デシベル
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L V = 10 log 10 ⁡ ( V out 2 V in 2 ) = 10 log 10 ⁡ ( V out V in ) 2 = 20 log 10 ⁡ ( V out V in ) dB {\displaystyle L_{V}=10\log _{10}\left({\frac {{V_{\text{out}}}^{2}}{{V_{\text{in}}}^{2}}}\right)=10\log _{10}\left({\frac {V_{\text{out}}}{V_{\text{in}}}}\right)^{2}=20\log _{10}\left({\frac {V_{\text{out}}}{V_{\text{in}}}}\right){\text{dB}}}

として計算する。ここに、Vinは入力電圧、Voutは出力電圧である。ここで注意する必要があるのは、定義が 20 log 10 ⁡ ( ) {\displaystyle 20\log _{10}\left(\right)} なのではなく、 10 log 10 ⁡ ( ) 2 {\displaystyle 10\log _{10}\left(\right)^{2}} の式変形の結果として乗じる係数が20となっている点である。これは電気回路で入出力のインピーダンスが等しい場合に相当し、この条件下では明らかに以下の関係が成立する。

L P = L V {\displaystyle L_{P}=L_{V}}
相対量としてのデシベル

相対量としてのデシベルは任意にとった基準量との比をデシベルによるレベル表現で表すものである。相対量であることを明示するために dBr という表記をする場合もある。

デシベル値・場の量[5](電圧など)の比・工率の量(電力など)の比を表にして示す。

デシベル値場の量の比工率の量の比
0 dB1.000 倍1.000 倍
1 dB1.122 倍1.259 倍
2 dB1.259 倍1.585 倍
3 dB1.413 倍1.995 倍
4 dB1.585 倍2.512 倍
5 dB1.778 倍3.162 倍
6 dB1.995 倍3.981 倍
7 dB2.239 倍5.012 倍
8 dB2.512 倍6.310 倍
9 dB2.818 倍7.943 倍
10 dB3.162 倍10.00 倍
11 dB3.548 倍12.59 倍
12 dB3.981 倍15.85 倍
13 dB4.467 倍19.95 倍
14 dB5.012 倍25.12 倍
15 dB5.623 倍31.62 倍
16 dB6.310 倍39.81 倍
17 dB7.079 倍50.12 倍
18 dB7.943 倍63.10 倍
19 dB8.913 倍79.43 倍
20 dB10.00 倍100.0 倍
30 dB31.62 倍1,000 倍
40 dB100.0 倍10,000 倍
50 dB316.2 倍100,000 倍
60 dB1,000 倍1,000,000 倍

場の量で 6 dB は約 2 倍、 12 dB は約 4 倍、 14 dB は約 5 倍、 17 dB は約 7 倍、 18 dB は約 8 倍、 19 dB は約 9 倍、 20 dB は正確に 10 倍である。工率の量では 3 dB は約 2 倍、 6 dB は約 4 倍、 7 dB は約 5 倍、 9 dB は約 8 倍、 10 dB は正確に 10 倍である。

場の量である電圧や電流では 10 倍であることを +20 dB とか 20 dB 大きいといい、 1/10 であることを −20 dB とか 20 dB 小さいという。工率の量である電力では 100 倍であることを +20 dB とか 20 dB 大きいといい、 1/100 であることを −20 dB とか 20 dB 小さいという。一見厄介に思えるが、電圧が 10 倍だと電流も 10 倍で電力は 100 倍ということをすべて +20 dB で表現できる。逆に 10 倍ではそれは電圧のことなのか電力のことなのかいちいち確かめなくてはならず、慣れるとむしろデシベルで表現する方がわかりやすい。

ただし、どんな場合でも電圧の 1/2 が −6 dB になるわけではない。たとえば工率を計測する機器で出力電圧の 1/2 が工率の 1/2 を表す場合、それは −6 dB ではなく −3 dB である。当然のことながら表現する対象を考慮する必要がある。
絶対量としてのデシベル

基準となる物理量をあらかじめ決めておくと、物理量を直ちにデシベルでレベル表現できるようになる。これは音響など特定の分野で非常に便利であり多用される。その例を列挙する。

ただし国際度量衡総会 (CGPM) の立場では、デシベルはあくまで相対量を表すものであり、基準量を示す必要があるとしている。その表現方法として、アメリカ国立標準技術研究所 (NIST) から発行されている「Guide for the Use of the International System of Units (SI)」[1]の 7.4 節に次のように記されている。.mw-parser-output .bquote cite{font-style:normal}

ある量の値を表現する場合、量やその測定条件に関する情報を提供するために単位に文字や記号を添えるのは正しくない。そのような場合には量記号に文字や記号を添えるべきである。
例:Vmax = 1000 V
こうではなく:V = 1000 Vmax

従って下記に示す x dBSPL などの表記も正しくなく、 Lp (re 20 μPa) = x dB もしくは Lp/(20 μPa) = x dB と表記するべき、というのが CGPM の立場である。いちいち Lp (re 20 μPa) = x dB などとやっていられない場合(たとえば図中に記入する場合)、 x dB (20 μPa) のような表記を CGPM は認めている。(要するに CGPM は dBSPL とか dBSIL といった特定用途向けの単位を乱造するのではなく、 20 μPa なり 1 pW/m2 なりの基準量を明示して、 dB はあくまでも相対量として使うべきという主張をしている。)
dBSPL(Sound Pressure Level, 音圧レベル)
圧力である音圧に対して用いられる。媒体が空気の場合、基準量は 20 μPa (0 dBSPL = 20 μPa = 20×10?6 Pa)。 20 μPa はかつて人間の 1 kHz における最小可聴値とされていた。現在の等ラウドネス曲線 (ISO 226:2003) によれば 1 kHz における最小可聴値は 30 μPa 程度だが、音圧レベルの基準が変わっては困るのでそのままになっている。
dBSIL(Sound Intensity Level, 音の強さレベル)
単位断面積を単位時間あたりに通過する音のエネルギーである音の強さに対して用いられる。基準量は 1 pW/m2 (0 dBSIL = 1 pW/m2 = 10?12 W/m2)。
dBFS (Full Scale)
デジタル音声のレベルに対して用いられる(アナログ音声には用いない)。基準量は規格上の最大レベル。したがって基本的には 0 dBFS がレベルの上限となる。ただし扱う波形が正弦波に限らない場合、実効値は 0 dBFS 正弦波の実効値を超える場合がある。
dBW, dB(W)
1 W を基準量とする電力のレベル表現 (0 dBW = 1 W)。
dBm, dB(mW)
1 mW を基準量とする電力のレベル表現 (0 dBm = 1 mW = 10?3 W)。音響の分野で誤って電圧に対して用いられていることがある(dBv の項を参照)。
dBp, dB(pW)
1 pW (ピコワット)を基準量とする電力のレベル表現 (0 dBp = 1 pW = 10?12 W)。無線通信など小さい電力を扱う分野で用いられる。
dBf, dB(fW)
1 fW (フェムトワット)を基準量とする電力のレベル表現 (0 dBf = 1 fW = 10?15 W)。無線通信など小さい電力を扱う分野で用いられる。
dBV, dB(V)
1 Vr.m.s. を基準量とする電圧のレベル表現 (0 dBV = 1 V)。
dBv
775 mVr.m.s.[6] を基準量とする電圧のレベル表現 (0 dBv = 775 mVr.m.s. = 0.775 Vr.m.s.)。


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