トラックボール
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2008年頃からスマートフォン(後に普及したタブレット端末も含む)でタッチパネルに加えトラックボールを使用する物がある。操作に両手を使用するタッチパネルに対して、Bluetooth接続によって場所を選ばず片手でも直感的な操作ができるトラックボールが補完的に採用されることが多い。BlackBerry Boldなどはタッチパネルは使わずQWERTYキーボードとトラックボールのみのスマートフォンとなっている。代表的な製品としてandroidスマートフォンのHT-03Aやシャープから発売されたIS01タブレットGALAPAGOSブックリーダーSH-07Cなどがある。
VR機器でのハンドデバイス

バーチャルリアリティに特化したHMD(ヘッドマウントディスプレイ)用の機器、ソフトウェアが2010年代後半に注目されていくにつれて、腕での操作に用いるデバイスで指で細かく操作するための部分に、スティック、タッチパッドとともにトラックボールが採用されるケースがある。

空中操作が出来るタイプを参照。
特徴アメリカ合衆国海軍の航空管制任務の様子(右手でトラックボールを操作)

トラックボールの操作は、マウスのように装置そのものを持って動かすのではなく、指先や手のひら(機種によっては足にも対応)を使ってボールだけをその場で回転させることで行う。似たような性質のものではタッチパッドポインティング・スティックなどもある。トラックボールの筐体には、操作用ボールを収めるためのトラックボールハウジング(カップとも呼ばれる。以降カップと表記。)という窪みが設けられている。

その操作の特性上、操作のための広い面積や腕全体を動かす必要がなく机上の狭いスペースでも使用できる。ノートパソコンに2cm程度の小型のトラックボールを搭載するものや、スマートフォンに数mmの小型のトラックボールを搭載した物もある(スマートフォンの関係性については下記を参照)。足でも使える機種の場合、ポインターは足で操作できるため、両方の手が自由に使える利点がある。

操作に関して、手首や腕を細かく動かすことによる負担も少なくなり、腱鞘炎のリスクも減らすことができる。

手のない人、身体は思うように動かせないが、指先だけは正常に動かせる人など、身体障害者も利用可能であり、公共施設に設置されているパソコンにも多く用いられる。また、特定機器の内部に固定して設置できるため、マウスに比べて断線や周囲の揺れの影響が少なく、画像診断装置(超音波診断装置など)のような医療用途の他、工業用や軍事用といった具合に正確性を保ちつつ周囲の環境に影響されず操作可能な機器にも用いられる。

また、子供でも操作しやすいことから、子供向けとしてデザインされたトラックボールもいくつか存在する。
操作性

ボールの操作は、指をボールにつけたまま回すほか、ボールの慣性を利用して勢いよく回転させるような使い方もできるものもある。大きなボールを備えたものは操作の正確性に優れCADなどのオペレーションにも利用されている。ボールの重量、直径が大きいものほど慣性を利用した用法に有利である。直径が小さい場合、解像度の高いディスプレイ上を動かすには不適であるが、パソコン上の設定から検知感度を変更することで対応することもできる。

トラックボールとマウスの操作性の大きな違いを比較すると、(パソコンで感度や移動量を調整すれば対応できるが)一般的なマウスではポインタを大きく画面の端から端まで動かす際に一度マウスを接地面から浮かせて別の位置に置き、また動かす必要があるのに引きかえ、トラックボールは指先の位置を少しずらすだけで対応することができる。腕を大きく動かす必要がないため、肘や肩などにかかる負荷はマウスに比べて低い。

また、指先といったトラックボールに接触している極めて限定された部分の入力しか受け付けないため、ポインタのぶれも少ない。マウスならば腕や肘だけではなく、身体全体の動きが入力に影響してしまうこともままあるため、不意に身体を動かしたり、マウスから手を離す際、意図せずポインタがずれる現象が発生するが、トラックボールでは意図的に行わない限りめったに起こりえない現象である。

マウスが光学式になったのと同様に、トラックボールにも光学式のものが多くなっている[4]。マウスではボールそのものがなくなったが、トラックボールの場合はボールの回転を光の反射で読み取るため、同じ形状ならば操作感に大きな違いはない。ただし、このボール直読み方式に切り替わった都合から、以前はほぼ無地だったボール表面に文様が施されるようになっている[5]

トラックボールの形状パターンには後述のようにいくつかの種類があり、これもまた種類ごとに異なる操作性を持っている。
ゲームとトラックボールの関係

慣れにもよるが、マウスに比べると素早く直感的にポインティングすることが不得意な一面もある。また、マウスとは違い、五本ある指のうち最もよく使う親指人差し指中指のいずれか一つもしくは手のひら全体を用いてボールを操作するという特性から、近年の高価な上位マウスに比較して多数のサブボタンを導入しにくいという欠点もある。トラックボールにもボタンが数多く付いているものがあるが、通常よく使う3本指のうちいずれか一つが常にボール操作に塞がれるため、マウスに比べれば使い勝手は悪い。上記のような理由から、トラックボールはハードコアにコンピューターゲームを利用しているユーザーからは敬遠されがちな傾向にある。ただし、左手でキーボードならびに多数のボタン操作を行うこともでき、大きなトラックボールを使用したものでは精密操作と同時に大ざっぱな操作が行える(マウスの様な必要スペースを取らない)ため、ジャンルやプレイスタイルに応じて利用される。

アーケードゲームには、タイトル専用カスタムハードウェアという特性もあって、トラックボールを入力デバイスとする作品が古くからある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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