デジタルカメラ
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また、一部の高級機種や業務用機種には35 mmフルサイズ中判など、銀塩フィルムと同等サイズの撮像素子を搭載する製品もある[注 12]

撮像素子は2000年頃までCCDが主流で、画質が劣ったCMOSは一部の安価な機種に搭載されるのみだった。その後、CMOSイメージセンサの性能が向上して多くの問題点も対処が進められた。CMOSの特徴である低消費電力性や低価格なこともあり、一眼レフを中心にCMOS搭載機種が増えてきている[注 13][20]。CMOSによるデジタル回路を同じシリコン基板上に構築しやすいので高機能な駆動回路をセンサ側に作るのに向いており、例えばA/D変換回路を内蔵するものがある[注 14]

一般に撮像素子が大きいほど色再現性、感度ノイズダイナミックレンジなどあらゆる点で有利である。とくに同じ時代に設計された撮像素子同士の比較ではサイズにより画質の差があり、測定値にも表れる。また、同じ画角・同じF値における被写界深度が浅くなるため、対象物だけにピントを合わせて背景から浮き上がらせるボケの効果が得られやすい。反面、撮像素子が大きいとボディが大型化し、高価になる。また画素数が多いほど描写は精細になり、大きなサイズでのDPE依頼やフォトプリントでも精細な画像が得られる。撮像素子のサイズを変えずに画素数を増やすと、1画素あたりの面積が小さくなる。ダイナミックレンジが狭くなる、電気的なノイズ・歪みが多くなることからむしろ画質を損なう場合もあるので、撮像素子や処理回路でノイズを抑える設計が必要であるため、画素数を増やすことには限界がある[注 15]。コンパクトなボディに大きな撮像素子を搭載した機種も存在する[注 16][注 17][22][注 18]

2010年現在用いられている撮像素子の多くが、1つの画素で多様な色の識別は行えず、画素を構成するそれぞれのフォトダイオードの上に RGB(CMY)[注 19][22] の内のいずれか1色のフィルターを配置することでそれぞれの色を検出する[注 20]。このため、多様な色が検出できる最小単位は、少なくとも3画素である。続く画像処理部では、それぞれの画素には本来測光しなかった他の2色分の色情報を周囲の色から作り出すという処理が行われる場合があり[注 21]、「偽色」と呼ばれる、誤った色情報を生成したり不自然なノイズが生じる原因である。このようなノイズや画素数の実質的な減少を避けて、可能な限り画素数を増やしたいプロ仕様の上級機種では、入射光を3個ほどのプリズムによって CMY(RGB) という波長帯別に分離してから、それぞれの光を1枚ごとの撮像素子で電気に変換する仕組みを備えるものもある[注 22][23]
電子式ファインダーと操作部詳細は「ファインダー#デジタルカメラのファインダー」を参照

フィルムカメラのファインダーには幾つか異なる方式があるものの、全て光学式だった。デジタルカメラの場合も同様の構造が可能だが、多くのデジタルカメラは撮像素子で得た画像データを本体背面などのカラー液晶で表示することでファインダーとしている。また、いわゆる「ミラーレス一眼カメラ」では、従来の一眼レフカメラと同等の位置にカラー液晶を使ったファインダーを配置しているものが多い。この電子式ファインダーはプリズムやミラー、光路を必要とする光学式に比べて設計上の自由度が高いが、2019年現在では撮影直後に表示が一時停止するモデルが多いといった問題もある。また単に撮影画像を表示するだけでなく、電子機器であるデジタルカメラ本体の操作画面としてや、画像編集といった付加的な機能にも利用される[注 23]

背面液晶式カメラの多くでは液晶表示部が背面に固定されているが、これを可動としたのがいわゆるバリアングル液晶であり、撮影者の視点や姿勢にあまり制約されることなく、ローアングル(低い位置からの撮影)やハイアングル(高い位置からの撮影)などの撮影が容易になった。

フィルムカメラでもデジタルカメラでも同様であるが、実際に撮影させる画像とファインダーで見える画像とが必ず同じ範囲であるとは限らない。実記録画像が100 %としたときのファインダー画像の大きさを%で示す「ファインダー視野率」という指標がある。デジタルカメラでは、比較的100 %のものが多い[23][注 24][22][注 25]

シャッターボタンを含む操作用のスイッチ類は、人間工学に基づき配慮されている。一部の機種では電子式ファインダーである液晶画面にタッチパネルを組み込むことで、ファインダーの画面が操作面となるものもある。
画像処理部

撮像素子からのアナログ信号はアンプによって増幅され、高速アナログ/デジタル変換器によってデジタル信号に変換された後、DRAMのような半導体記憶素子に一時記憶として蓄えられる。画像処理専用に作られたASICが、この一時記憶領域から必要なサイズの画素を読み出しては演算処理を行い、一時記憶へ書き戻す。イメージセンサの画素数の増加とそれに伴い求められる処理性能の上昇に合わせて、次々と演算処理速度の高いICが開発されている[注 26][23][注 27]
記録部

画像を記録するには、一般にフラッシュメモリが使用される。ICチップによる内蔵固定式やメモリカードを差し込む内蔵交換式などの記録媒体がある。
記録媒体
撮影された画像データの記録・保存には、主にフラッシュメモリを内蔵したメモリーカードが使われる。かつては民生用としてコンパクトフラッシュスマートメディアが、業務用としてPCカードタイプのハードディスクやマイクロドライブが利用されていたが、2010年現在ではいずれもSDメモリーカードが主流である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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