トゥモロー・ネバー・ダイ
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その後、南シナ海の中華人民共和国の沿岸の「公海上」を航行していたイギリス海軍23型フリゲート「HMSデヴォンシャー」が、中国人民解放軍空軍ミグ戦闘機による領海侵犯の警告を受け、謎のステルス艦によって海中からの攻撃を受け沈没した。ステルス艦は中国軍のミグ戦闘機も撃墜した上に、脱出したフリゲート艦の乗組員たちを「中国製の銃」を使って皆殺しにした。

HMSデヴォンシャーは実際には中華人民共和国の領海内を航行していたが、なぜか艦内のレーダーには領海から離れた公海上を航行していると表示されていた。また同時にシンガポールのMI6支局は、不可思議なGPS電波が発信されていたことを掴んでいた。さらに、HMSデヴォンシャーからの「公海上で中国人民解放軍空軍機の魚雷攻撃を受け撃沈された」との電文を受けたばかりのイギリス海軍本部・国防省とM(ジュディ・デンチ)、さらに首相らが事実関係の確認に追われている最中にもかかわらず、なぜかエリオット・カーヴァー(ジョナサン・プライス)率いるメディア・コングロマリット「カーヴァー・メディア・インターナショナル」が発行するイギリスの新聞「トゥモロー」上に、「公海上を航行するイギリス海軍艦と中国人民解放軍のミグ戦闘機が交戦し、イギリス海軍艦が撃沈され乗組員が虐殺された」という記事が掲載される。

「トゥモロー」が伝えるHMSデヴォンシャーの「公海上」での撃沈と乗組員の虐殺に激怒した国防大臣は、イギリス海軍艦隊の中華人民共和国への派遣を命じるものの、「トゥモロー」の早すぎる記事の掲載と不可思議なGPS電波の発信に疑問を抱いたMはこれに反論する。これを受けて国防大臣は、艦隊が現場海域に着くまでの48時間を保留期間とし、事実関係の調査を命じた。Mはボンドをカーヴァー主催のパーティーが行われるハンブルクに派遣する。現地空港でQ(デスモンド・リュウェリン)からボンドカーを受け取ったボンドは、銀行員を装ってパーティー会場に潜入し、カーヴァーのみならず、かつて関係を持ったカーヴァー夫人パリス(テリー・ハッチャー)に近付く。ボンドとパリスが親しげに言葉を交わすのを見たカーヴァーは、配下のスタンパー(ゲッツ・オットー)に命じてボンドを別室で痛めつけさせる。しかし警備員たちを返り討ちにしたボンドが会場の電源を落とし、カーヴァーのスピーチは台無しになる。カーヴァーはボンドとパリスの会話やボンドの偽装身分を調べ、彼が政府系のエージェントであることに気付く。

宿泊先のホテル・アトランティークを訪ねてきたパリスから情報を得たボンドは、カーヴァーのハンブルク本部ビルの最上階に侵入し、実はカーヴァーに雇われていたグプタの部屋からレーダーの座標を狂わせるGPS暗号機を奪う。その場を脱出しようとしたボンドは、パーティーの席で新華社通信の記者と名乗っていた中華人民共和国国外安保隊員ウェイ・リン(ミシェル・ヨー)と鉢合わせする。侵入者に気付いた警備員たちから追われた末に、二人は別々に脱出する。カーヴァーの逆鱗に触れたパリスは、カーヴァーに依頼された殺し屋でスタンパーの師匠でもあるDr.カウフマン(ヴィンセント・スキャベリ)によって、ホテル・アトランティークで殺されてしまう。ボンドはカーヴァーからの電話で示唆されたホテルの部屋でパリスの遺体と対面を果たし、心中を装ってカウフマンに殺されそうになるが、一瞬の隙を突いてカウフマンを倒す。その後カーヴァーの部下たちに追われ、ボンドカーを駆使したカーチェイスの末に脱出した。

ボンドは沖縄県アメリカ軍基地に飛び、CIAのジャック・ウェイド(ジョー・ドン・ベイカー)の協力で、デヴォンシャーが沈んでいることが判明した南シナ海へ向かう。公海上空から単身降下したボンドはベトナム領海内の海底にデヴォンデャーを発見、その喫水下には魚雷の爆発ではなくカッターで切り取られた孔が開き、艦内のミサイル庫からは巡航ミサイル一発が消えていた。ボンドはやはり艦内を調べに来たウェイと再会するが、海溝に落ちつつある艦から出て浮上した二人はカーヴァーの手下に捕らえられて、ベトナムサイゴンにあるカーヴァー・メディア・インターナショナルの支局に連行されてしまう。そこで中国軍のチャン将軍と組んでいたカーヴァーの口から、偽のGPS電波でHMSデヴォンシャーを中華人民共和国の領海におびき寄せた上に、HMSデヴォンシャーと中国人民解放軍のミグ戦闘機を自らが所有するステルス艦によって沈没・墜落させたこと、さらにデヴォンシャーから盗み出した巡航ミサイルを用いてステルス艦で北京を攻撃し、情報操作で両国間の戦争を演出して大きな利益を得る計画が語られる。

何とかカーヴァーの元から脱出し、チャン将軍からの刺客も退けた二人は、イギリス海軍と中国海軍が対峙する南シナ海へ向かい、両者の間に潜入しようするカーヴァーのステルス艦に乗り移る。二人は外板に爆弾を仕掛けようとするが、発見されてウェイが捕まってしまう。しかしボンドが艦の内側で爆発を起こして外板を破損させたことで、英海軍23型フリゲート「HMSベッドフォード」はステルス艦を捕捉し、中国軍了解のもとで砲撃を開始。ボンドは乗組員との銃撃戦の後、逃亡しようとしていたカーヴァーをステルス艦に搭載されていた水中カッターで押し潰して殺害する。そして、ウェイを人質にとったスタンパーの抵抗を制し、デヴォンシャーから盗み出された巡航ミサイルに爆弾を仕掛けることに成功。スタンパーごと巡航ミサイルとステルス艦を爆破し、ウェイを救い出した。報告を受けたMは、「カーヴァーは所有する船で航行中に行方不明となり、自殺である模様」と情報操作するよう手配するのであった。
スタッフ

監督 - ロジャー・スポティスウッド

製作 - マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ

脚本 - ブルース・フィアスティン

音楽 - デヴィッド・アーノルド

主題歌 「
トゥモロー・ネヴァー・ダイ」 - シェリル・クロウ

エンディング・テーマ 「サレンダー」 - k.d.ラング

撮影 - ロバート・エルスウィット

編集 - マイケル・アルカン、ドミニク・フォーティン

プロダクション・デザイン - アラン・キャメロン

特殊効果 - クリス・コーボルド

メインタイトル・デザイン - ダニエル・クラインマン

キャスト主人公のピアース・ブロスナン
(2002年撮影)

ジェームズ・ボンド - ピアース・ブロスナン
主人公。冒頭で武器取引マーケットに潜入し、退避命令を無視して核魚雷を搭載した攻撃機を強奪することで、巡航ミサイル攻撃による核汚染を阻止する。その後デヴォンシャーの撃沈を受けたMからの指令で事実関係の調査に赴き、ウェイと共にカーヴァ―の野望を止めるべく立ち向かっていく。

エリオット・カーヴァー - ジョナサン・プライス
本作の悪役。イギリスの新聞「トゥモロー」を始め、放送事業や雑誌など幅広いメディア事業を展開する「カーヴァー・メディア・インターナショナル」の総帥を務めるメディア王。中国のチャン将軍と組んでステルス艦を建造し、グプタに命じてGPS暗号機でデヴォンシャーを中国の領海に誘導すると、ステルス艦によってデヴォンシャーと領海侵犯を警告する中国空軍のミグ戦闘機の双方を攻撃。更には自らのメディアを使って情報操作を行うことでイギリス・中国間に戦争を起こさせ、チャン将軍が政権を掌握した後の中国における放送権を獲得することを目論む。

ウェイ・リン(英語版) - ミシェル・ヨー
本作のボンドガール。中国の諜報部員。ストーリー後半からボンドの協力者となる。

パリス・カーヴァー - テリー・ハッチャー
カーヴァー夫人。かつてボンドと関係を持ち、彼が情報部員であることも知っている。このため、カーヴァーに盗聴されているとは知らないままボンドに発した、「今も寝る時に枕の下に銃を置いてるの?」の一言が命取りとなって、カーヴァーから殺害命令を受けたDr.カウフマンによって殺された。

ヘンリー・グプタ - リッキー・ジェイ
国際テロリストとして知られるアメリカ人エンジニア。彼が冒頭の武器取引マーケットでボンドが核汚染を防ぐべく起こした騒ぎの中で危険を感じ、取引されていたGPS暗号機を所持したまま車を強奪してまで脱出し、巡航ミサイルが着弾するより前に現場から逃亡して生き残ったことが、その時点でのボンドやMが全く予期していなかった新たなる危機を招く。

リチャード・スタンパー - ゲッツ・オットー
カーヴァー配下のドイツ人戦闘員。Dr.カウフマンの弟子で戦闘能力に優れ、冷血な殺人も次々と行う。英国艦デヴォンシャー沈没の際には、海上に脱出した乗組員を多数射殺。さらに、カーヴァーの計画を邪魔するボンドたちも殺そうとする。ちなみに本人曰くDr.カウフマンの拷問法も会得しており、捕えられたボンドたちに拷問器具を見せ、犠牲者を責め殺すまでにかける時間の長さについて「いつかは、カウフマンの記録を越えたいものだ」と豪語した。

Dr.カウフマン - ヴィンセント・スキャベリ
カーヴァーが雇った暗殺者。法医学の権威で、拷問の技術にも長けているという。パリス殺しをボンドの仕業に見せかけようと偽装工作を企むが、ボンドに隙を突かれて返り討ちにされる。

ジャック・ウェイド - ジョー・ドン・ベイカー
CIAのエージェント。南シナ海へ向かうボンドを支援する。

M - ジュディ・デンチ

Q - デスモンド・リュウェリン
ハンブルク空港のレンタカー会社カウンターでボンドを出迎え、彼にボンドカーを引き渡した。

マネーペニー - サマンサ・ボンド

チャールズ・ロビンソン - コリン・サーモン
Mの幕僚。

ローバック提督 - ジョフレー・パーマー(英語版)
Mとともに指揮所で事態解決に当たるが、彼女に比べて早急な手段を選びがちな傾向にあり、冒頭では彼がロシア側の合意を得る形で決断した巡航ミサイル攻撃が「チェルノブイリ以上の核汚染災害」を起こす危険を招き、ボンドの独断行動に救われる形となってしまった。

国防大臣 - ジュリアン・フェロウズ

ブリカン将軍 - テレンス・リグビー

グリーンウォルト博士 - コリン・スティントン

インガ・バーグストーム教授 - セシリア・トムセン
冒頭、オックスフォードでボンドにデンマーク語を「教授」する。


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