカー

州内に本拠を置くプロサッカークラブとしては以下がある。所属リーグは2014-15シーズン現在。

FCズュートティロールボルツァーノ自治県ボルツァーノ) - レガ・プロ(3部リーグ)

4部リーグ(アマチュア最上位リーグ)のセリエDでは、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州ヴェネト州のクラブとともにジローネCに属する。トレンティーノ=アルト・アディジェ州の地方リーグ(5部リーグ)として、エッチェッレンツァ・トレンティーノ=アルト・アディジェ (it:Eccellenza Trentino-Alto Adige) がある。
交通主要交通図


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