デーヴィッド・ハーバート・ローレンス
[Wikipedia|▼Menu]
ローレンスの生まれたイーストウッド8a Victoria Streetは、今日博物館になっている[4]労働者階級の家庭に育ち、炭鉱夫の組長である父アーサーと教養のある母リディアの仲が必ずしも良く無かったことが、彼の初期の作品に大きな影響を与えている。美しい田園風景と汚れた炭鉱町をモチーフとした風景は、彼の小説の中にも数多く登場している[1]。ローレンスはこの風景を回想し「私の心のふるさと(the country of my heart)」と述べている[5]

若きローレンスは、1891年から1898年の間、ビューバル公立小学校(現在はローレンスを記念し「グリズリー・ビューバル・D・H・ローレンス小学校と改名されている)で学び、初となる州会 (County council) 奨学金を獲得、州都ノッティンガム近郊のノッティンガム高校に入学する。現在この地にはローレンスの名がつけられた高校の寮がある。1901年に卒業するとヘイウッド医療器具会社の事務員となったが、肺炎を発症して3ヶ月で辞めた。彼は療養のため近くのハッグス農場を訪れ、そこの娘のジェシー・チェインバーズと友好を持った。ジェシーや他の10代の友人は皆読書好きであり、それ以降ローレンスは生涯にわたって文学を愛するようになった。1902年から1906年の間はイーストウッドのブリティッシュスクール(小学校)で代用教員を勤めた。その後ノッティンガム大学で2年間学んで教職の資格を取り、ロンドン南郊の小学校に勤めた[1]。教職の傍ら、詩、短編、小説『リティシア』の草稿などを作っている。1907年の暮れにノッティンガム・ガーディアン社の短編小説コンテストに応募して入賞。
母の死と駆け落ち

1908年の秋、ローレンスはロンドンに移り住み、ロンドン南部クロイドン (Croydon) のデービットソン・ロードスクールで教鞭を取る傍ら、執筆を続けた。いくつかの詩はジェシー・チェインバーズに送られている。やがて彼の作品はThe English Reviewの編集者フォード・マドックス・ヘファー(後にフォード姓,  (Ford Madox Ford) )の目に留まるようになった[1]。ヘファーはローレンスに作品を依頼し、『菊の香り』 (Odour of Chrysanthemums) が執筆された。それがロンドンの出版社ハイネマン (Heinemann (book publisher)) の注目を引き、さらなる作品が作られることになった。ローレンスの収入は執筆の方が主となっていったが、その後も数年教職を続けている。

『白孔雀』 (The White Peacock) を脱稿して間もない1910年にルーイ・バロウズと婚約するが、その後すぐに母が病没。愛する母を失ったローレンスはその後数ヶ月立ち直れなかった。この出来事は彼の重要な転機となっており、その様子が後の1913年の小説『息子たちと恋人たち』 (Sons and Lovers) でも描写されている。1911年、出版会の大物エドワード・ガーネット (Edward Garnett) とその息子デービット (David Garnett) と親交を結んでいる。肺炎が再発し、翌1912年にルーイ・バロウズとの婚約を解消する。

1912年3月、ローレンスは就職相談で[1]旧師アーネスト・ウィークリー (Ernest Weekley) [6]を訪ね、彼の妻フリーダ (Frieda von Richthofen) と3人の子供と出会う。ローレンスはフリーダとミュンヘンへと駆け落ちする。そこでイギリスのスパイと疑われて逮捕、告発されたため、アルプス山脈を超えてイタリアにわたった。1913年には子供に会いたいと言う[1]フリーダとともにイギリスに戻り、しばらく過ごしている。この際にジョン・ミドルトン・マリーキャサリン・マンスフィールドらと知り合う。その後イタリアに戻り、ラ・スペツィアに住む。1914年、この地で『虹』 (The Rainbow) と『恋する女たち』 (Women in Love) を執筆する。フリーダは夫アーネストと離婚し、1914年6月13日にローレンスと再婚する。1915年9月に『虹』を出版するが、11月に猥褻だとして発禁処分を受ける[1]。その後、コーンウォールに移る。1917年10月、スパイ容疑でコーンウォールから立ち退きを命じられ[1]バークシャーに移る。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:49 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef