デンプン
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また工業用には製紙・段ボール製造の糊料としても使用される[1]

白色度は高く、吸湿性は少なく、灰分は最も少ない。一方、蛋白質、脂質の含量が多め。糖化製品原資として多く用いられる。糊化時の粘度は中庸だが安定性が高く、接着力や糊液の浸透性も高いため、加工デンプン原料として用いられる。黄粒種から取り出された澱粉も色としては白色だが、一部の用途(錠剤などの製薬用途・和菓子等のとり粉などの食品用途)向けには白粒種を原料として更に白色度の高い澱粉(ホワイトコーンスターチ)を取り出して用いている。

ワキシートウモロコシ(糯トウモロコシ) - 糯トウモロコシ澱粉、ワキシーコーンスターチ。アミロースをほとんど含まない。アミロペクチンのみで構成される。糊化温度は低く、透明なゲルを形成する。

ハイアミローストウモロコシ - ハイアミローストウモロコシ澱粉、ハイアミロースコーンスターチ。アミロース含量60-70%。糊化温度は非常に高い(135℃以上にしないと完全には糊化しない)。

小麦

小麦澱粉。アミロース含量25%。

粒径2-40µm、平均粒径15-40µmからなる大粒と2-10µmからなる小粒からなり、粒子は凸レンズ型。

品質のばらつきが多く、多くの製造所で粒度区分と純度に従って等級を指定している。大粒子区分を精製した特級品は糊化温度が低く、冷却時の粘度が高くなる。他のデンプンと比較して糊化時の粘度はやや低いが、冷却時粘度が高くゲル化能力も高い。糊液の粘度安定性は良好で、老化しにくく離水も少ない。

大粒の高粘度の小麦デンプンは関西地方などで水産練り製品に利用されている[1]。また、小粒の低粘度の小麦デンプンは錠剤のベースに利用されている[1]

一般的には浮き粉と称されている。

米澱粉。アミロース含量15-20%。

米のデンプンは複粒であり、アミロプラストの中に複数のデンプン粒が内包されている。米粒胚乳中のデンプン粒は隙間なく詰まっている。登熟の際、高温や低温を受けると、形成異常が起こり、イレギュラーな形のアミロプラストが形成される。

平均粒径2-5µmと市販デンプン中最も小さい。このため製造上歩留まりを上げることは難しく(60%程度)高価になる。

デンプン粒の形状とその大きさから、微細な凹凸に付着し平滑面とする効果が大きい。

化粧品やそばやうどんなどの打ち粉に利用する[1]
マメ類

ソラマメ緑豆小豆など。アミロース含量30-35%。

粒径25-40µm(そらまめ)。

糊化温度がやや高く(80℃)、冷却時に硬いゲルを形成する。食品ではソース、フィリングとして利用される。緑豆春雨は緑豆デンプンを原料とする春雨である[1]。また、細胞デンプン(細胞膜に包まれた状態にあるデンプンのこと)は100℃においても糊化しないため、餡として用いられる。



イモ類
ジャガイモ

馬鈴薯澱粉。国内産のものとしては、北海道が一大産地として広く知られる。アミロース含量20-25%。

粒径2-80µm、平均粒径30-40µmと、市販デンプンの中で最大の粒形となっている。

いわゆる片栗粉は本来はカタクリ地下茎から採取したデンプンであるが、市場に流通している片栗粉と呼ばれるもののほとんどは馬鈴薯澱粉となっている[1]。デンプンとしてはリン酸の含量が多い。

加熱時の糊化温度は低く、膨潤力、溶解力が強い。透明で粘着力が強い糊液が得られる。糊化時の糊液の粘度は非常に高い。ただし、粘度の安定性は乏しい。食塩等の塩類により糊化の状態が大きく変化する。塩の存在下では、糊化が抑制され、糊液も離水しやすくなる。糊化に用いる水の水質、あるいは調味により容易に糊化が抑制されるため、扱いが難しいといわれる。

春雨の原料、オブラートや増粘剤の原料のほか、関東地方などでは水産練り製品に利用されている[1]



サツマイモ

甘藷澱粉。芋葛。沖縄県では「ンムクジ」と呼ばれ多用される[5]。国内産のものとしては、鹿児島県が一大産地として広く知られる。アミロース含量15-20%。

粒径2-35µm、平均粒径18-20µm、形状は釣鐘形。

加熱時の糊化温度はやや高く、完全に糊化する。

液化酵素(α-アミラーゼ)により極めて溶けやすいため、ほとんどが糖化原料となる。ゲル形成時に独特の食感を持つため、食品用として、春雨葛切り、自然乾燥品がわらびもちの原料となる。また、ラムネ菓子の原料としても用いられている。
タピオカ(キャッサバ)「タピオカ」および「キャッサバ」も参照

タピオカでんぶん。キャッサバ粉。アミロース含量15%。

粒径2-40µmで粒径分布は広く、形状は多角形または半球形。

加熱時の糊化温度は低く(59℃)、加熱により容易に吸水膨潤し、80℃以下で完全に糊化する。糊液の透明度が高く、粘度も高い。ゲル化しにくい。このため、食品の増粘剤として優れている。また、粘度が高いために、デンプンのりの原材料として使用されており、比較的身近な存在である。

半糊化乾燥の粒状品がタピオカパールとして流通している。
野草類
カタクリ「片栗粉」を参照

片栗粉とは、本来は自生するカタクリの地下茎から取るデンプンをいう[1]。ただし、先述のように市場に流通する片栗粉は、ジャガイモのデンプンである[1]
ワラビ「わらび粉」を参照
葛「葛粉」を参照
ヤシ類

サゴヤシを原料とするデンプンは東南アジアで食用とされソースの原料にもなっている[1]
デンプンの利用

非常に多岐にわたる。

高分子特性を利用するもの

食品製造 あらゆる形態のものが用いられる。

増粘安定剤

コロイド安定剤

保水剤

ゲル化剤

粘結剤


薬品製造 形態安定化のための基材として用いられる。

繊維 糊化デンプン、加工デンプンの利用

洗濯のり


製紙 加工デンプンの利用

接着剤 糊化デンプン、加工デンプンの利用


食品主食として

発酵原料としての利用

アルコール飲料の醸造

アミノ酸多糖などの微生物生産

また、利用の形態も様々な物がある。

デンプンのまま利用

糊化・老化させて利用

化学的処理を施したもの

加水分解物の利用

オリゴ糖

ブドウ糖

異性化糖

デキストリン

マルトデキストリン

シクロデキストリン


加工デンプン化工デンプン)Modified starch


物理的処理を施したもの

湿熱処理デンプン

高周波処理デンプン

放射線処理デンプン


その他

マーブルプリント(染色)- 糊状に練ったでんぷん粉に染料を混ぜたもので図柄を作り、繊維に圧着して染色する。1930年代にドイツで考案されたが、2014年時点でこの手法を使っているのは世界で京都の株式会社マーブルプリント1社のみ[6][7]


安全性に問題が生じた例

2013年、台湾にて無水マレイン酸を含むデンプンが流通していることが発覚、毒性を理由に回収された。無水マレイン酸が添加された目的は食感の向上であったが、無水マレイン酸は人体に有害であり、本来は工業用途に限られている[8]
出典^ a b c d e f g h i j k l m n o p “植物から作られるでん粉”. 独立行政法人農畜産業振興機構. 2019年12月6日閲覧。


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