ディスクブレーキ
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圧縮機の駆動力や設置スペースの余裕が必要になるため、日本国内では主に車両総重量8t級以上のトラックや中型以上のバスで採用されている。補助できるブレーキ力は、負圧倍力式の10倍以上になる。
油圧倍力装置
オイルポンプで発生させた油圧を利用するタイプである。ゼネラルモーターズの車種に採用例が多い他、負圧があまり確保できないガソリン直噴エンジン搭載車や、小型化を図る目的で一部の高級車にも採用されている。動力源はABSTCS用の油圧装置を使用する。量産車では1962年(昭和37年)にルノーで採用されたのが最初である。当時のディスクブレーキは、油圧倍力装置の不安定さから、制動力不足となる事があった。
ブレーキの種類

力の伝達と制動力の発生には、油圧、空気圧、機械(ロッド又はワイヤー)が用いられる。
油圧式(ハイドロリック)

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空気油圧複合式(エアオーバーまたはエアオーバーハイドロリック)

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空気圧式(フルエア)

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機械式

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主要用途
自動車自動車用の一例

自動車のディスクブレーキは、航空機技術の流用から始まっている。

乗用車では一般的に、前輪にベンチレーテッドディスク、後輪には制動力の配分やコストの面からソリッドディスクまたはドラムブレーキを用いることが多い。後輪にドラムブレーキを採用する車両では、パーキングブレーキをドラムブレーキで兼用するものがほとんどである。一方、全車輪にディスクブレーキを採用する車両では、パーキングブレーキとして後輪ディスクブレーキのピストンを手動または電動で機械的に押し、パッドをローターに押し付けて制動力を発揮させるものがあるが、基本的にドラム式に比べ拘束力は低い(手動式の中には勾配などで駐車に必要な拘束力が不足しているものもある)。そのため、重量のある車種ではローターとは別に、駐車ブレーキ専用のドラムブレーキ(パーキングドラム)が追加されているものもある[注 3]

一方小型トラック(いすゞ・エルフ日野・デュトロ三菱ふそう・キャンター)の現行型は、4WD車の一部を除いて総輪ディスクブレーキを採用している。

大型自動車では車両総重量の関係で、拘束力の小さいディスクブレーキの採用はつい最近まで見送られていたが[注 4]EBSの普及で少しずつではあるが採用され始めている(例:除雪車専用の特殊車両を除く2代目UD・クオン[9]ならびに共同開発車種のいすゞ・ギガセミトラクタ、連節バスいすゞ・エルガデュオならびに統合車種の日野・ブルーリボンハイブリッド連節バス[10])。

なお広義の自動車に範囲を広げるとレーシングカートにも採用されている。
オートバイオートバイ用の一例

ディスクブレーキの信頼性がまだ確立されていなかった時代には、オートバイでも自動車と同様に、前後輪ともドラムブレーキが一般的だった。公道用量産市販車として初めてディスクブレーキを採用したのは1969年(昭和44年)のホンダ・ドリームCB750FOURであるが、当時はまだ高価だったこともあり、発熱の大きな前輪のみディスクブレーキで、後輪はドラムブレーキとされ、後に続く車種も前輪のみディスクブレーキというものが多かった。

車両の走行性能の向上で、オートバイにとって危険なタイヤのロックを回避できるコントロールしやすいブレーキが求められるようになり、生産技術の向上もあって現在では多くの車種で前後ともにディスクブレーキが採用されている。しかしコストを低減する目的でドラムブレーキを採用する車種も存在し、特に原動機付自転車では後輪もディスクブレーキとなっているものは稀である。

オートバイで採用されるディスクブレーキは、初期にはケーブルとカムによる機械作動式もみられたが、現在ほぼ全て液圧作動式となっている。

過去にはオートバイのディスクブレーキとしてベンチレーテッドディスクやスリットローターを採用する車種もあったが、現在ではほとんどの車種で軽量化、排熱効果向上や異物排除を目的にドリルドローターを採用している。ローター周辺への異物混入が多いオフロードタイプでは、異物を速やかにブレーキキャリパーから掻き出すことを目的としてローターの円周が波打っているウェーブローターを採用するものもある。

