スウィーパー、スイーパー(英: Sweeper)とは「掃除人」を意味する名で、特定のマークを持たず、ストッパーの選手が抜かれた時や、相手フォワードに対してストッパーの選手を競らせた隙にボールを処理、あるいは2列目から飛び出してきたMFの選手に対する守備など、カバーリング関連を行うポジションである。役割を最大限に活かすために、相手のセンターフォワードの人数よりも1人多くセンターバックを配置するフォーメーションである場合が多い。以前はカバーリングなどを行う為にストッパーの選手の後方に位置することが多かったが、ディフェンスラインをフラットに保ち、ラインの高さをコントロールすることが重要視される現在ではストッパーと並び横一列になる場合が多い。 リベロ(伊: Libero)とは「自由な人」を意味する名で、スウィーパーから派生したポジションである。スウィーパーシステムは相手の攻撃陣よりも1人多くのセンターバックを配置している場合が多く、その中で特定のマークを持たないスウィーパーは攻撃人数を削って存在するポジションとも言える。そのため70年代頃からは攻撃時には攻撃参加するスウィーパーが登場し始めたのである。特にスウィーパーは戦術眼や先読み能力など、高いサッカーセンスを兼ね備えた選手が基本だったため、攻撃に置いてもその能力を発揮する選手が増えて行った。それまではカバーリングを専門とする事から「掃除人」を意味するスウィーパーと呼ばれていたのだが、攻撃の起点をも担い始めると、その名前では呼び方として適切ではなくなったため、「守備の選手ながら攻撃にも参加する自由な人」と言う意味からリベロと呼ばれるようになった。 リベロは1970?1980年代のドイツによく見られ、代名詞としてフランツ・ベッケンバウアーが特に有名である。他にロナルド・クーマン、フランコ・バレージ、ガエターノ・シレア、ダニエル・パサレラ、マティアス・ザマー、井原正巳、洪明甫、チェルシー時代のルート・フリットなどが有名である。しかし、1990年代には攻撃参加するリベロはほとんど見られなくなった。その理由としてゾーンディフェンスが主流となり、マンツーマンディフェンス自体がかなり希少な存在となっていったからである。近年では戦術的なリベロは希少になったものの、一般的なセンターバックよりも攻撃参加の機会や得点が多い選手だとリベロと呼ぶ場合がある。また、守備的ミッドフィールダーが「ディフェンスラインの前に配置されたリベロ」という意味合いでフォアリベロと呼ばれることもある。 ※サイドバックは和製英語であり、英語ではフルバック(英: Full-back)と呼び、左のフルバックをレフトバック(英: Left-back)、右のフルバックをライトバック(英: Right-back)と呼ぶ。 サイドバックとは4バック又は5バックの左右両サイドに位置するディフェンダーのこと。サイドにおける守備を主な役割とするが、攻撃時には中盤の選手を追い越して前線に駆け上がり、ドリブルで切り込んだりクロスボールを上げたりする。守備能力に加え、ピッチを縦に激しく上下する多い運動をこなせる行動力とスタミナ、スピード、サイドを突破するドリブル技術、クロスを上げる精度の高いキックも求められる。 身体的なぶつかり合いや空中戦を主とするセンターバックに比べ、走力や俊敏性が求められるため小柄な選手が担当する事が多いが、近年ではファーサイド(far side=遠いサイド)からセンタリングに対して空中戦も求められる事から、長身のサイドバックも増えてきている。守備を重視するチームなどでは本来はセンターバックの選手をこのポジションに置き、センターバックを4人並べる場合もある。一方で、ディフェンスのポジションにありながら攻撃能力に特化した非常に攻撃的なサイドバックの選手も存在する。 ミッドフィールダーのウィングバックの選手とよく似た役割を持っており、ポジションの互換性が高く両方のポジションをこなせる選手が多い。またサイドバック、ウィングバックの選手ともにサイドでプレイすることから右サイドなら右利き、左サイドなら左利きというように受け持つサイド側の足が利き足であるか両方の足を同様に使えることが望ましい。左右両方のサイドでプレーできる選手は少なく重宝される。 1980年代は、クラウディオ・ジェンティーレに代表される相手フォワードのマンマークをするセンターバック同然の守備専業サイドバックが多かった。しかし、1990年代から戦術の進化に伴い高い守備能力を維持したまま機を見た攻撃参加を行うサイドバックが主流となり、パオロ・マルディーニやビセンテ・リザラズなどが台頭した。そして2000年代には守備能力を犠牲にしても、ウィング同然の余りある攻撃能力に特化したサイドバックが誕生し始め、ブラジル代表のロベルト・カルロスやカフーに代表されるブラジル型サイドバックが一世を風靡した。2010年代にはさらなる戦術の進化により、ミッドフィールダーと遜色のない高度なテクニックを兼ね備え、サイド・ミッドフィールダーのように攻撃の組み立てにも関与するタイプが登場し始め、マルセロやダニエウ・アウヴェス、フィリップ・ラームが有名となった。またこの時期には、ジョセップ・グアルディオラがサイドバックに対し、攻撃時に中央のボランチの位置に入って組み立てに関与する役割を持たせる戦術を採用し、注目を集めるようになった。
リベロ
サイドバックサイドバックの位置