トニー・ベネット
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しかし、1960年代半ばに登場したビートルズの流行と、それに続く70年代の大衆音楽リスナー層のロックへの大きな傾斜によるスタンダード・ポップやジャズの人気凋落の影響を受け、ベネットの人気も低迷した[3]。この間ロック曲にもトライしたり、自らのレーベルを設立したり、名ジャズ・ピアニストのビル・エヴァンスとの共演アルバムを作ったりと努力を重ねたものの、最終的には納税延滞状態になったあげく1979年にはコカインの過剰摂取で瀕死の目に遭うまでになった[3]

その後、マネージャーでもあった息子ダニー・ベネットからのアドバイスもあり、1986年に古巣コロムビア・レコードと契約、流行最先端のTVナイト・ショーに出演するなどして大々的な露出を図り、若年層へのアピールをはじめた[3]。これが功を奏し、1994年には、MTVアンプラグドに出演し、その模様のライヴ・アルバムがヒットを記録、グラミー最優秀アルバム賞を受賞し、第一線へのカムバックを果たした[3]スティーヴィー・ワンダーと(2009年、ホワイトハウス

2000年代以降は企画にも恵まれ、プラシド・ドミンゴヴァネッサ・ウィリアムスシェリル・クロウダイアナ・クラールビリー・ジョエルスティーヴィー・ワンダーバーブラ・ストライサンドポール・マッカートニーエルトン・ジョンビリー・ジョエルスティーヴィー・ワンダーディクシー・チックスジェームス・テイラーフアネスセリーヌ・ディオンダイアナ・クラールエルヴィス・コステロk.d.ラングボノマイケル・ブーブレスティングジョン・レジェンドジョージ・マイケルなどベテランから若手まで、様々なジャンルの歌手と共演し、コンスタントにアルバムを発表、話題を集めた。

2011年には、アレサ・フランクリンマライア・キャリーレディー・ガガ、7月に急死したエイミー・ワインハウスらとデュエットしたアルバム『Duets II』が、85歳にしてBillboard 200で自身初の初登場1位を獲得し、ボブ・ディランが67歳の時に『トゥゲザー・スルー・ライフ』で作った最年長首位記録を大幅に塗り替えた[4]レディー・ガガと(『Cheek to Cheek』ツアー2015)

2014年には、前作でデュエットしたレディー・ガガを「君は真のジャズシンガーだ」と絶賛し彼女との親交を深め、デュエット・アルバム『Cheek to Cheek』を発表、これが2枚目の全米初登場1位アルバムとなり、最年長アルバム1位記録は88歳と69日に更新された[3]

その後もビル・チャーラップ(英語版)・トリオとの共演アルバムを発表するなど、発声や生活習慣に常々配慮し、高齢に至っても第一線で歌えるだけの声質を維持していたが、2016年頃からアルツハイマーに罹患していたことを、2020年に複数のメディアが報じた[5]

2021年、既にアルツハイマーの症状で直近の記憶が失われがちで、デュエットの相手が誰なのかもよく判らないような状態だったというなか、周囲のサポートでレディー・ガガとのデュエットアルバム『Love for Sale』が完成[3]。95歳と60日という史上最高齢で新作アルバムをリリースしたことがギネス世界記録に認定されたほか、全米アルバムチャートのトラディショナル・ジャズ部門で15回目の首位を飾り、ハリー・コニック・ジュニアがこれまで保持していた同チャートでの15作1位の史上最多記録に並ぶ快挙を成し遂げた[6]


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