トリック・オア・トリート
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ノース・エアシャーのアードロッサン(英語版)で1950年代に行われたガイジングでは、ある子供が近所の家のドアをノックしてパフォーマンスを行い、12シリング6ペンスを貰ったとの記録がある[27]。1960年代に北アイルランドのロンドンデリーで育ったガーディアン誌の記者マイケル・ブラッドレー(Michael Bradley)は、子供たちが「ナッツかリンゴはある?(Any nuts or apples?)」と尋ねていたことを回想している[28]。スコットランドやアイルランドでは、子供たちが施しを貰えるのは、訪れた家でかくし芸を行ったときのみとされる。たいていは、子供たちが出かける前に暗記した歌を歌ったり、ジョークを言ったり、面白い詩を詠んだりした。ハロウィンに仮装して家々を巡るのは続いていたが、北米の「トリック・オア・トリート」が一般的になるのは2000年代になってからである[4][29]
北米でのガイジングスコットランドの風習であるガイジングの北米での最も古い記録があるカナダ・オンタリオ州で、ハロウィンの衣装を着た少女。1928年。

北米でハロウィンにガイジングが行われた最も古い記録は、1911年、カナダ・オンタリオ州キングストンの新聞が子供たちが近所をガイジングして回ったと報じたものである[3]。続いて1915年に場所は不明であるがハロウィンに行われた物乞いの儀式(ritual begging)、3番目に1920年のシカゴでの記録がある[30]

アメリカの歴史家で作家のルース・エドナ・ケリー(英語版)は、アメリカの祝祭日の歴史に関し書かれた最初の本『The Book of Hallowe'en』(1919年)の「Hallowe'en in America」章でソウリングについて、こう書いている:「The taste in Hallowe'en festivities now is to study old traditions, and hold a Scotch party, using Burn's poem Hallowe'en(英語版) as a guide; or to go a-souling as the English used. In short, no custom that was once honored at Hallowe'en is out of fashion now.」[注釈 1]。また、ケリーは大西洋を越えてきた慣習について、「Americans have fostered them, and are making this an occasion something like what it must have been in its best days overseas. All Hallowe'en customs in the United States are borrowed directly or adapted from those of other countries.」と書いている[32]
「トリック・オア・トリート!」の出現

お菓子やキャンディーをせがむ「トリック・オア・トリート!」の掛け声は、本来、また今でもたまに、せがまれてもお菓子や他の施しをあげない人に対して、いたずらや悪ふざけをするという意味合いがあるが、カナダ中部で生まれ、1930年代にアメリカの北部や西部に、1940年代から1950年代初期にかけてアメリカ中に広まった[33]。当初は異なる表記もされ、例えば「トリックス・オア・トリーツ(tricks or treats)」はオンタリオ州スーセントマリーの新聞The Sault Star(英語版)の1917年の記事に用例がある。

Almost everywhere you went last night, particularly in the early part of the evening, you would meet gangs of youngsters out to celebrate. Some of them would have adopted various forms of camouflage such as masks, or would appear in long trousers and big hats or with long skirts. But others again didn't. . . . Tricks or treats you could hear the gangs call out, and if the householder passed out the coin for the treats his establishment would be immune from attack until another gang came along that knew not of or had no part in the agreement.[34]

1917年に最初の使用例があったことを発見した語源研究家のバリー・ポピク(英語版)[35]によれば、1921年のオンタリオ州チャッツワース(英語版)で「トリック・オア・ア・トリート(trick or a treat)」[36]、1922年のアルバータ州エドモントンで「トリート・アップ・オア・トリックス(treat up or tricks)」と「トリート・オア・トリックス(treat or tricks)」[37]、1924年のアルバータ州ペンホールドで「トリート・オア・トリック(treat or trick)」[38]の例があった。「トリート・オア・トリート」はスーセントマリーの新聞に載った翌日に初登場し、現在一般的となっているが[39]、1966年のテレビ番組『ハロウィンだよ、チャーリー・ブラウン(英語版)』でも未だに「トリックス・オア・トリーツ(tricks or treats)」が使われていた[35]

20世紀初頭から1920年代にかけて作られた多数のハロウィンカード(英語版)には、たいてい子供が描かれていたが、トリック・オア・トリートは描かれていなかった[注釈 2]。3000枚を超えるハロウィンカードのビンテージコレクションの編集者は、「トリック・オア・トリートや玄関の前にいる仮装した子供たちのカードがあるが、我々に言えるのは、1920年代以降、おそらく1930年代に印刷されたということである。初期のカードには様々なトリックスターが描かれているが、彼らをなだめているものはない。」と記している[40]

トリック・オア・トリートが広く知られるようになったのは1930年代に入ってからのことで、アメリカでの初出は1932年[41]、1939年に全国的な出版物に初登場した[42]
アメリカ中に広まる


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