トルクメニスタン
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2017年時点で輸出の約83.2%(65億7,512.6万ドル)を中国、約5.1%(4億355.3万ドル)をトルコが占めている[20]。一方、輸入はトルコが約23.8%(10億3,798万ドル)を占めている[21]

主な産業は天然ガス石油綿花栽培、繊維工業である。特に天然ガスは狭い国土にもかかわらず、世界第4位の埋蔵量の資源国である。これらの資源の輸出により潤沢な資金流入があるため、経済が豊かで、政府による治安維持が行き届いている。現状では治安は非常によく、近隣諸国と違いテロ事件なども起こっていない[22]経済成長率は潤沢な資源のおかげで高成長を見せている。同国では、国営企業が経済活動のほぼ全てを押さえ、工業生産の多くを担っている。特に、オンショアの炭化水素生産、輸送、精製、発電、流通、化学、建築資材、教育、医療、メディア企業の分野は、国営で厳しく管理されている。また、国営企業は農業、食品加工、繊維、通信、建設、貿易、サービスの分野にも深く関与している。国営企業は多くの場合、旧態依然とした効率性の悪さが目立つが、戦略的に重要と考えられている[18]

さらに食料品・日用品や住居などの物価が低く抑えられているほか、教育・医療費が無料とされている。このため、国民生活は実質的な収入金額以上に安定しているといえる。しかし、電気、ガス、飲料水については1993年から、食卓塩については2003年からニヤゾフ前大統領により無償供給としていた制度をベルディムハメドフ大統領は2019年1月に廃止し、有償化した。有償化の理由をベルディムハメドフ大統領は「政府活動の持続的拡大、資源の合理的利用、社会的補助制度の発展のため」と説明している[23]
農業詳細は「トルクメニスタンの農業(英語版)」を参照

トルクメニスタンの主産物は小麦、ナッツ類(おもにピスタチオ)、ハーブ薬草)類である。ピスタチオはもともと造林用として栽培され、その果実を食用として利用できるため積極的に植林されており、果実は豊作の年で20 - 30トン採取されることがある。同国特産のハーブはアルテミシアエフェドラで、この2つは料理用や薬品の原材料として用いられることが多い。林業にも力を入れており、その主要となっているのは人工造林である[24]。ただし、環境造林を基本としているので産業造林には特化しておらず、国内の林産業はあまりふるわない。

一方で、ソ連時代から綿花栽培を行っている。しかし灌漑農業での栽培であるために水資源に乏しいトルクメニスタンでは、綿花を主産物とすることに対し賛否両論となっている面を持つ。さらに、毎年の綿花の収穫作業に、教師や医師を含む1万人以上の公務員と10?15歳までの児童も従事させられており、2016年4月に「アリテルナチブニエ・ノボスチ・トルクメニスタナ(「トルクメニスタンの代替ニュース」の意、AHT)」と「国際労働権利フォーラム(ILRF)」がアメリカ合衆国国土安全保障省関税国境警備局に告発状を提出した。その結果、2018年5月24日に引渡保留命令(WRO、5月18日付)[25]を公開し、トルクメニスタン産綿と同製品のアメリカへの輸入を禁止した。トルクメニスタン政府は、2017年の綿花の収穫量を110万トンと発表している。作付面積は50万ヘクタール。トルクメニスタンから米国向け輸出額の最大シェア(52.0%、718万ドル)を綿・綿織物などが占める(2017年実績、アメリカ側統計、第三国経由を含まず)[26]

国内消費される食品の多くを輸入に依存しており、食料自給率の向上が大きな課題となっている。このためトルクメニスタン政府は生産プロセス技術の強化、農業生産システムの改革などによる生産性の向上を目指している。特に食肉および小麦、酪農製品の国内生産拡大を急務と位置づけている。主な輸入先は、ロシア、ウクライナベラルーシ、カザフスタン、イラン、トルコ、アゼルバイジャン、インド、パキスタンといった周辺国である[18]
鉱業

トルクメニスタンは他の中央アジア諸国と比較した場合、鉱物資源に乏しいと言える。たとえば、金属鉱物資源は採掘されていない。

ただし、その反面で有機鉱物資源、特に天然ガスに恵まれている。2018年版BP統計[27]によると、埋蔵量はロシア(35.0兆?、世界シェア約18.1%)、イラン(33.2兆?、世界シェア約17.2%)、カタール(24.9兆?世界、シェア約12.9%)に次ぐ世界第4位の19.5兆?(世界シェア約10.1%)を誇る。2017年時点の天然ガス産出量は約620億?であり、これは世界シェアの約1.7%に達する。2014年時点であるが、国内消費は277億?、輸出総量は416億?(2014年推計)とされる。輸出先は中国が最大で277億?、次いでロシア(90億?)、イラン(65億?)、カザフスタン(5億?)となっている。2011年、イギリスのGaffney, Cline and Associatesは、ガルクイヌシュ(旧南ヨロテン)ガス田の埋蔵量を13.1兆 - 21.2兆?と評価し、世界第2位の規模と見立てた。さらに石油埋蔵量は、トルクメニスタン政府の公式統計では、オンショアで530億トン、カスピ海オフショアで182.1億トンの716.4億トンとなっている。しかし、BPは2017年末段階で、1億トンの石油埋蔵量を推計しているに過ぎない。なお、これら石油・ガス収入は同資源の開発管理を所管する大統領直轄の炭化水素資源管理利用庁に納められ、80%が大統領、20%が国庫に拠出される[18]。また、石油生産量は、25.8万バレル/日であり、世界シェアの約0.3%である[27]

輸出額に占める天然ガスの割合は2017年時点で約83.0%(輸出金額:6,561,439千ドル)であり、原油の割合は約7.8%(輸出金額:615,109千ドル)である[28]。したがって、輸出に占める鉱業セクターの割合は9割に達する。最大の天然ガス田はガルクヌシュ・ガス田(ロシア語版)であり、このガス田は2013年の夏に操業を開始した比較的新しい採掘場となっている。なお、石炭はほとんど採掘されていない。さらに、輸出の大部分を占める天然ガスの輸出先は約99.5%が中国であり、同国への依存がきわめて高い[29]
観光詳細は「トルクメニスタンの観光(英語版)」を参照

メルヴニサといったシルクロード遺跡が有名だが、全体として観光業はあまり発展していない。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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