デジタルカメラ
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こうした状況を踏まえ、2013年当時の経済産業省は日本企業の競争力強化に向けた取り組みを進めようとしていたが[38]、その後もデジカメ市場はスマホに侵食される一方であり、各社で生産体制の縮小や撤退が続いた。2015年には、サムスンが最後となるモデルを発表した後に撤退[39] したほか、2017年には、ニコンが中国江蘇省無錫市の工場で行ってきたコンパクトカメラの生産を終了し、タイの工場へ生産拠点を集約[40]、2021年には国内生産も終了した[41]。2018年、オリンパスも深?の工場で行ってきたデジタルカメラや交換レンズの製造を終了し、ベトナムの工場へ生産拠点を集約している[42]。同年には、カシオのコンパクトデジタルカメラ事業からの撤退も発表されている[43]。2021年には、オリンパスはデジカメなどの映像事業を分社化・譲渡し、OMデジタルソリューションズがオリンパスのデジカメブランドを引き継いでいる。2020年には初めてミラーレス機が一眼レフの売り上げを上回った[44]

こうした状況を経て、2020年にはキヤノンとソニーが入門機からハイエンドまでを押さえた二強の地位を獲得し、スマホに市場を奪われてコンデジでは採算が取れなくなった他メーカーはハイエンド機に専念する業界構造となりつつある。
販売動向
トイデジカメ詳細は「トイデジカメ」を参照

機能や画質を割り切ることで低価格な「トイデジカメ」と呼ばれる分野が存在する。玩具の流通ルートで売られていることが多い。近年(2016年現在)では携帯電話に搭載されたカメラの性能向上によりジャンルそのものが衰退しつつある。携帯電話のアプリではトイカメラ特有の歪み・ぼけ・色調等の独特の光学効果を再現している[45][46]

同ジャンルの初期に流通したトイデジカメの例としてタカラSTICK SHOTニチメンのChe-ez!などがあり、デジタルカメラが高価だった頃、小型軽量で1万円以下で買える手軽さが受けてガジェット好きのユーザーに広まった。

初期の大半の製品が10万画素から35万画素ほどのCMOSを搭載し、増設できない1メガバイト程度の記録メモリーを搭載する。パソコンと通信することはできても、カメラだけで直接記録した画像を確認できるようなデバイスは存在しない。画質はおしなべて低く、色の再現性が悪い。一方、これらの中にはWebカメラとして使用できるものもあり、そのためにトイデジカメを購入するパソコンユーザーもいた。

現在では日本の一流メーカーのデジカメが実売で8000円を切るまでに低価格化しているうえ、トイデジカメの高機能化が進み、それらを区別する意味もなくなってきている。このような状況から、現在では「トイデジカメ」という概念が「安い」から「アクセサリーとして楽しむ」などの方向に変わっている。例としてボールペンや腕時計にカモフラージュした製品、フィルム時代の高級カメラをミニチュア化した製品などが一定の人気を保っている。また、単に低画質な製品を「トイ」扱いしている場合もある。

2010年春現在で販売が継続しているトイデジカメは、その定義を「小型軽量低価格で、手軽ではあるが低性能」とする場合、当てはまるのはVista Questシリーズと、同シリーズのうち1005ベースとなる「NICO DIGI」(ニコデジ)程度である。

機能や価格帯は考えず遊びの要素が強い製品として、プラスティックむき出しの質感やクセのある撮影画像など、同ジャンルの基本を意識し、楽しく撮ることを目標とした「DIGITAL HARINEZUMI」(デジタルハリネズミ)シリーズ、簡易防水機能付きとしては安価な部類で、わざと撮影画像のカラーバランスを崩した撮影ができる「GIZMON Rainbowfish」(ギズモン レインボーフィッシュ)、ローライの本格的二眼レフカメラ、ローライレフレックスの外観を忠実に模して小型化した「ローライレフレックスミニデジ」(Rolleiflex MiniDigi )シリーズなどがある。
一般的デジタルカメラ

2012年のデジタルカメラの世界シェアは以下の通りであり、出荷台数の1位から3位までを日本メーカーが占める(数字はパーセント)[注 43]
22.620.914.89.48.124.2
キヤノン
(日本)ニコン
(日本)ソニー
(日本)サムスン
(韓国)富士フイルム
(日本)その他

日本国内におけるデジタルカメラ1台あたりの平均販売価格はコンデジが約2万200円、一眼タイプが約8万5,400円である(2009年12月度、BCN調べ)。

売れ筋のキーワードは2003年頃までは画素数など、2004年には動画撮影性能や多彩なシーンモードなど、2005年には大型液晶・高感度・手ブレ補正などであった。2006年は一眼レフに「ライブビュー」が搭載されるようになり、急激な低価格化と相まって一眼レフの一般への浸透が進んだ。2007年には顔認識が登場し、人の顔が綺麗に撮れる、笑顔になるとシャッターが切れる機能などが流行した。2008年は暗所撮影や防水機能など「場所を問わず綺麗に撮れる」性能や、より広い角度を写せる「広角ズーム」が売りとなった。

2009年は明暗差の激しいシーンでも白飛びや黒つぶれが発生しにくい「ダイナミックレンジ拡張機能」、そして一度ロックした被写体にピントや露出を合わせ続ける「自動追尾機能」などが登場した。また、リコーGRデジタルIIIやキヤノンパワーショットG11など、あえて操作を自動化せず画質と高級感を優先させた高級コンパクトカメラが独自の地位を築いた。家庭にハイビジョンテレビが普及したこともあり、ハイビジョン画質の動画機能が装備されたカメラが普及し始めた。また、2008年末にフォーサーズ陣営から登場したミラーレス一眼が2009年5月以降売り上げを伸ばしている。2010年にはAPS-Cサイズのミラーレス一眼が登場、2013年に35ミリフルサイズのミラーレス一眼が登場して以降は、一眼レフから乗換のユーザーでミラーレス一眼が販売シェアを拡大、2020年に販売台数が一眼レフを逆転して以降は、ミラーレス一眼カメラがレンズ交換式デジタルカメラの主流となっている。

過去のデジタルカメラ市場はほとんど日本企業のブランドで占められており、日本国外勢はコダックや一部のスタジオ用中判機種に限られていた。最近2003年 - 2004年にはおよそ80 %であったが、日本メーカーが積極的に行っている生産設備の中国への移管による技術移転や韓国メーカーの高級機参入に加え、アメリカやドイツの歴史あるブランド名を復活させた製品も出始めた。

メーカーからは高性能のデジタルカメラが発売される一方で、古いデジタルカメラはユーザー間で「オールドデジカメ」「オールドコンデジ」として好まれて取引されておりイギリスBBCでもその傾向が報じられている[47]
出力/印刷
店舗での出力

2000年頃から大手カメラ店のDPEコーナーなどでデジタルデータから印画紙に焼き付けるサービスが行われている。これは、デジタル処理のミニラボシステムを利用したもので、フィルムスキャナによる入力の代わりにデジタルカメラなどで得られたデジタルデータ(JPEGなど)を印画紙に焼き付けるものであり、従来の写真と同程度の画質や耐久性が期待できる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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