デロス同盟
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この処置が後に最後まで親アテネ国家として残るサモス島と、次の記事で国家ごと植民地にされたがために真っ先に反旗を翻すレスボス島との決定的な違いとなって現れる。あくまで、どんな国家もデロス同盟には必要であるという一体感を、扇動家たちは踏みにじることになる。
迷走?衰退期詳細は「ペロポネソス戦争」を参照

紀元前431年にペロポネソス戦争が勃発し、紀元前429年にペリクレスが死去して以後、民主政国家アテナイはデロス同盟の盟主でありながら、アテナイを支配していたのは「扇動家デマゴーグ)」たちであった。民主主義政治のリーダーたちと異なり、世論の刹那的な意見を即座に政治へ反映したがる「衆愚政治(デマゴギア)は長期的な視野を無視した政策を連発し、徐々にアテナイの国庫を浪費していった。そして、盟主たるアテナイの混乱はデロス同盟にまで悪影響を与え始める。これが一部の学者がデロス同盟を「アテナイ海上帝国」と揶揄する原因の一つとなってゆく。この変化はレスボス島におけるミュティレネを中心としたデロス同盟脱退を掲げた反乱の鎮圧や、中立を維持していたメロス島攻略戦後の戦後処理にも如実に表れていた。ペリクレス時代では反乱を起こしたポリスに対しても、反乱鎮圧後は国家としての独立を認め、処刑も首謀者たちだけに抑えておいた。ところが、クレオンニキアスストラテゴスの時代においては成人男性を全て処刑し、国家としての独立を亡くし、アテナイの植民市にまですることもあった。ここに政治的な意図や意味は皆無であり、アテナイが強権的かつ覇権的な振る舞いを始める時期となる。

また、クレオンがブラシダスに討たれた後にアルキビアデスが提唱したシュラクサイへの遠征では、民主主義の悪い面が現れる。戦況が悪化しているにもかかわらずアテナイは同盟金庫をカラにして派兵を続けた結果、ギュリッポス率いるペロポネソス軍に完全敗北。第一次遠征軍を率いたニキアスとラマコス、さらに追加で派遣された増援軍を率いるエウリュメドンデモステネスの計四人のストラテゴスを含めた全軍が死亡するという最悪の果に終わった。

その後のアテナイは一度、寡頭政に移行したのち民主制を復活させるが、人材が枯渇した状態のアテナイにおいて民主制そのものが機能せず、自家中毒をおこすようになってゆく。(終期)

財源が枯渇したために税金を課す。それ自体は悪くないが、課税対象をアテナイ以外のデロス同盟加盟ポリスのみに限定し、アテナイ自身は免税した。加えて、シュラクサイの派兵で人材が枯渇してるにもかかわらず、ペロポネソス同盟軍に敗れたストラテゴスを市民集会で極刑に処すなどし、デロス同盟に加盟しているポリスの国庫と派兵された兵隊を浪費していった。加えて、アテナイ海軍もペロポネソス同盟とペルシャによって三段櫂船の漕ぎ手をヘッドハンティングされ、弱体化していった。軍事的にも経済的にもデロス同盟は形骸化していった。

最後は、スパルタのリュサンドロスアイゴスポタモイの海戦でアテナイを破り、デロス同盟諸ポリスおよび植民地からアテナイ市民総員を強制退去させたことで事実上壊滅。正式にはリュサンドロス率いるスパルタ海軍やスパルタ王パウサニアス率いるスパルタ軍にアテナイは包囲され、アテナイはスパルタ軍撤退と引き換えにデロス同盟の解体を公式に認めた。
脚注^ a b c d 高畠純夫『古代ギリシアの思想家たち??知の伝統と闘争』山川出版社〈世界史リブレット人006〉、2014年、39頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4634350069。 

関連項目

ペルシア戦争

ペロポネソス同盟

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