トムソン_(企業)
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

また、大宇電子はトムソン・マルチメディアの買収によりフランスで5000人の新規雇用を創出する予定であると報じられたが[37]、当時首相であったアラン・ジュペはトムソン・マルチメディアを「現状では何の価値もない」と判断しており[17][38]、政府が大宇電子に提示した売却額もわずか1フランという名目上の金額だった[17][39]

これに対し、トムソン・マルチメディアの従業員は売却に反対するデモを決行、フランス労働総同盟をはじめとする労働組合からはトムソンがRCAを獲得した後に「(政府が)資本増強を行えば、負債問題を解決できたはずだ」との声明を発表するなど、世論の反発を生んだ[40]。さらに当時野党だった社会党からは「民営化プロセスを停止するよう政府に厳粛に要請する」との意見が出た[41]ワシントン・ポスト紙は1996年12月6日付の記事にて、大宇に対する人種差別的な抗議が各地域で見られ、地元新聞のル・モンド紙が風刺画で「細い目に丸眼鏡をかけた」大宇の役員を描いた風刺画を掲載したり、労働者がデモの際「粗雑なアジア人の顔」を描いたTシャツを着ていたことを報じた[35]。その後政府は民営化委員会からの反対により、トムソンの民営化を一時停止し、先にトムソンCSFを民営化することを決定した[35][42]

1997年にアエロスパシアル、アルカテルダッソーを含む3社が共同でトムソンCSFの買収に名乗りを上げたが、政府はこれを認めず、のちにトムソン側との合意の上でトムソンCSFの民営化を正式に発表[43]。2000年にイギリスの防衛機器企業レイカル・エレクトロニクス(Racal Electronics plc)を買収してタレス・グループとなった[44]。同社傘下の子会社のうちトムソンCSF・セクスタンはタレス・アヴィオニクス(Thales Avionics、現タレスAVSフランス(フランス語版))に[27]、SGSトムソン・マイクロエレクトロニクスも1997年頃までに売却され、1998年にSTマイクロエレクトロニクスと社名を改めた[19][23]

一方トムソン・マルチメディアはアルカテル、アメリカのマイクロソフトおよびディレクTV、日本のNECの4社による民間グループと戦略的パートナーシップの締結を機に一部民営化、2000年に完全民営化が行われた[45][46][39][47]
2000年?2009年:メディア事業への進出と財務危機

2000年にトムソン・マルチメディアがフィリップスの放送事業部門(Philips Professional Broadcast)[48][49]に加え、イギリスのカールトン・テレビジョンから同社が保有していた旧テクニカラー社を買収したことで[50][51][52][53]、トムソンは映像事業への本格参入を果たした。2001年にトムソン・マルチメディアは欧州およびNAFTA加盟地域における競争力の強化を目的に、松下電器とブラウン管分野での協業を発表した[54]

光ディスクの分野では2002年にトムソン・マルチメディアがBlu-ray Discファウンダーズ(現Blu-ray Disc アソシエーション)の一員として、松下電器、日立製作所サムスン電子LGエレクトロニクス、フィリップスなど8社と共同でBlu-ray Discの規格を策定した[55][56]。また、松下電器より同社の子会社だったパナソニックディスクサービスを旧テクニカラー社を通じて買収し、DVDの製造拠点を取得[57]。この年、トムソン・マルチメディアは社名をトムソン(2代目)に改めた[58][59][60]。2003年にはBlu-ray Discのライセンス供与を開始[61]。2004年にはBlu-ray Discのライバル規格として誕生したHD DVDおよび対応DVDプレーヤーの製造により、Blu-ray DiscだけでなくHD DVDもサポートする姿勢を打ち出した[62]

音声ファイルフォーマットの分野では、2001年にドイツ・フラウンホーファー研究機構と共に推進していたMP3の新規格mp3PROを発表。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:102 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef