ディープ・インパクト_(探査機)
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その後も延長ミッションが続けられていたが、通信が途絶えて復旧出来なくなったため、2013年9月20日に運用終了したことが発表された[2]
概要

この計画は、テンペル第1彗星に重さ370 kgアルミニウムからなる合金製インパクターを撃ち込み、その衝突によって出来るクレーターや飛び散る塵から彗星の内部構造を調査するというものである。彗星の内部構造の解明、またその観測データからの太陽系惑星誕生のメカニズムの解明が期待されている。

観測は、探査機に搭載されたカメラ赤外線スペクトロメータで行われた。また、ハッブル宇宙望遠鏡スピッツァー宇宙望遠鏡、その他数々の地上の望遠鏡からも可視光線赤外線などによる観測が行われた。

インパクターには、人工知能が与えられ、搭載されているカメラで目標であるの画像を撮影、自ら解析し、最も効果的な観測が可能だと思われる地点(太陽光が当たる“昼”の部分で出来るだけ平坦な箇所)に衝突するように姿勢制御を行うように設計された。

NASAは、「彗星に名前を届けよう」というキャンペーンを企画した。これは、世界中から有志の名前を募集し、集まった名前をコンパクトディスクに書き込んで彗星に届けるものである。名前を書き込まれたCDは、インパクターに搭載されて彗星に衝突した。
エポキシ

当初の目標を達成したディープ・インパクトは、2007年より名称をエポキシ (EPOXI)に変更して活動を続けた。この計画は探査機に搭載された望遠鏡を用いて太陽系外惑星の観測を行う Epoch (Extrasolar Planet Observation and Characterization)と、新しい彗星の接近観測を行う DIXI (Deep Impact eXtended Investigation)の2つのミッションから構成されている。ディープ・インパクトを再利用したことで、計画は4,000万ドルの低予算で実現された[3]

2013年8月8日に衛星との最後の通信を行った後、交信ができなくなった。当時はアイソン彗星の観測を行うなど、週に1回の断続的な運用が行われていたが、衛星の姿勢が回転し、制御不能で通信ができない状態となった。NASAは復旧の努力を続けたが、2013年9月20日に公式に運用終了を発表した[4][5]
日程

2005年

1月12日午後1時47分(米国東部時間): ケープカナベラル空軍基地より打上げられた。打上げにはデルタIIロケットが使用された。

7月3日: テンペル第1彗星に88万キロメートル (0.88 Gm)の地点まで接近し、衝突体(インパクター)を発射した。

7月4日: 衝突体は彗星に着弾し、本機は爆発によって生じた塵を観測した(衝突体が銅とアルミニウムの合金製なのは、分析の際に彗星由来の物質と区別するため)。衝突体は衝突直前まで彗星の核を撮影した。なお、この日はアメリカ独立記念日だった。

8月21日: 軌道修正に成功、2008年ボーティン彗星 (85P Boethin)とのフライバイなど新たなミッションが決定していた ⇒[1]ものの、その後ボーティン彗星を見失い、ミッションを再検討していた。


2007年

12月13日: 名称をエポキシに変え、2008年1月末、太陽系に近い恒星の軌道を周回する惑星系を観測することになった。

12月31日: 1回目の地球フライバイを実施。


2008年12月29日: 2回目の地球フライバイを実施。

2010年

6月27日: 最後の地球フライバイを実施。

11月4日: ハートレー第2彗星 (Hartley 2)に約700キロメートルまで最接近してその中心核を観測。


2012年10月4日: 地球近傍小惑星(163249)2002 GTを探査するために飛行速度を秒速2メートル (m/s)加速したと発表[6]

2013年

1月17日: 地球に接近中のアイソン彗星を撮影[7]

8月8日: この日の交信を最後に衛星とのコンタクトを喪失。

9月20日: NASAが復旧を断念して、運用終了したことを発表。


2020年1月4日: 可能なら小惑星163249 (2002 GT)に最接近する予定であった[8]

関連した話題

2011年2月、テンペル第1彗星にNASAの別の探査機スターダストが訪れ、ディープ・インパクトによる衝突実験の痕跡や彗星の変化を調べた[9]。スターダストはディープ・インパクトより古参(1999年打ち上げ)の彗星探査機で、2006年に宇宙塵サンプルリターン任務を達成した後に、延長ミッションとしてテンペル第1彗星に訪れたものである[9]

ロシア占星術師マリーナ・バイは、ディープ・インパクトによる彗星の破壊で、宇宙の自然のバランスが破壊されたとして、2005年7月にNASAに対して精神的損害への賠償として約90億ルーブル(約350億円)を求める訴訟をモスクワで起こした ⇒[2]
脚注と参照^ NHKスペシャル ディープ インパクト ?生命の起源に迫る彗星(すいせい)探査? - NHK名作選(動画・静止画) NHKアーカイブス
^“NASA's Deep Space Comet Hunter Mission Comes to an End”. NASA. (2013年9月20日). ⇒http://www.nasa.gov/press/2013/september/nasas-deep-space-comet-hunter-mission-comes-to-an-end/#.UkA12kCqM7M 2013年9月23日閲覧。 
^“エポキシ探査機、6月27日に地球フライバイ”. sorae.jp. (2010年6月1日). ⇒http://www.sorae.jp/031004/3918.html 2010年6月13日閲覧。 [リンク切れ]
^“Still no contact with Deep Impact”. Planetary Society. (2013年9月10日). ⇒http://www.planetary.org/blogs/emily-lakdawalla/2013/09101625-still-no-contact-with-deep-impact.html 2013年9月15日閲覧。 
^“The Deep Impact Mission is officially over”. Planetary Society. (2013年9月20日). ⇒http://www.planetary.org/blogs/emily-lakdawalla/2013/09200902-deep-impact-end.html 2013年9月23日閲覧。 
^Deep Impact Spacecraft Completes Rocket Burn JPL NASA
^NASA's Deep Impact Spacecraft Eyes Comet ISON NASA
^Deep Impact targets possible 2020 asteroid flyby The Planetary
^ a b “彗星探査機「スターダスト」、運用終了”. AstroArts. (2011年3月25日). https://www.astroarts.co.jp/news/2011/03/25stardust/index-j.shtml 2017年9月14日閲覧。


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