ディスプレイ_(コンピュータ)
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[9]。(とはいえ、このタイプのブラウン管は画面全体であくまで単一色表示であり、文字ごとに色を変えることはできなかった)

en:IBM Displaywriter Systemのグリーンディスプレイ(1980年代のもの)。

アンバー色のディスプレイ。IBMポータブルPC(1984年発売)のもの。



解像度を上げる試み、変則ラスタースキャンの試み

1968年 - 1971年に富士通が開発したディスプレイF6221A・B・Dでは、通常のテレビ受像機とは垂直方向は1画面に20行を表示するために20段の階段波と文字を表示する1行分の細かい正弦波を重畳させた波形を、水平方向は1秒に1,000回の鋸歯状波で偏向する変則ラスタースキャンを行った[10]。1970年に富士通が開発した小型コンピュータ用ディスプレイF6222Aは、垂直水平の線で構成された『田』形状の図形に、斜め線で構成された『X』状の線を重ね合わせた形の基本図形を表示するためにラスタースキャンの垂直、水平方向に文字用の偏向を加えた極めて特殊なスキャン(走査)を行った[11]。1974年に富士通が開発したディスプレイF9520・F6221K以降はテレビと同様なラスタースキャンを採用した。
カラーテレビで解像度を上げる試み

NTSC方式時代のカラーテレビ(テレビ受像機)のCRTはコンピュータディスプレイに必要な1000字(50字×20行)の表示が出来るほどの解像度ではなかった。日本では[いつ?]NHKハイビジョンの試作機を、富士通関係者が見学して実用化の見通しを得た。NHKの試作機に使用されているCRTメーカーの三菱電機に富士通側が依頼しディスプレイ用の高解像カラーCRTの供給を富士通が受けた。その後松下電器が製造するコストダウンしたものを富士通は供給してもらった。カラーテレビの解像度は主にCRT表示面に近接してセットされているシャドウマスクのドット・ピッチに比例する。当時のテレビに採用されていたNTSC方式では2ドット/mmで、1974年に富士通が開発したディスプレイF6221Kの表示部はハイビジョン用CRTと同じく3ドット/mm、さらに高解像が必要な漢字表示のCRTは、富士通が東芝に開発を依頼し東芝から供給を受けた。1979年に富士通が開発した漢字を表示する日本語ディスプレイF6650は4ドット/mmであった。ハイビジョンの放送開始が1989年、その15年前の1974年に先行するかたちでコンピュータディスプレイのカラー化が実用化し、これが高解像CRT大量生産の基礎となりテレビ受像機の高品質化にも寄与した。



コンソール用ディスプレイVT100(1978年?)のディスプレイ。ブラウン管。ラスタースキャン方式。

1960年代前後のコンピューターシステムではコマンド(命令)パンチ・カード紙テープを作成し、読込装置(リーダ)でコンピュータに読み込んでいて、コンソールパネル(操作卓。あるいはen:Front_panel)に設置されたランプで表示された機械語を解読し、スイッチ類を操作してコマンドを入力しコンピュータを制御していた。これらの操作は煩雑で高レベルのスキルが必要、かつ時間も手間もかかるという欠点があり、この問題を解決するために応答が速く操作性が良いテレタイプ端末が設置されコマンドの入力やコンピュータ内のレジスタ情報を印字するようになった段階があったわけだが、このテレタイプ端末をディスプレイに置き換えたことで更に応答速度や操作性が向上した。
文字表示の試み

1960年代では、そもそもコンピュータが出力する文字データに応じた文字の形をディスプレイに表示する技術を根底から構築することから始めなければならなかった。

富士通が1968年に開発したF6221A(富士通の最初のディスプレイ)では、フライング・スポット管方式の文字発生方法(en:Flying-spot_scanner)を使用した。フライング・スポット管は高解像のCRTでフィルム・スキャナ等に使用される。フライング・スポット管の表示面にアルファベットと仮名文字を記録したフィルムを密着してセットし、リフレッシュメモリから1文字ずつ読み出し、フライング・スポット管でフィルム中のその文字の部分を選択してスキャンする。フィルムを通り抜けた光を光電子増倍管で受け、電気信号に変換し、増幅して表示部にビデオ信号を送る[12]

富士通の最初のディスプレイF6221Aは1968年に京都大学に納入された大型コンピュータFACOM230-60コンソールに使用された。総製造台数は2台、1台は京大に納入し、他の1台は富士通社内に設置しソフトウエアの開発やバックアップ用とした。F6221Aは入出力制御装置を介してコンピュータに接続され、表示部、文字発生部、キーボード(以下KB)と表示画面に対応した文字コード・データを蓄積するメモリ(以下リフレッシュメモリという)を含む制御回路で構成されていた。表示部はオレンジ色12インチCRTで1000文字(50字×20行)のアルファベットと仮名を表示する。CRT(ブラウン管)は電子ビーム(陰極線)を走査して文字の形を発光させるが、一瞬の間に消えてしまうのでリフレッシュメモリに蓄積した文字コード・データを1秒に25回以上読み出して文字発生部で文字の形に変換した信号をCRTに送り発光させて静止画像を得た。文字発生はフライングスポット管方式(後述)を使用した。KBはタイプライタ配列の文字鍵盤とファンクションキーで構成され、文字データとコマンドの入力に使用された。制御回路ではKBまたはコンピュータからの文字データをリフレッシュメモリに格納し、コマンドによりコンピュータ間の送受信制御やリフレッシュメモリ内の文字コードの追加・挿入・削除・訂正等の処理を行った。制御回路はトランジスタとダイオードの論理回路で構成した[13][14]


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