デジタルジレンマ
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アカデミー2000年代初頭から、アカデミー賞作品などをはじめ膨大な数の映画フィルムをデジタル化して磁気ディスクなどデジタル方式に変換して保存することが妥当かどうかを調査した結果、具体的な方法と技術はまだ見出されていないとして2007年に「ザ・デジタル・ジレンマ」と題する報告書を発表し、社会に警鐘を鳴らした[2]。同報告書にて、デジタル保存の戦略として、移行(マイグレーション)とエミュレーションが挙げられている。移行(マイグレーション)により、元データが格納された媒体の移し替えや(必要に応じて)フォーマット変換を行いつつ、併行してエミュレーションを準備することによって、もともとのファイルフォーマット、アプリケーションプログラム、場合によってはオペレーティングシステムを模倣し、フォーマット変換前の元データを読み取り可能とするものである。

慶應義塾大学で2008年10月下旬に開かれた国際シンポジウム「デジタル知の恒久的保存と活用に向けて」と題したシンポジウムで、アカデミー賞を主催する米映画芸術科学アカデミーのアンディ・モルツは、「デジタル映画の長期保存は難しい。百年以上使われてきた35ミリメートルフィルムに匹敵する技術は無い」と断言した。モルツはほとんどのハリウッドの映画スタジオが保存用の映画をフィルムにしている現況を紹介し、フィルムと同等の4K4096×2160画素)の品質でデジタル映画化した場合、保管コストはフィルムの場合の11倍になると算出している[2]
マイグレーション

デジタルコンテンツの長期的保存は、新方式の記録媒体が登場する度にデータのコピーを繰り返すマイグレーション(移住)が最適とされてきた。しかし、2時間のフィルムで2-5テラバイトもの情報量がある高密度画像の映画には膨大なコストがかかる。アンディ・モルツは映画業界のほか、アメリカ国立公文書記録管理局(NARA)やアメリカ議会図書館など多くの分野で同じ課題に直面していることを指摘している[2]
脚注^ a bIT用語辞典バイナリ“デジタルジレンマ”
^ a b c d2008年12月27日日経新聞(MCC研修資料2009-1)
^来るべきデジタル社会の危機、記憶の保管性について?超長期保管メモリ、千年メモリの必要性とその課題?小林敏夫 神奈川大学理学部


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