デジタルカメラ
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また、コンパクトデジタルカメラでは電子的な撮像素子そのものが測光素子を兼ねて、露光を自動調整する[注 34]。ただし撮像素子は読み出しに多少の時間が掛かるので、瞬間的に明るさの変化する撮影対象では正確な露光が期待できない。ほとんどのデジタル一眼レフ機では、撮像素子とは別に測光専用のセンサーで露出を決めるものが多い[注 35][20][22]

フィルムカメラの上位機種でも備えるものがあるが、オートブラケティング(Automatic Exposure Bracketing, AEB)撮影によって、露出を変えながら立て続けに2-4枚ほどの撮影を行うこともできる[23]。また、オートブラケティングと同様に露出の異なる複数枚の撮影をすばやく行い、内部演算処理によって1枚のダイナミックレンジの広い画像を得る、ハイダイナミックレンジ(HDR)処理をカメラ単体で行う機種も登場している。
画像処理

撮像素子から出力されたアナログデータはA/D変換された後、映像エンジン[注 36]画像エンジンなどと呼ばれる画像処理専用のICによって、暗電流補正、補間演算、色空間変換、ガンマ補正収差の補正、ノイズリダクション画像圧縮などの様々な画像処理が行なわれ、外部利用に適した画像形式に変換される。たとえ同じ撮像素子を使っていても、カメラのメーカーが異なっていれば画質の傾向も違ってくる。画像処理のアルゴリズムが出力される画質を左右するため、メーカーでは様々な工夫を行っている[注 37]。かつてはこの処理に時間が掛かるのがデジタルカメラの問題点の1つであったが、今ではデジタル演算能力の向上によってほぼ解決されている。
記録処理

映像エンジンで画像処理が施されたり、またはRAWデータのままの静止画情報は、記録媒体に書き込まれて保存される。フラッシュメモリー素子のデータ転送速度は年々高速化しているが、一方で画像データサイズの肥大化もあって、一般に記録動作には時間が掛かる。
記録形式
撮影された画像情報の記録には、一般的に
JPEGや、JPEGの拡張規格であるExif形式が使用されている。また、一眼レフや一部の高級コンパクト機では、Exifに加えてRAW形式での記録も可能である。
Exif
Exifフォーマットは、JPEGファイルにカメラ映像機器工業会 (CIPA) によって規定された「ヘッダー」を追加したものである[注 38]。このヘッダーには、撮影時の機種、レンズ名、焦点距離、絞り、シャッタースピード、ISO感度、露出モード、撮影日時といったメタデータが含まれている。ほとんどのデジタルカメラおよびカメラ付き携帯電話はExifを使用しており、家庭用プリンターもExifデータを認識してそのまま印刷できるものが多い。ExifはRGB各色8 bitの階調しか持たないうえに非可逆圧縮を行うため、元の画像情報の一部は失われる。また、一度失われた情報を再現するのは不可能である。ほとんどのデジタルカメラでは、JPEGの圧縮率を選択できる。圧縮率を下げれば画質は向上するが、一方でファイルサイズが大きくなり、メディアに記録できる枚数は少なくなるトレードオフ関係がある。
RAW
RAWフォーマットは、撮像素子からのデジタルデータを最小限の処理だけで記録する。階調の削減や圧縮による画質の劣化がないため、プロやハイアマチュアのカメラマンに好んで用いられる。RAWは一般にファイルサイズが非常に大きくなるため、連写速度が落ちたり、しばらく操作を受付なくなることもある。RAWフォーマットはメーカーや、場合によっては機種ごとに異なっており、互換性はほとんどない。また、そのままではパソコン上で表示することができず、メーカーなどが提供する専用の読み込み・再生用のパソコン用ソフトウェアを使って表示したり、読み込み後にExifやJPEGなどの汎用形式に変換してから表示する必要がある。この変換処理を「現像」といい[23]、それに用いられるソフトウェアを「現像ソフト」と呼ぶ。

上記の他にも、TIFF、DPOFなどがある。
付加機能

デジタルカメラが登場した当初は、性能は銀塩カメラより劣った。主に電子技術の急速な発達によって解像度や感度が銀塩カメラに追いつくほど技術開発が進み、銀塩カメラを広範囲に置き換えた。そして、単に静止画を撮影する基本機能の充実だけでなく、デジタル式にしかできない付加的な機能を付け加える方向へ技術開発がされている[注 39]
デジタル式ズーム

デジタル画像処理によりズームを行う方式。ズームレンズを用いた光学式ズームと同時使用可能である。
デジタルズーム

イメージセンサーの中央部の画素のみを撮影に使用し、拡大することで画像を作成するズーム方式。ズーム倍率に応じて使用可能な最高画素数は減少する。例えば、1200万画素機で2倍ズームにすると、その場合の画素数は縦横共に半分になるのでイメージセンサーの中央部の300万画素を使用する。画像を記録する際の記録フォーマットが4096×3072(1200万画素分)であれば、不足する900万画素分の情報が300万画素からの補間処理によって生成される。2倍程度までのズームについては各社で特別な補間処理を行い、単なるデジタルズームと差別化している場合がある[25][26]
画質の劣化を抑えるため、記録する画素数に合わせてデジタルズームの最大倍率を変え、等倍以上の拡大を避ける設定が可能な機種もある。
トリミング式ズーム

保存する画像の画素数でイメージセンサーの中央部をトリミングするズーム方式。イメージセンサーの画素数よりも少ない画素数で保存する場合に使用できる。デジタルズームと異なり拡大処理を行わないため拡大に起因する画像の劣化がない。
イメージセンサーの画素数よりも少ない画素数で保存する場合、光学ズームが可能な範囲では画像を保存する際に縮小処理が行われる。光学ズームの限界を超えるとイメージセンサーの全面を使用することをやめ、中央部をトリミングして縮小率を下げた画像を保存する。この光学ズームの限界から縮小処理が不要になるまでのズームがトリミング式ズームである[25]。トリミング式ズームの限界の後はデジタルズームを使用できる。
スマートズーム、EX光学ズーム、ファインズーム、セーフティズーム等各社が同様の機能をそれぞれ名前をつけており、共通の呼称は定まっていない。
手ぶれ補正


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