デジタルカメラ
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イーストマン・コダック社の技術者であるスティーブン・サッソン(英語版)は、1975年にCCDイメージセンサを使用した自己完結型電子カメラを発明し、製造した[5][6][7]。画像サイズは100×100の10,000ピクセルで、撮影した映像をテレビに映すこともできた[8]。同じ頃、富士フイルムは1970年代にCCD技術の開発に着手した[9]
発展期

画像をデジタル方式で記録する初めての一般向けカメラは1988年(昭和63年)に富士写真フイルムから発表された「FUJIX DS-1P」であり、当時のノートパソコンでも使われたSRAM-ICカードに画像を記録した。しかしこれは発売されることはなく、実際に店頭に現れた世界初のデジタルカメラはDycam社が1990年平成2年)に発売した「Dycam Model 1」である。電源がなくても記録保持ができるフラッシュメモリを初採用したのは1993年(平成5年)富士写真フイルムから発売された「FUJIX DS-200F」である。カシオQV-10

1994年(平成6年)発表・1995年(平成7年)3月発売のカシオ計算機のデジタルカメラ「QV-10」は、デジタルカメラの存在と利便性を広く一般に認知させた製品である。外部記録装置なしで96枚撮影ができ、本体定価6万5,000円を実現して好評だった。一番のメリットは、液晶パネルを搭載し、撮影画像をその場で確認できることである。また当時はWindows 95ブームで一般家庭にパソコンが普及し始めた時期であったため、パソコンに画像を取り込むことが広く認知された。この機種はNHKの番組「プロジェクトX?挑戦者たち?090回「男たちの復活戦 デジタルカメラに賭ける」[10]において、あたかも世界初のデジタルカメラのように紹介された(ただし、撮影画像をその場で確認できる液晶パネルを搭載したデジタルカメラとしては世界初である)。

QV-10の成功を皮切りに多くの電機企業が一般消費者向けデジタルカメラの開発・製造を始めた。QV-10発売の2か月後にリコーから発売されたDC-1にはカメラとしては初めての動画記録機能がある。その記録方法としてJPEGの連続画像(後にMotion JPEGと呼ばれる方式)を採用した。

この頃の製品はまだ画質も電池寿命もそれほど良くなく、存在が認知されたとは言え購入層もその使われ方も限定的で、性能もしばらくフィルムカメラを追い越すことはないと思われていた。
全盛期

1999年(平成11年)末から始まった高画素数化競争や小型化競争など、市場拡大を伴った熾烈な競争により性能は上昇、価格も下がり利便性も受けて、2002年(平成14年)にはフィルムカメラとデジタルカメラの出荷台数が逆転[11]、フィルムカメラからデジタルカメラへと市場が置き換わった。

報道関係やプロカメラマンの間でもデジタルカメラは普及した。初期には高画質でも大型で可搬性のないものであったり、専用のレンズ群が必要で価格も数百万円になるなど、一部の大手報道機関などが少数保有するだけの特別なカメラだった。1999年(平成11年)にニコンが既存の同社一眼レフ用レンズを使えるデジタルカメラ「D1」を定価65万円で発売後、各社完成度の高い低価格デジタル一眼レフを相次いで投入した。以後、速報性が重視される場面を中心に広まり、翌年のシドニーオリンピックなどを契機として報道各社を中心にデジタルカメラの導入が進んだ。撮影データをネットワーク経由で一瞬で遠隔地に送る事が出来、フィルム現像にかかる費用がなくコスト的にも優れたデジタル一眼レフは、フィルムカメラを駆逐し報道カメラの中心的な存在となった。その後、高性能化とデータ編集の容易さが支持されて、質感や仕上がりなどを重視する商用写真や美術写真にも活用範囲が広まった。

2000年(平成12年)頃から国内の光学機器メーカーだけでなく、電気機器メーカーが一般向けデジタルカメラ事業に参入し、さらには台湾中国韓国等のメーカーが加わった。2000年代中頃にはデジカメ市場が飽和しつつある中、カメラ付携帯電話の高機能化も加わって、店頭では販売合戦が展開されており、また2005年には京セラがデジカメ市場から撤退するなどメーカーの淘汰も始まった。
スマホカメラの台頭とコンデジの衰退

2007年に初代iPhoneが発売されて以降、高性能なカメラを搭載したスマートフォンの普及に伴い、デジカメの世界販売台数は2010年の1億2146万3234台をピークに[12]、また市場規模は2008年の2兆1,640億円をピークに[13] 減少を続けている。特に、一般消費者を主なユーザーとするレンズ一体型デジカメ(コンパクトデジカメ、コンデジ)の出荷台数は2008年の約1億857万台をピークとして、10年で1/10になるなど急激に減少した。

一方で、ハイアマチュア以上を主なユーザーとするレンズ交換式デジカメの出荷台数は2013年の約1713万台をピークとして、5年で1/2にしかならないなど減少は緩やかであり、2018年にはレンズ交換式デジカメ出荷台数1075万台に対してコンデジの出荷台数が866万台と、レンズ交換式の出荷台数がコンデジを上回った[14]
現在

デジタルカメラの世界総出荷台数は、2018年は約2200万台(市場規模は約7300億円)、2019年度は1522万台(市場規模は4500億円)。2020年度は世界総出荷台数は888万台(市場規模は4201億円[15])となり、ついに富士フイルム社のフイルムカメラ「チェキ」の年間販売台数(2018年度は約1005万台)を下回った。

2021年現在、メーカーの淘汰が進んでおり、世界シェアはキヤノンソニーニコン富士フイルムの4社で約9割、パナソニックを加えると約9割5分を占める。特にキヤノンは2003年に初めてシェア1位となって以降、デジカメ市場で不動の1位として2020年度には約48 %の市場シェアを占めるが、市場自体が急激な右肩下がりであるため、キヤノンは2020年4?6月期に史上初の四半期赤字に転落した。2018年にはカシオがデジタルカメラ事業から撤退、2020年にはオリンパスがデジタルカメラ事業を投資ファンドに売却するなど苦しい状態が続いている。
分類

実態としてはおおむね下記の通りである。分類が困難な機種もある。

コンパクト・デジタルカメラ - レンズ交換が不可能のもの
[注 2]


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