オートバイは車両重量が自動車と比べて圧倒的に軽い為、ほとんどの車種で倍力装置を採用しておらず、操作レバーや操作ペダルのレバー比や、マスターシリンダーの液圧比だけで制動力を確保している。

なお排気量が400ccを超える車種では、前輪の左右両側にディスクを備えるダブルディスクブレーキを採用している場合が多い。また、高級車や大型車を中心としてABSを備えているものもある。
自転車自転車用の一例液圧式 (Hayes Sole)機械式 (AVID BB7)

初期の採用事例としては1970年代に隆盛した少年用スポーツサイクルに見られる。当時は過剰装飾の一環視され、実用性能の面で本格的に普及したのは今世紀のマウンテンバイクからである。自転車では、制動装置としてカンチブレーキVブレーキ、液圧(油圧)リムブレーキ等が使用されてきた。しかし、これらのブレーキはすべてホイールの最外周であるリム部を利用するため、輪軸の原理から制動力の面では優れるが、水や泥でリムが汚れると極端に性能が落ちてしまう。ホイールに激しい衝撃が加わるダウンヒル競技などでは、リム部にゆがみが発生し、リムブレーキでは一定の制動力を得られない。また、ホイール交換ごとにブレーキの設定を更新する必要がある等の不満があった。これらを解決するために、既に一般的技術となっていたキャリパー式のディスクブレーキを小型化・軽量化したものが自転車に採用された。

自転車のディスクブレーキは、ブレーキレバーからブレーキ本体までの力の伝達方法によって液圧式(Hydraulic brake)と機械式の2種に分けられる。主流である液圧式はピストンの個数や方式等によりさまざまな商品が展開されている。機械式は、安価でVブレーキなどの従来の機構が流用できる点や、メンテナンス性に優れる点などが長所である。後述する、油圧式の取り扱い上の注意点もなく扱いやすい。ブレーキとしての能力を総合的にみて、以前は液圧式が圧倒的優位であり、機械式は入門用の完成車に装備される廉価版の位置づけであった。しかし最近では機械式の技術も向上し、液圧式との差は少なくなっている。

自転車用のディスクブレーキはパッドとローターの間への異物の混入を前提としているため、波形の円周をもつウェーブローターをはじめとし、ローターの形状やパッドの材質に独特の工夫が見られる。また、取り付けにはフレームフロントフォーク、ホイールのハブに専用の台座が必要となる。

液圧・機械どちらの方式もリムブレーキに対し重量面では劣る。一方でホイールの大きな部材であるリムの、ブレーキによる側面からの挟みつけに耐える強度や耐磨耗性を考慮する必要が無くなるため、その分を軽量化したディスクブレーキ専用ホイールも増えてきている。自転車用ディスクブレーキはリムブレーキに比してホイール交換の作業性が劣ることも欠点だったが、車軸を取り付けるエンド部の強度を高める目的で導入されたスルーアクスルはその原因である、エンドへの車軸の挿込方向と、ブレーキへのロータ挿込方向が一致しないという問題の解決にもなった。

マウンテンバイクでは2000年頃から普及し始め、2010年代の主流になっている。シクロクロスバイクでは2010年にUCI規則で解禁され、それに伴い採用が増えている。ロードレースにおいてUCIは2015年から試験的に採用して2017年からの本格採用を目指すことになり、この動きにあわせてディスクブレーキを採用したロードバイクが登場し始めていたが、2016年4月フランシスコ・ヴェントソが脚に負った重度の裂傷をブレーキローターによるものと主張したことにより、ロード競技においては使用を中止する措置が取られる[11]。その後ローターの外側に鋭利な角度の部分をなくす加工を施すことを条件として2017年からの試用再開が決定した[12]

ディスクブレーキは輪行のため前後輪をはずし、袋に収納する際には以下のことに注意する必要がある。

ローター部分の僅かな歪みでも円滑な動作に支障をきたすことがある。

車輪をはずした状態でブレーキレバーを引くとキャリパー内部のピストンが容易に戻らなくなる(とくに油圧式の場合)。

整備作業や輸送などで車体を長時間逆さにしていると、ブレーキホースや作動油の内部に含まれるごくわずかの空気がキャリパーにまで到達することによってキャリパーを作動させるための油圧の伝達を阻害し、制動力が低下することがある。


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