トム・ボンバディルの冒険
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さすらいの騎士

トールキンによれば、押韻や物語がいつも書き出しのところに戻り、聴衆がうんざりして音を上げるまで朗唱し続けるという、ホビット族が愛してやまない系統の詩である。「赤表紙本」にはほかにも似た詩があるが、その長大さと見事な技巧によりビルボ・バギンズの作品とみなされる。元来のナンセンス詩にヌーメノール王朝(第二紀)やエアレンディルの伝説を多少強引に当てはめて修正をほどこしていることから、ビルボが旅から戻った直後の作品に間違いないとしている。ビルボはこの詩の韻律を編み出したことを自ら豪語していたという[6]。15番の「海の鐘」とともに、放浪の旅の中に人生の倦怠をさりげなく伝える[9]
小さな王女さま

「西境の赤表紙本」の欄外の書き込みから選ばれたとされる詩[6]

妖精の王女が湖上で踊り、湖面に映る姿とつま先をつけあって二人で踊り続けるという[14]、可憐な小品である[9]
月に住む男 鈍重の巻

「西境の赤表紙本」によれば、ビルボの作品である[6]。同じ詩が『指輪物語』でも歌われており[9]、「旅の仲間」においてブリー村の「踊る子馬亭」でフロドが披露する[15]。月に住む男が旅籠を訪れ、ビールを飲みまくって大騒ぎを起こす[16]

実際には、「猫とバイオリン―復元された童謡と解禁されたスキャンダラスな秘密」というタイトルで1923年に発表されている[17]
月に住む男 軽薄の巻

トールキンによれば、16番「最後の船」とともにゴンドール由来の物語である。この詩ではベルファラス湾と、ドル・アムロスの海に向かって立つ塔ティリス・イーアーを扱っている[6]

月に住む男が地球の海に落ちてきて、漁師の船に救われる。彼は宿屋に向かうが、冷たくあしらわれる[18]。実際の成立は本詩集の中でも早く、1914年の冬に書かれた[12]
岩屋の巨人

「西境の赤表紙本」によれば、サム・ギャムジーが即興で作った歌である[6]。同じ詩が『指輪物語』でも歌われており[9]、「旅の仲間」において石と化した3体のトロルを目にしたサムが披露する[19]

岩屋に住むトロルが墓場から盗んできた骨をかじっている。長靴のトムがトロルの尻を蹴飛ばすが、傷んだのはトムの足の方だった[20]
巻貝のペリー坊や

「西境の赤表紙本」のこの詩にはサム・ギャムジーのイニシャルが添えてあるが、ホビット族が気に入っていたらしい滑稽な伝承動物譚をサムが修正しただけなのかもしれないとされる[6]

7番に続いて岩屋のトロルについて歌っている。ひとりぼっちで寂しいトロルがホビット庄を訪れる。みんなが逃げ出す中で、巻貝のペリー坊やだけが友達となり、トロルは坊やにごちそうする[21]
ミューリップ族

トールキンの前書きに言及がない。マーロック山脈のかなたの影の国に住むという人食い種族の歌[22]

サムの主張にしたがえば、ホビット庄で古くから伝わるという、じゅう(ムマキル)の歌である[6][23]

同じ詩が『指輪物語』でも歌われており[9]、「二つの塔」においてモルドール北方の黒門を見下ろす窪地に至り、サムがゴクリとの会話の中で歌う[24]


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