トリチウム
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^ トリチウム水 HTO は、天然存在濃度では、軽水( H2O)と性質や反応にほとんど違いがなく、水の理想的なトレーサーとしての利用がある。宇宙線の作用による生成速度を一定とみなせば、放射性壊変による消失速度が一定であるので、地球における天然の三重水素総量は古今とも一定値となる。地球上での分布としては水素ガス中のトリチウム(HT)は大気上層から下層まで均一であるが、水蒸気中のトリチウム(HTO)は上層ほど増大している[5][6]。大気循環しているトリチウム水濃度は、おおまかに地球上で動植物も含め一定値と考え、水中濃度の低下量から大気循環から外れた期間を知る地下水年代測定が可能である。土木、農業分野での地下水流動の実証的な調査に役立てられている。
^ 日本国内で測定された最高値は、原発事故を起こした福島第一原発の港湾内2・3号機取水口間にて2014年5月12日に採取した海水から1900 Bq/L検出されている[7]。他の原発の例では、1991年2月9日に美浜原発の放射能漏れ事故の際に、福井県美浜町沖の海水で、1991年2月18日に測定された490 Bq/Lであった。また、東海再処理施設の排水の影響により、茨城県東海村沖で、1990年1月1日に190 Bq/Lの三重水素が海水から検出されている。
^ 日本国内の環境中における三重水素濃度は、文部科学省の委託で日本分析センターが ⇒環境放射線データベースを公開している。世界の環境水中の三重水素濃度は、国際原子力機関(IAEA)がGNIPデータベース(Global Network for Isotopes in Precipitation)として公開している。また、放射線医学総合研究所のGNIPデータベース用の測定データも ⇒環境中のトリチウム測定調査データベースNETS DBで利用申し込みにより無料で検索できる。
^ 1 PBq(1ペタベクレル)=1015 Bq(1千兆ベクレル)
^ 核兵器(分裂と融合)の大気圏内核実験により環境中の濃度は、それ以前の天然存在量の200倍程度へと急増したが、環境中への放出量の減少により漸減している[8]
^ なお、再処理施設からの放出実績および基準については、表2 再処理施設からの放射性気体廃棄物の年間放出実績(1977年度?1996年度)および表3 東海再処理施設保安規定に定める処理済廃液の放出基準および1年間の最大放出量(ATOMICA:再処理施設からの放射性廃棄物の処理内図表)参照
^ 詳細は、(松岡 1995, pp. 9f.) 参照。なお、その事例の報告を受け国際放射線防護委員会(ICRP)の安全基準は改訂されている。同書より。
^ またトリチウム水は、分子生物学の実験などにおける、放射性同位元素標識にも利用される。
^ 一般環境中の濃度は 1?3 Bq/L 程度と低いため、特別にバックグラウンドノイズを軽減した液体シンチレーションカウンターが必須である。なお、かつてはガスカウンターが用いられた[8]。別な方法としては、崩壊で生じる 3He を質量分析装置で計測する方法もあるが、数ヶ月の期間が必要である。 ⇒トリチウム 原子力資料情報室(CNIC)
^ 一般的な溶媒である水そのものであるため、化学反応により溶媒に不溶性の化合物を作り沈殿させ、それをろ過するという手法などが使えない。
^ 水素は同位体の質量比がすべての元素の中で最も大きく、同位体分離が一番容易であると言われる[25]
^ 現在もっとも多くのトリチウムを生成している施設は原子炉の一種であるCANDU炉である。CANDU炉では重水を冷却と減速材に使用するため、重水中の重水素が中性子を吸収することにより生じる。トリチウムの回収はCANDU炉使用の上で重大な問題であり、回収されたトリチウムは科学的、あるいはその他の目的に使用されるが、一部は環境中に放出される。実際、カナダのブルース原子力発電所や韓国の月城原子力発電所周辺では環境中トリチウム濃度の増加が観測されている。
^ 膨大な汚染水から低濃度のトリチウムを分離するのは溶媒が水であるがために難しく、原子力施設から環境中に放出されたトリチウムは2015年現在の技術では除染できない核種である。「福島第一原子力発電所事故#ALPS」も参照
^ ほか、工藤 (1985) に詳しい
^ 本来、原子炉内で核分裂に寄与しない中性子は、燃料棒などに含まれるウラン238プルトニウム239に核変換させるために利用させるため、この方法ではプルトニウムを作る代わりにトリチウムを作るということになり、プルトニウム価格に応じて高くなる [29]

出典^ .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}"Tritium". Encyclopedia Britannica. Britannica. 2021年4月15日閲覧。
^ a b c 宇田 & 田中 2009.
^ “「原子量表(2012)」について”. 日本化学会 原子量専門委員会. 2021年4月14日閲覧。
^ “ ⇒よくあるご質問(FAQ)”. 核融合科学研究所. 2019年9月16日閲覧。
^ Allen S. Mason, H. Gote Ostlund (1976-10-20). “Atmospheric HT and HTO: 3. Vertical transport of water in the stratosphere”. Journal of Geophysical Research. doi:10.1029/JC081i030p05349. https://doi.org/10.1029/JC081i030p05349. 
^ 神山孝吉, 渡辺興亜「南極内陸氷床上へ降下・堆積する物質について」『南極資料』第38巻第3号、1994年11月、232-242頁、doi:10.15094/00008863、ISSN 0085-7289、NAID 120005509802。 
^放射能濃度、5カ所で最高値=福島第1港湾内外の海水?東電 2014年 5月 16日 20:30 JST 更新 ウォールストリートジャーナル
^ a b 百島 2000.
^ 宮本 2008.
^ 武谷 1957, p. 194.
^ 松岡 1995, pp. 9f.

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