デジタルカメラ
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2020年度は世界総出荷台数は888万台(市場規模は4201億円[15])となり、ついに富士フイルム社のフイルムカメラ「チェキ」の年間販売台数(2018年度は約1005万台)を下回った。

2021年現在、メーカーの淘汰が進んでおり、世界シェアはキヤノンソニーニコン富士フイルムの4社で約9割、パナソニックを加えると約9割5分を占める。特にキヤノンは2003年に初めてシェア1位となって以降、デジカメ市場で不動の1位として2020年度には約48 %の市場シェアを占めるが、市場自体が急激な右肩下がりであるため、キヤノンは2020年4?6月期に史上初の四半期赤字に転落した。2018年にはカシオがデジタルカメラ事業から撤退、2020年にはオリンパスがデジタルカメラ事業を投資ファンドに売却するなど苦しい状態が続いている。
分類

実態としてはおおむね下記の通りである。分類が困難な機種もある。

コンパクト・デジタルカメラ - レンズ交換が不可能のもの
[注 2]

ネオ一眼 - 明るい高倍率ズームレンズを持った、比較的大きなもの。「ブリッジカメラ(英語版)」とも呼ばれている。2010年頃まではコンパクトデジカメとしての手軽さと、レンズ交換式一眼レフのような高性能を併せ持つ点が評価され、旅行などに重宝された。しかし、一眼レフ並みの大きさで取り回しが面倒な上にレンズ交換が不可という、その中途半端な立ち位置によって、デジカメのジャンルの中では最も早く衰退した。2022年現在はニコン「COOLPIX P1000」(2018年発売)などの超高倍率機を中心に生き残っている[16]

高級コンパクトカメラ - 比較的大きな撮像素子(1/1.8型以上)を持ち、マニュアル操作に重点を置いたもの。2010年代前半よりスマホと対抗するためにコンデジの高級化が始まり、従来は一眼レフにしか搭載されていなかった35 mmフルサイズやAPS-Cサイズの大型センサーを搭載するコンデジが登場し始めた。

(上記以外の)コンパクトデジタルカメラ - 小型化に重点を置いた一般向けの機種。2000年代にはフイルムカメラからの移行先として、一般ユーザーがこのタイプのデジカメを買い求めたために市場が急激に拡大し、市場の多くをこのタイプが占めた時代もあったが、この程度の性能ならスマホのカメラで十分であるため、スマホの普及とともに市場が急激に縮退した。


レンズ交換式カメラ - レンズ交換が可能なもの。2009年まではデジカメ市場の1割に満たない、ハイアマチュアからプロフェッショナル向けのニッチな製品だったが、スマホの登場後にコンデジの市場が急激に縮退したことによって、2018年以降はレンズ交換式カメラがデジカメ市場の過半数を占めるようになっている。

デジタル一眼レフカメラ - ペンタプリズムなどによる光学式ファインダーを持つ従来の一眼レフカメラをデジタル化した形式。最も一般的な撮像素子のサイズは、APS-Cサイズと呼ばれる23.6 mm × 15.8 mmの撮像素子だが、35 mmフィルムと同程度の大きな撮像素子(36 mm × 24 mm)を持つものは「フルサイズ」と呼ばれる。その他に、「フォーサーズ」と名付けられた、APS-Cサイズよりひと回り小さい(17.3 mm × 13 mm)撮像素子の規格をオリンパスとコダックが独自に策定して、それぞれのデジタル一眼レフとミラーレスカメラに採用している。

ミラーレス一眼カメラ - 一眼レフカメラのデジタル化の中で派生した形式で、レンズ交換が可能でありながら光学式ファインダーが省かれ、電子式ファインダーのみを持つ。ミラーが無いためコンパクトカメラのようにボディを薄くできるため、スマホより高品質な写真が撮りたいけれど大きなカメラは持ちたくないという層に需要がある。2000年代後半より各社によって開発が行われていたが、市場では後発だったソニーがコニカミノルタの技術をベースとして2013年に発売した世界初のフルサイズミラーレスカメラ「α7」のヒットによって市場が急拡大した。この流れにキヤノンやニコンも追随したため、2010年代後半よりデジカメ市場の主戦場はミラーレス一眼へと移行しており、初心者向けからプロフェッショナル向けまで幅広い製品が存在する。2020年にはデジタル一眼レフカメラの販売台数を追い抜いた。なお、ソニーは「α7」のヒットにより世界ミラーレス市場1位となって、それまでキヤノンとニコンが独占していた高級カメラ市場に食い込むことに成功し、縮退するデジカメ市場で唯一伸長するミラーレス市場において販売シェアを伸ばしたことによって、2019年にはニコンを抜いて世界デジカメ市場2位となった。

中判デジタルカメラ - 35 mmフィルムより大きな撮像素子を持つ形式で、フィルム一眼レフカメラのシステムをベースにカメラボディをデジタル化した形式、フィルム一眼レフカメラのオプション品としてデジタルバックの形で提供されるものや、ミラーレス一眼カメラとして新規に開発した形式もある。2023年現在、富士フイルムとハッセルブラッドからミラーレス一眼カメラ、フェーズワンから業務用でデジタルバックや一眼レフカメラの製品が発売されている。

ハイブリッドインスタントカメラ(チェキ) - インスタントカメラとデジタルカメラが一体化したもの。本体にプリンターも内蔵しており、デジタルで撮影した画像をフィルム[17]に記録し、現像・プリントまでをカメラ1台で行うことができる。2017年4月に発売した「instax SQUARE SQ10」[18]が同社のインスタントカメラ「instax」シリーズ(通称:チェキ)の上位機種で展開されている。商品戦略上は「チェキ」のファミリーであるが、カメラ映像機器工業会におけるフィルムカメラの統計は2008年に廃止されているため、統計上は「デジカメ」にカウントされている。

FinePixシリーズのひとつとして、以前の1999年11月に intax miniを使用して、同じくデジカメとプリンター一体構造である「FinePix PR21プリンカム」[19]が発売されたが、定価99,800円かつ約700グラムで巨大で、話題とならなかった。


トイデジカメ - おもちゃのデジカメ。無名のメーカーから様々な製品が販売されている。高くても数千円程度で買える。2010年代後半の時点では、数千万画素、4K解像度で動画も撮れるものも登場しているが、画質はあまり良くない。スマホのカメラよりも低性能だが、味のある写真が撮れるので、愛好家も存在する。


構造デジタルカメラの構造概略2種類のデジタルカメラの光学系
A:コンパクト・デジタルカメラ
B:一眼レフ・デジタルカメラ
1.レンズ 2.撮像素子 3.液晶表示部 4.ファインダー 5.ミラー 6.シャッター 7.ペンタプリズム
全体構造

デジタルカメラの全体的な構成は、大きく分けて光学系と電子系、そしてそれらを保持する筐体に分類できる[注 3]。光学系はレンズと絞り機構であり、一眼レフでは光学式ファインダー用のレフレックスミラーとプリズムがこれらに加わる。機械式のシャッター機構を備えるものもある。電子系は受光素子とメモリーを含む画像演算回路、記録装置、液晶表示器、ストロボ、操作スイッチ、電池などである[注 4]
光学系
撮像
基本的な光学系は銀塩カメラとそれほど差はない。同じ
画角で同じF値のレンズを作る際に、撮像素子が小さいほど短い焦点距離のレンズ、つまり小さいレンズで済む[注 5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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