判例は、憲法31条により以下の4要素の全てが必要と解している[4]。実体法部分の保障は実質的に罪刑法定主義を意味する[5]。
手続面
刑事手続が法定されていること
法定された刑事手続が適正であること
実体面
刑罰法規の実体が法定されていること
法定された刑事実体法が適正であること
手続面の保障
手続面で保障されるべき内容の中核は「告知・聴聞の機会の保障」である。これは、デュー・プロセス思想の根源となる自然的正義(英語: natural justice)の発想に由来する。すなわち、刑事手続をはじめとした不利益手続においては、節目節目において、対象者が自らが課されようとしている不利益の内容と理由を十分に知らされ、弁解や反論の機会が与えられなければならない[6]。
実体面の保障
実体面の保障は、刑罰の謙抑性および罪刑の均衡が中心となる。すなわち、刑罰は人権に対する最も強力な制約となるのでその行使は必要性・合理性が認められる場合にのみ行われるべきであり、かつ罰しようとする行為の悪質性と釣り合う大きさの不利益でなければならないというものである[7]。
刑事法分野の主要判例
第三者所有物没収事件(最高裁判所昭和37年11月28日大法廷判決)[8]
最高裁判所は、「第三者の所有物を没収する場合、告知・弁解・防御の機会が必要である」と判示し、これを欠く関税法の規定は憲法第31条に違反すると判示した。
大阪市売春取締条例事件
最高裁判所は、成田新法事件(最高裁判所平成4年7月1日大法廷判決)において、憲法31条の保障は行政手続へも及ぶと正面から認めた。すなわち、行政処分を課すにあたっても、与える不利益の大きさ・程度に応じて、事前の告知・聴聞・弁解の機会が与えられることが必要となる[9]。
1993年に行政手続法が制定され、日本の行政手続における手続保障が一般化された[10]。
脚注^ a b c 渋谷秀樹 2017, pp. 187?188
^ a b c d 阿部照哉 1975, p. 104
^ 『法律学小辞典第4版補訂版』p908 有斐閣
^ 渋谷秀樹 2017, pp. 191?192
^ a b 渋谷秀樹 2017, p. 192
^ 渋谷秀樹 2017, pp. 193?194
^ 渋谷秀樹 2017, p. 193
^ “最高裁判所判例集 事件番号 昭和30(あ)2961
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